夏の高校野球東東京大会の準決勝が東京ドームで行われ、プロ注目の関東第一・市川祐投手が最速152キロを記録、9回を3安打12奪三振1失点で完投し、決勝に勝ち上がった。
152キロ
まさに圧巻の投球だった。市川祐投手は初回、先頭打者に146キロ、147キロの速球で押すと、4球目に152キロを記録した。ショートゴロになった打球で、誤計測の可能性や、球速の出やすい東京ドームということもあったが、その後も見逃しした球で151キロを記録するなど、常時140キロ中盤から後半を記録、昨年よりも明らかに良くなったストレートを投げていた。
そのストレートは、少しスライダー気味に動く球で、右打者のときに積極的に外角高めに投げ込み、空振りを奪った。そして圧巻は、カーブ、チェンジアップ、スプリットなどで、鋭く腕を振りながらそれらの球を制球良く投げ分けた。
元々、最速は146キロだが、球の質の良さが評価されていた。しかし昨年はそのストレートが行かず、変化球を中心にした投球で、やや伸び悩みも見せていた。しかし、今年春の東京大会決勝で、日大三を相手に9回2安打完封勝利、球速自体はそれほど出ていなかったが、見るからに力を増した球を投げ、プロのスカウトも「出力が増している」と話していた。
中学時代に行っていたトレーニングを再開し、それが短期間に効果を見せた。春の関東大会以降、3kgのダンベルを右手親指と人差指、長指で握り、落として拾う動作を週3回、指がパンパンになるまで50回は繰り返したという。それにより、春先は2000回転くらいだった球が、6月下旬には2400回転後半になった。
この日も「立ち上がりから飛ばして、いけるところまでいくつもりだった。指に掛かる感覚、リリースするときに、ピシッという音もしていた」と話し、球速以外にも、トレーニングの効果を実感していた。
スカウトも驚き
この日の投球にはスカウトも驚きを示す。
巨人・水野スカウト参与:「直球が強くなり、腕もよく振れていた。変化球はどの球種でもカウントが取れていた」
千葉ロッテ・榎チーフスカウト:「体もボールも力強さが増した。春からの成長ぶりは、驚きに近いものを感じる。」
広島・尾形佳紀スカウト:「春よりスピードが出てコントロールもいい」
自己最速を146キロから152キロへ。春季東京大会決勝で予兆は見せていたものの、これほど短期間のうちに、変われるのかという感じだ。ストレートも良いが、変化球のコントロールも良く、後少し、変化球の鋭さを磨けば、プロで十分やれると思う。
高校1年時から注目されてきた市川投手が、堂々とドラフト候補として名乗りを挙げた。決勝でも勝利し、甲子園でこの日のような投球を見せれば、ドラフト上位候補になってくるかもしれない。

初回から全力だった。「前の試合は投げていないので、今日のために準備してきた。明日のことは考えず全力を出した」と初回から140キロ後半の力強い投球を連発。最速は152キロを計測し、チームの勝利をたぐり寄せた。初めての東京ドームのマウンドには「硬さにはあまりこだわりはない。いつも通り投げることを意識しました」と苦労は見せなかった。
「春が終わって真っすぐの球威が足りないと思ったので、中学時代と同じ練習をやり始めました。それでスピードや回転数が上がったと思う」。努力が実る。春先の平均2000回転は6月下旬には2400回転後半へアップした。わずか2カ月でプロでもトップクラスの回転数に達し、視察した広島・尾形佳紀スカウトも「春よりスピードが出てコントロールもいい」と成長を認めた。


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