日本高等学校野球連盟は23日、9月5日から沖縄県で開催される「第32回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場する高校日本代表選手20名を発表したが、今春センバツ王者の横浜(神奈川)から最多4名が選出されたほか、夏の甲子園優勝投手となった沖縄尚学の2年生左腕・末吉良丞投手が唯一の2年生としてメンバー入り。チームを率いる小倉全由監督が、選考の意図と大会連覇への意気込みを語った。
小倉監督が語る選考基準「走攻守バランスの取れた選手を」
U-18日本代表を率いる小倉全由監督は、メンバー選考について「走攻守バランスの取れた選手を選びたいということで、春のセンバツ、この夏の大会、そして各都道府県大会を見て、選ばせてもらいました」と説明。甲子園出場選手だけでなく、大阪桐蔭の中野大虎投手や学法石川の大栄利哉捕手など、甲子園不出場組からも5名を選出し、「甲子園に出てるとか出てないじゃなくて、良かったら比較した中で、この子って選んだ結果ですね」と、全国から幅広く選手を評価したことを明かした。
また、外野手登録が2名と少ない点については、「そこに坂本君、奥村君も付けてもいいんです」と、投手登録の選手を外野で起用する可能性を示唆。さらに明徳義塾の藤森海斗捕手も内外野を守れることから、「複数のポジションがやれる選手も考えた」と、柔軟な選手起用で世界との戦いに挑む構えだ。
2年生で唯一の選出、沖縄尚学・末吉良丞投手への期待
今大会、2年生で唯一の代表入りを果たしたのが、夏の甲子園で沖縄尚学を初優勝に導いたエース左腕・末吉良丞投手だ。小倉監督は、「1回戦、2回戦のあのピッチング見て、落ち着いてますし、コントロールがいいなと」とその投球を絶賛。2年生ということで秋の大会への影響も考慮したが、「比嘉監督にも、なんとか出してくれっていうことでお願いをして選んだ選手」と、その才能に惚れ込み、熱意を持って招集したことを明かした。
「できれば2年生もう1人ぐらい選んで、何かこう楽になるようなね、そんなふうに選びたかったんですけど、やっぱり人数が20人っていうことで」と、登録人数の制約から2年生の選出が1名になったことにも言及した。
主将は横浜・阿部葉太選手「悔しさをW杯に」
チームの主将には、横浜の阿部葉太選手を指名。「優勝を狙ってきたチームの中心でやったキャプテンで、すばらしいバッティングをしている。この大会は力を出し切ってないかなと思うので、その悔しさをW杯に持ってきてもらって、めいっぱい働いてもらいたい」と、そのリーダーシップと打撃に大きな期待を寄せた。
2023年に初優勝を果たしたU-18W杯。10年ぶりの日本開催となる今大会で、小倉監督は「日本代表として、自覚を持って“日本ってやっぱり素晴らしい野球やるな”っていうような、そういう野球をやるためのチームを選んだつもり。連覇へ向けて挑戦します」と、力強く世界一連覇を誓った。
連覇を目指して
今回のメンバーを見て気になるのは捕手、投手は石垣元気選手が中心となることが予想されるが、最速155キロとも158キロと言われるストレートは、捕手も捕球できるが、夏までに磨いてきた130キロ後半の変化球を捕手が捕球できるかによって、石垣投手の力を100%出せるようになるかが決まる。特に、1つのワイルドピッチが命取りとなる7イニング制のU18W杯では、特に振り逃げのようなプレーは絶対に許されない。
一塁手については専任がいなかったのは不安ではあるものの、こうなるのは仕方ない一方で、二遊間の選手が多くなり、その起用法も一つの課題となる。これまでもU18代表は二遊間の選手を多く集め、優勝した2023年のW杯では山田脩也選手、高中一樹選手、緒方漣選手、小林隼翔選手がいろいろなパターンで二遊間を組み、守備でも打撃でも結果を残した。しかしこの時は台湾の球場は人工芝で、内野守備の負担は小さく、そして予期せぬヒットやエラーは抑えられていた。
今年は沖縄のセルラースタジアムで行われるが、土のグラウンドで、内野手の負担は大きくなる。他の国も同じ条件なので、日本だけが課題というわけではないが、一つのイレギュラーバウンドやエラーが、試合を決める可能性がある。
投手については石垣投手が中心となるが、先発は3人から4人が必要で、2023年はエース・前田悠伍投手が中心となったが、東恩納蒼投手が5回完全試合などで2番手として大きな実績を残した。今年の投手陣は坂本投手、奥村投手が外野手として打者として出場が多くなると見られ、森下翔太投手、早瀬朔投手、西村一毅投手、そして末吉良丞投手の奮起が期待されるが、末吉投手は甲子園での疲労が気になることから、森下投手、西村投手がキーマンになってくるかもしれない。






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