全国高校野球選手権秋田大会は22日に決勝戦が行われ、金足農業が鹿角に延長10回タイブレークの末、2-1でサヨナラ勝ちし、同校史上初となる2年連続8度目の夏の甲子園出場を決めた。2018年に「金農旋風」を巻き起こしたオリックス・吉田輝星投手を兄に持つエース・吉田大輝投手(3年)が、10回を1失点で投げ抜く熱投。兄も成し得なかった夏連覇を達成し、聖地でのリベンジを誓った。
9回2死からの同点劇…延長10回、魂の128球
吉田大輝投手は「あの舞台に戻れるうれしさがある」と話した。サヨナラスクイズが決まった瞬間、ベンチから飛び出し、歓喜の輪に飛び込んだ。
1-0で迎えた9回2死、あと1球で優勝という場面から、振り逃げとショートの前でイレギュラーバウンドする不運な内野安打で同点に追いつかれた。それでも、兄・吉田輝星投手に負けない気迫を持つ大輝投手の心は折れなかった。「自分がちゃんと抑えていれば」と仲間を思いやり、延長10回タイブレークでは無死一、二塁のピンチを無失点に封じ込めた。その裏、2番・高橋海生選手(2年)がお家芸のスクイズを決め、劇的な幕切れとなった。
準決勝の明桜戦に続く2試合連続の完投。この日も最速144キロを計測したストレートを軸に、10回を7安打1失点、7奪三振。128球の熱投で、チームを甲子園へと導いた。
兄・輝星からのエールと「天下」グラブ「兄を超えます!」
兄を超える2度の甲子園出場に、「あんまり上からいくと怒られるから、普通に優勝したよって伝えたいです」と笑う。兄の存在を「いい意味で成長させてくれた存在」と語り、苦しい時には兄の投球動画を見て自らを奮い立たせてきた。
7年前、兄が準優勝で果たせなかった夢。「絶対に勝って去年より、輝星よりいい結果を残さないといけないと改めて強く思った」と話し、「超えます!」と力強く宣言した。
故障の女房役の思いも背負って…
今大会、バッテリーを組んできた相棒の渡部蒼空(すかい)捕手(3年)が準々決勝直前に左手を骨折。この日は急遽2年生の芹田礼捕手とバッテリーを組んだ。渡部選手はベンチから配球などの助言を送り続け、吉田投手は「勝つためにベンチワークしてくれた。自分と芹田だけじゃなく渡部も含めての勝利。またバッテリーを組みたい」と、甲子園での“女房役”復帰を熱望した。
昨夏、2年生エースとして聖地のマウンドに立ったが、初戦で7回5失点と打ち込まれ敗退。「自分はまだ甲子園にふさわしくない投手」と涙をのんだ。その悔しさを晴らすため、そして多くの人の思いを背負い、吉田大輝は再び甲子園のマウンドに上がる。
吉田大輝投手 プロフィール
- 氏名:吉田 大輝(よしだ たいき)
- 生年月日:2007年4月23日
- 出身地:秋田県潟上市
- 経歴:天王ヴィクトリーズ(小1) – 天王中学校(軟式野球部) – 金足農業高校(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:179cm・85kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:オリックス・吉田輝星投手を兄に持つ最速146キロ右腕。2025年夏の秋田大会決勝で10回1失点の完投勝利を挙げ、金足農業を同校初の2年連続夏の甲子園出場に導く。昨夏もエースとして甲子園に出場。中日など複数球団のスカウトが注目。






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