2019年ドラフト総決算(8)~ドラフト10大ニュース~その2

2019年のドラフト会議もいろいろなことがありました。今年の10大ニュースの5位から1位まで。2019年のお礼。

ドラフト10大ニュース

第5位 東京六大学のチームが大学選手権、明治神宮大会を制す

大学野球選手権は、東京六大学の明治大が優勝し、明治神宮大会も東京六大学の慶応大が優勝した。東京六大学のチームが選手権と明治神宮大会で優勝したのは1995年(選手権・法政大、神宮・明治大)以来24年ぶりとだった。

大学野球では、東北福祉大や富士大、九州共立大、九州産業大、東海大北海道などが台頭し、ドラフト会議でも多くの選手が指名され、中央と言われる東京六大学や東都と同じくらいの存在感を見せるようになり、そして「地方の時代」という声も聞かれた。

ただし、大学野球選手権では1年置きに東京六大学のチームが優勝し、明治神宮大会はほぼ中央のチームが優勝をしている。トーナメントでこの2リーグがスーパーシード的な扱いだったものの、一時期、東京六大学のチームが選手権でもほとんど優勝できず、戦国時代の東都に比べ、6チームが変わらないリーグの弱さも指摘された。しかし、近年は特に選手権では強さを見せている。

大学野球選手権 明治神宮大会
2011 東洋大(東都) 明治大(東京六)
2012 早稲田大(東京六) 桐蔭横浜大(関東5連盟・神奈川)
2013 上武大(関甲新) 亜細亜大(東都)
2014 東海大(首都) 駒澤大(東都)
2015 早稲田大(東京六) 亜細亜大(東都)
2016 中京学院大(東海地区) 明治大(東京六)
2017 立教大(東京六) 日本体育大(関東5連盟・首都)
2018 東北福祉大(仙台六) 立正大(東都)
2019 明治大(東京六) 慶応大(東京六)

そして今年は春は明治大が優勝し、主将の森下投手がMVPとなった。明治神宮大会では慶応大が優勝し、主将の郡司選手が優勝旗を手にした。しかし、明治大は善波監督、慶応大は大久保監督という名将が今年、勇退される。

知名度が高く、多くの有望な選手が集まる東京六大学、後任の指導者がさらに強いチームを作り、多くの選手をプロ野球の世界に送り出してほしい。

また、来年は順番からいくと、選手権は地方リーグが優勝をするのかもしれない。有力投手が残る東海大や、東海大北海道、富士大、東北福祉大、仙台大、そして城西国際大、佛教大なども期待をしたい。

第4位 ドラフト直前、野手の候補が急浮上

今年のドラフト会議は、佐々木、奥川という10年に1人クラスの投手と森下投手がおり、特に今年春前には10球団近くが佐々木投手の指名をするとも言われていた。しかし、佐々木投手が夏の大会やU18で思うように投げられなかった事などもあり、また奥川投手が活躍をするにつれ、その数はばらけていった。

実際にドラフト会議で佐々木投手を指名したのは4球団、そして奥川投手にも3球団のみで、森下投手は広島の単独指名となった。理由としてはまず中日が元々、奥川投手を1位指名し、2位で欲しかったという地元・石川昂弥選手が、U18などの活躍により2位では取れなくなったと判断し、絶対に欲しいということで1位指名を公表すると、夏前から1位指名を画策していた福岡ソフトバンクも1位指名が報道され、それに続いて当初から野手の補強が必要と話していたオリックス・福良GMがドラフト前日から一晩考えた末に石川選手の指名に切り替え、最終的に3球団の指名となった。

また横浜DeNAは2軍にもショートの選手が少なく、ショートを守れる選手を探していた。奥川投手、森下投手を候補に挙げていたものの、ドラフト会議1時間前に桐蔭学園の森敬斗の指名を決める。東北楽天も内野手を補強ポイントとしており、石井GMが森選手の指名と悩みぬいた末、地元の佐々木投手を指名した。

東北楽天は1位で佐々木投手を外すと、補強ポイントだった内野手で即戦力の選手として、大阪ガスの小深田大翔選手を指名し、石川選手を外した福岡ソフトバンクは、JR西日本で抜群の身体能力を持つ佐藤直樹選手を1位指名した。二人とも、早くから1位指名候補として挙がった選手ではなかったが、直前に小深田選手が1位指名の可能性があると報じられ、佐藤選手の評価が高いことも伝えられてきた。

ドラフト直前の各球団の苦悩がうかがえる指名となった。

第3位 佐々木朗希、岩手大会決勝で登板せず

大船渡高校の佐々木朗希投手は、4月のU18代表候補合宿で163キロを記録した後、病院で診察を行った結果、骨がまだ成長段階にあり、脆い状態にあることが診断され、その後は、練習試合でも5割程度の力で投げるようになっていた。

大船渡の佐々木は春のU18代表候補合宿で163キロを記録、代表に選出されたバッターに、バットにもほとんど当てさせない投球を見せて注目をさらった。その後、病院の検査をしたところ、まだ骨が成長途中にあって完全に固まっておらず、故障の可能性があるとして、それ以降、100%に近い球をなげる事はほとんどなくなった。それでも150キロを記録するなどすごかったが、それによって最後の夏まで全力投球はないだろうと、春先に登板するたびに姿を見せていたプロのスカウトの姿も、一時は少なくなっていた。

そして待ちに待った岩手大会、佐々木投手は一戸戦で6回ノーヒットピッチング、盛岡四戦では延長12回を投げ21個の三振を奪って2失点完投勝利、まだ100%ではないように感じたが、圧倒的な投球を見せた。そして準決勝では一関工を2安打15奪三振完封、常時150キロを越し、140キロのフォークを投げるなど圧倒的なピッチングで、BSが全国放送で岩手大会決勝を中継する決断をする。

しかし、決勝で佐々木投手は登板しなかった。打撃も良く、試合に出場しない時は4番外野手で出場もするのだが、それもなく、その姿はベンチにあった。投手が疲れ、失点をしても国保監督はブルペンにも送らず、佐々木もベンチで動かなかった。おそらく試合前から登板させないことを告げられていたのだと思う。結局、2-12という大差で花巻東に敗れ、甲子園まであと一歩という所で涙を飲んだ。

佐々木投手ももちろん甲子園出場を目指していた。大船渡高校に進学する際に有力な私学から誘いを受けたもの、地元の高校で甲子園に出ると意気込みを見せていた。そして甲子園まであと一歩という所まで来て、自ら登板しないという事は出来なかっただろう。佐々木投手の登板を臨んでいた人から、また佐々木投手を打者としても出場させなかった事に、いろいろな意見が出て騒然となった。

まだその時の決断というのは国保監督からは聞かれていないと思うが、いずれどこかで記事として出てくるのではないかと思う。佐々木投手が投げなくても仕方ないと思ったが、せめて打者として出場してほしかった。そうすれば、国保監督は、甲子園出場をしたくなかったのではないかという疑問を持たれずに済んだのだが。

この「事件」も含めて、炎天下の元で行う夏の高校野球に対して、日中に試合を行う是非、短い期間で連投となるような日程で大会を行う是非、1試合の球数の制限など、様々な議論が行われ、ひとまず来年からは1週間で500球という球数制限が出来た。しかし、議論はまだ始まったばかりで、やはり、夏の地方大会と甲子園は、連投のない日程にしていかなければならないだろう。

第2位 ドクターK・奥川投手

今年の高校野球の開幕となったセンバツ高校野球大会の初日は3月23日、その日の第3試合に、星稜vs履正社という優勝候補同士の対戦が行われた。その試合で奥川恭伸投手が9回17奪三振完封を演じて幕をあける。

春の北信越大会決勝では9回11奪三振、夏の石川大会準決勝・遊学館戦では9回13奪三振、決勝の小松大谷戦では9回14奪三振を記録する。そして甲子園でも止まらず、旭川大高戦では9回9奪三振完封、智弁和歌山戦では延長14回までを投げ3安打に抑えて23奪三振を記録した。準決勝では7回10奪三振を奪ったが、決勝の履正社戦は9回6奪三振5失点だった。

まだ終わらない。U18代表では甲子園の疲労があり大学生との壮行試合やU18ワールドカップの1次ラウンドには登板できなかった。そして2次ラウンド初戦のカナダ戦に登板すると、球数制限がある中でも三振を奪いまくり、7回2安打18奪三振という、アメリカのスカウトも驚く快投を演じた。通常、三振を奪うと球数が多くなるのだが、奥川投手の場合、ほぼ全ての球が制球でき、すべての球をいい所に投げ込める。三振を狙っても1打者に対して3,4球で終わらすことができる。

まさに10年の一人の逸材、圧倒的だった。

第1位 佐々木朗希投手が163キロ記録

昨年、佐々木朗希は154キロを記録していたものの、甲子園どころか東北大会にも出場しておらず、多くの人がまだ見ぬ怪物だった。その怪物がいつベールを脱ぐのかが注目されていたが、3月にセンバツ大会が行われている期間に大船渡高校は関東遠征を行う。そして3月31日に作新学院との練習試合で今年初のピッチングを行った。

まだ、病院での診察前で骨の心配をしないで投げていた時だった事もあり、気温が一桁の寒いコンディションで投球自体は70%の力と話していたのだが、投げられる球は、ストレートでは一番遅い球で147キロ、常時150キロを超え最速は157キロを記録した。その日はセンバツの準々決勝が行われていたが、翌日のスポーツ紙は一面で佐々木の投球を伝えた。ちょうど、奥川投手の17奪三振から1週間後の事だった。

そして約1週間後の4月6日、U18代表候補が参加した合宿が行われ、その練習試合に佐々木朗希がマウンドに立つと、森敬斗(桐蔭学園)、内海貴斗(横浜)、紅林弘太郎(駿河総合)、黒川史陽(智弁和歌山)、上田希由翔(愛産大三河)、山瀬慎之助(星稜)と、後にドラフト1位、2位で指名される選手が3人もいる打者6人をノーヒット6奪三振に仕留めた。しかもバットに当てたのは、内海選手のファイル1球だけだった。

その後、病院での診察を受け、本気での投球は、高校ではこれが最後となる。佐々木投手は今年のベストピッチングとして、3月31日の作新学院との練習試合を挙げていた。

真っすぐはもちろんだが、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、全ての球の速さ、キレ、コントロールが良い。夏の岩手大会で140キロのフォークボールが大きく沈んだが、真っすぐは160キロ、落ちる球も150キロ台の球で勝負できるのではないかと思う。大谷翔平投手も怪物だが、佐々木投手はさらに怪物かもしれないという予感を持ちながら、来年からのプロ野球での成長と活躍を期待したい。

163キロ記録、佐々木朗希投手へのスカウトの声
佐々木朗希投手の163キロについて、U18代表候補メンバーの声

2019年ドラフト10大ニュース終わり

2019年ドラフト総決算(7)~ドラフト10大ニュース~その1
2019年ドラフト総決算(9)~最後に~

2019年ドラフト総決算(1)高校生の選手達~少年野球編「佐々木、奥川を生んだ出会い」
2019年ドラフト総決算(2)BIG4の形成
2019年ドラフト総決算(3)高校生たちのドラフト会議
2019年ドラフト総決算(4)大学生の主役
2019年ドラフト総決算(5)大学生たちのドラフト
2019年ドラフト総決算(6)社会人野球の選手たちのドラフト


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