2019年ドラフト総決算(5)大学生たちのドラフト

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2019年のドラフト会議で大学生は、投手17名、捕手6名、内野手4名、外野手9名の36人が指名された。ドラフト会議で指名された大学生を、ポジション別にドラフト指名順に並べた。プロにたどり着いた選手、そして共に道を走ったドラフト候補選手たちをストーリーで追う。大学生編の第2話(最終話)です。

2019年ドラフト総決算(4)大学生の主役
2019年ドラフト総決算(1)高校生の選手達・・・高校生編

スカウトの目に留まった選手たち

大学3年生になると後輩の数の方が多くなると、チームの中心としてやっていかなければという思いが強くなり、大きく成長する選手が出てくる。大学1,2年でトップを走った選手に肩を並べる選手が出てくる。

東京六大学では慶応大が3年生世代を中心に黄金時代を迎える。前年の秋もリーグ制覇をしているが、1年生の佐藤宏樹関根智輝の大活躍による勝利だった気がする。そしてその佐藤、関根が故障の影響で今季はほとんど投げられなかった中、3年生の高橋亮吾が2勝0敗、リーグ2位の防御率1.23を記録すると、高橋佑樹も2勝0敗、津留崎大成が1勝、石井雄也が2勝と、3年生4投手で7勝を挙げた。それらを支えたのは捕手・郡司裕也で、郡司は打率.365で再びリーグ上位に返り咲いた。

しかし昨年秋に続き、日本一には届かなかった。大学野球選手権では苫小牧駒大の伊藤大海の球に驚きながらも攻略をすると東日本国際大戦では郡司選手の2安打3打点の活躍で大勝し準決勝に進出する。そこで立ちはだかったのは東北福祉大・津森宥紀だった。津森はサイドハンドから150キロに迫る球威の球を投げ、主にリリーフとして登板していた。しかしこの大会では準々決勝の白鴎大戦で先発すると、延長10回まで3安打7奪三振1失点の完投勝利を挙げる。そして中1日で迎えたこの日の慶応大戦でも5回途中から登板し、4回2/3を2安打5奪三振無失点に抑えた。慶応大は序盤に3-2とリードをしていたが、この津森の投球に勢いづいた東北福祉大に6回に5点を与え逆転を許し力尽きた。

一方、明治大の森下暢仁は3勝2敗と、もう一つ勝ち切れない投球が続いていた。イニング数に並ぶヒットを許し、失点も許す。エースとして期待される中で、これぞエースという投球ができずにいた。早稲田大の加藤雅樹は打率.333を記録し、昨年秋の不調からは脱したが、特に加藤にはホームランが期待され、1本塁打を放ったものの2年春に記録した4本塁打キャリアハイにはまだ追いつけていなかった。慶応の柳町達は今季も14安打を記録する。1年春に14安打を記録してから13安打、16安打、14安打とコンスタントに打ち続けているが、今季はホームランが初めて0本となり、打点も4にとどまる。

東都リーグでは東洋大・佐藤都志也の一人旅が続き、佐藤はさらにスケールアップさせる。今季はリーグトップタイの19安打で打率は.358、そして4本塁打と長打力が爆発し11打点を挙げた。押しも押されぬ東都のスラッガーへと成長を見ていた。しかし、他の選手が続かない。打者も佐藤に続く3年生が表れず、投手も強力な4年生の前に出番も少なかった。

それをよそ目に好選手が飛び出す。東海大の海野隆司がリーグ首位打者を獲得、抜群の肩はセカンドまで1.7秒台を記録し俄然注目を集めた。関西学生リーグでは立命大の坂本裕哉が3勝を上げ、上昇への足掛かりを作る。関西六大学・大商大の大西広樹は敵なし状態に入る。リーグ戦で6勝0敗、防御率0.98を記録する。小野寺暖も主軸として2本塁打18打点、.405の活躍を見せた。国際武道大の勝俣翔貴も3本塁打11打点と、変わらずの活躍を見せる中で、豊田寛が打率.405で勝俣を上回ってきた。白鴎大の中村伊吹が防御率0.38で最優秀防御率投手になると、同じ白鴎大の金子莉久が打率.404で首位打者となる。創価大では杉山晃基が今季も5勝0敗と無双な中、同じ創価大の望月大希が3勝1敗ながら防御率1.27で2位、杉山を上回る。

このほかにも北翔大の本前郁也が札幌学生リーグで3勝0敗、防御率0.69を記録、八戸学院大の北畠栞人が.581という驚異的な打率を残して首位打者となる。仙台大の稲毛田渉も本格化して3勝1敗の成績を残した。天理大の八木玲於は4勝0敗の成績を残した。

大学野球選手権でスカウトの目を惹いたのは、奈良学園大の菅田大介だった。1年生の春から高い打率を残した左バッターは、3番ライトで出場すると2安打2打点の活躍を見せる。また外野からの鋭い返球を見せると、6回途中からはマウンドに登る。187cmの左から投げられる球は、球速こそ140キロ前半から中盤だが、球の質が素晴らしく、3回2/3を2安打4奪三振で無失点、このマウンドでの姿がスカウトの瞼に焼き付いた。ここからドラフト直前までスカウトが菅田投手を負う事になる。

またもう一人、投手が注目される。宮崎産業経営大の杉尾剛史は、巧みに変化球を使い、創価大を8回2失点に抑える。杉山、望月との投げ合いを制し、こちらもスカウトが高く評価をした。意気揚々で大会に臨んだ東海大の海野は、全国の怖さを感じた。6番バッターとして2安打を記録し、東海大自慢の投手陣をリードしたものの九産大に初戦敗退をした。それでも持ち前の広い視野と強肩は、大学NO.1捕手と呼ばれるようになっていった。立命館大の坂本も国際武道大戦で先発、7回途中まで6安打9奪三振2失点の投球を見せ、来年の左の即戦力として注目されるようになった。

大商大の大西は、全国の舞台に既に慣れていた。初戦の天理大戦は5回を投げて1安打4奪三振、コールドで勝利を挙げる。しかし大商大は大西が先発しない次の試合で敗れ、大西に続く2番手の育成が、全国上位進出のカギとなる。大会は先に書いたように東北福祉大の津森の活躍で優勝を納めた。

代表の争い

春のリーグ戦や選手権の結果、6月になると代表候補が召集される。3年生では投手では東京六大学でエース級の投球をしている森下暢仁田中誠也の他、東北福祉大の津森宥紀が追加で召集された。3人は実力の高さ、経験と実績、そして特徴を評価され代表入りを果たす。

捕手は3年生中心となる。慶大の郡司裕也がU18に続き代表候補に入ると、立大の藤野隼大、東洋大・佐藤都志也、東海大で頭角を現した海野隆司も名を連ねる。厳しい選考となる中で、佐藤は打撃を評価され、ファーストや外野での起用も視野に代表入りを決めると、強肩の海野と立教大の藤野が選ばれた。郡司は東京六大学の代表で臨む世界大学野球選手権の方に呼ばれ、日米大学野球とハーレムベースボールウィークを戦う侍ジャパン大学代表は選ばれなかった。

内・外野手では勝俣翔貴がU18代表に続いて召集された他、慶応大の柳町達、中京大の和田佳大、近畿大の中川智裕竹村陸が召集された。しかし、最終的に代表入りしたのは勝俣のみだった。

日米大学野球では森下暢仁が1戦目の先発を任されると、得意のカーブがアメリカ打線を混乱させ、5回を1安打2奪三振に抑えるピッチングを見せた。松本航、小島和哉などがいる中で堂々のエースの投球だった。2勝3敗で負け越したものの、佐藤都志也は5番などを打ちコンスタントにヒットを打つ。津森はリリーフとして好投を見せた。8月に行われたU18代表との壮行試合では、大学生たちが違いを見せつける。佐藤はライトからの強烈な送球でランナーを刺すと、強烈な3ベースヒットを見せ、勝俣はドラフト候補の浦和学院・渡辺から強烈な一発を放った。森下は1イニングをノーヒット無失点に抑えた。代表入りできなかった郡司は、神宮で躍動する選手たちを見ながら、来年の代表入りを強く誓っていた。

秋には法政大の宇草孔基が2本塁打に19安打を記録し本格化すると、慶応大の高橋佑は6勝を挙げる活躍を見せた。明大・森下は4勝を挙げるも3敗を喫し、まだ勝ち切れない状態が続いていた。東都では高校時代から注目された国学院大の横山楓が、0勝1敗ながらも力を見せはじめ、いよいよラストイヤーに入っていく。

大学生のドラフト

森下暢仁

3年時に春秋合わせて7勝も6敗と、素質は十分わかるのだが勝ち切れていなかった森下暢仁投手、4年では主将としてチームを任された。そしてエースとして常時150キロ前後の球を投げ、得意のカーブなどを制球良く投げ込む。春は4勝1敗、もう勝ち切れない投手とは呼べない、完ぺきなエースとなった。大学野球選手権でも決勝で10奪三振1失点完投で日本一となり、侍ジャパンでも2年連続エースとしてアメリカと対戦、1回戦では5回2安打9奪三振と、再びアメリカをねじ伏せる。3回戦に中2日で先発をし敗れたものの、それから中1日で3試合目となる5回戦に先発すると、再び5回1安打無失点と完ぺきに抑えた。

森下はドラフト1位指名はもちろん、12球団がAランクに評価し、指名重複も予想された。しかし、高校生の佐々木、奥川の評価が上回り、また石川、森といった野手をとりに行った球団もあり、広島が単独1位で非常に幸運な指名となった。

佐藤都志也

佐藤は結論からいうと、4年生では苦しんだ。3年時に見せた外野からのバックホームや打撃センスに、捕手としてよりも外野手としての期待が高まる。捕手としては細かいプレーで気になる部分も多かった。打撃も春は15安打で打率.303とギリギリ3割台に乗せる。2年連続の代表入りを果たしたが、5試合でわずか2安打に終わると、秋も打率は.302で意地を見せたが納得のいくものでは無かった。しかし、捕手として春・秋でベストナインを獲得し、特に秋は送球、キャッチングなどに向上も見られ、ドラフト会議では千葉ロッテに2位で指名された。

郡司裕也・柳町達

郡司は4年秋に充実のシーズンを送った。春は成績は振るわなかったものの、初となる日米大学野球を戦う侍ジャパン大学代表に選出される。その日米大学野球ではスタメン捕手は東海大の海野に譲ったが、第4戦で2打席連続ホームランを見せて実力を示した。秋は16個の四死球を選び、打率.394をマーク、4番として2本塁打10打点の活躍でチームを日本一に導いた。ドラフト会議では中日に4位で指名を受けた。

柳町は4年生の春に通算100安打を達成すると、キャリアハイの17安打、打率.378を記録した。そして念願の代表入りを果たすと、3番バッターとして12打数6安打の好成績を残す。秋は郡司と共に日本一にも輝いた。リーグ通算は113安打まで伸ばし、福岡ソフトバンクにドラフト5位で指名された。

宇草孔基

他にも野手では法政大・宇草孔基が急上昇した。春に19安打を記録し打率.339、4本塁打を放った。代表入りすると不動の1番バッターとして活躍し、日米大学野球では18打数6安打、U18との壮行試合では、佐々木朗希の初球の152キロをレフトに運び、ファインプレーでアウトとなったが思い切りの良さを見せる。そして強肩の星稜・山瀬から盗塁を決めるなど貫禄を見せつけた。秋は打率.100と絶不調となったが、広島のドラフト2位で指名された。

勝俣翔貴

勝俣はここまで順調に来ていたが、4年春に右手の骨折をしてしまう。代表では完治していない状態で合宿でバットを振っていたが、思うような打撃ができずに代表入りをすることができなかった。それでもU18代表から始まり、3年までコンスタントに活躍を見せてきた事が評価され、オリックスにドラフト5位で指名された。高校時にプロ志望を出していたら3位前後での指名があったかもしれないが、大学4年間で得た経験に比べれば順位の違いは大したことないだろう。

大学生たちのドラフト

投手では、日体大の吉田大喜が日米大学野球5試合で防御率0.00の成績を残し、秋は先発としても投げ、東京ヤクルトのドラフト2位で指名された。他にも大学野球選手権で大西の2番手として成長した橋本侑樹が中日に2位で指名され、大西(ヤクルト4位)より上で指名された。

また、各球団のスカウトが各リーグから見つけてきた金の卵も指名された。広島文化学園大の梅林優貴は、中国地区リーグの2部でプレーをしており、名古屋大の松田亘哲は愛知リーグ3部で投げていた。

片や奈良学園大の菅田は4年時も多くのスカウトが注目したものの、ドラフト会議で名前は呼ばれなかった。立命館大の156キロ右腕・福島滉貴は、結局4年秋まで登板することができなかった。早稲田大・加藤雅樹も最後までプロ入りに向けて挑戦を続けたが、あと一歩及ばず、東洋大の山田知輝と法政大・安本竜二は、4年春に5本塁打を放ちアピールをしたものの、高い評価を得るには時間が短すぎた。U18で活躍をしていた駒大・上野翔太郎は故障に苦しんだものの4年秋の1部2部入れ替え戦でようやく本来の力を見せた。

ドラフト会議で指名された選手と指名漏れとなった選手に、大きな違いは無いように思える。活躍をしたタイミングの良さなどで違いとなって表れた事も少なくないだろう。しかし、すべては小さいことの積み重ねであり、それが評価された選手が指名を受けた。

2018年、同じ学年でU18代表でエースとして投げ、2015年のドラフト会議でプロ入りしていた佐藤世那投手が戦力外となった。結果として、プロ入りするタイミングが早かったのかもしれないし、そこで入っていなければプロ入りは出来なかったのかもしれない。今年のドラフト候補でも高校時にプロ志望をしていれば、という選手もいる。

高校生までは、プロとの実力がありすぎる。またプロ入り入りが目標となっている。しかし大学4年間を経験すると、かなりプロのレベルに近づくことができ、目標はプロ入りする事ではなく、プロで活躍する事と変わってくる。この4年間の成長は、選手によって良い人生を歩むための宝となる事だろう。

大学野球部員数は4学年で28,708人。1学年はだいたい7,200人となる。その中のわずか36人が入っていくプロ野球の世界、そこに飛び込む選手たちには厳しい戦いが待っているが、その戦う姿を見て勇気づけられながら、それぞれの道を進み続ける人が大勢いる。

大学生編(完)
社会人編→2019年ドラフト総決算(6)社会人野球の選手たちのドラフト

2019年ドラフト会議、指名選手一覧
2019年のドラフト候補
2019年度-大学生投手のドラフト候補リスト
2019年度-大学生捕手のドラフト候補リスト
2019年度-大学生内野手のドラフト候補リスト
2019年度-大学生外野手のドラフト候補リスト

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