仙台育英が28日、「創部95周年記念」として今春センバツ準優勝の強豪・智弁和歌山を招いて行った招待試合で、4-0と快勝した。この試合で、左腕エースの吉川陽大投手(3年)が5安打8奪三振と圧巻の投球で完封勝利。関西遠征での悔しさをバネに大きな成長を遂げた姿を披露した。
122球で智弁和歌山を完封「いろんな球種でカウントが取れた」
プロ志望を明言している145キロ左腕の仙台育英のエース・吉川陽大投手が、今春センバツ準優勝の強力・智弁和歌山打線を相手に122球の熱投。9回5安打8奪三振で完封勝利を飾った。この日は自己最速を更新する147キロを記録すると、9回の最後も145キロのストレートで投ゴロに打ち取り、自ら一塁ベースを踏んで試合を締めた。「今日はいろんな球種でカウントが取れたので良かったです」と、自身の投球に確かな手応えを感じていた。
3月の関西遠征では苦い経験をした。大阪桐蔭、京都国際、智弁学園といった強豪校と対戦したが、「久しぶりにどれだけ修正しても全部打たれて、ぼこぼこにやられました」と完敗した。「真っすぐだけでは通用しない」と痛感し、新たにカーブとチェンジアップを習得。この日も、決め球である低めの変化球を見極められる場面はあったが、緩急とコースを巧みに使い分けることで相手打線を翻弄。「緩急でカウントを取りつつ、直球で三振を取れたことがこの結果につながりました」と、投球の幅が広がったことを実感していた。
須江監督「頼もしい」女房役・川尻捕手も「球威増した」と成長を証言
冬場にストレートの威力向上を目指し、投げ込みを続けてきた。春には145キロを記録すると、この日も147キロを計測。バッテリーを組むこちらのプロ注目の川尻結大捕手(3年)は、「球速では表せないような、回転数というか。数字には出ない球威が増しました」とエースの成長について話した。
仙台育英の須江航監督も、吉川投手の成長に「本当に頼もしいです」と目を細める。ただし、この日の試合は「今日は走塁ミスもありましたし、ゲーム中盤には攻めあぐんでますし、手放して喜べる内容ではありませんでした」と、夏へ向けて気を引き締めた。
対戦した智弁和歌山の中谷仁監督も「ピッチャー中心にあそこまで守備を固められると、なかなか崩れないので、吉川くんにやられましたね」と脱帽した。「次は甲子園で再戦できるように頑張りたいです」と、聖地での雪辱を誓った。
2年ぶりの夏王座奪還へ、吉川投手は「先を見ずに1戦、1人、1球にこだわって戦っていきたいです」と意気込む。夏の甲子園、そして侍ジャパンU18代表、秋のドラフト会議と、思い描くレールは急な上り坂だが、着実にステップして上り詰めていく左腕に注目したい。
吉川陽大投手 プロフィール
- 氏名:吉川 陽大(よしかわ あきひろ)
- 生年月日:2007年12月28日
- 出身地:神奈川県横浜市(出生は広島県広島市)
- 経歴:茅ケ崎エンデバーズ(小3) – 横浜都筑シニア(中学) – 仙台育英高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:176cm・72kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速147キロの左腕。2025年6月28日の智弁和歌山との招待試合で5安打完封勝利。関西の強豪校との練習試合での敗戦を糧に、カーブとチェンジアップを習得し投球の幅を広げた。同郷の智弁和歌山・渡辺投手とは中学時代から知る仲。好きな芸能人は箭内夢菜。

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