社会人野球日本選手権では今年のドラフト会議で指名された投手が、社会人野球に恩返しをしている。
横浜DeNAドラフト2位・平田真吾投手
社会人野球日本選手権の2日目、第1試合はHonda熊本の平田真吾投手が先発すると、最速144km/hも140km/h前半のストレートをインコースに決め、フォークやスライダーで空振りを奪い、9回まで2安打無失点に抑えた。試合は0-0のまま延長戦に入っても平田投手は点を許さず、延長12回タイブレークで味方が1点を奪うと、その裏も見事に無失点で切り抜けた。延長12回、154球を完投し2安打9奪三振5四死球で無失点だった。
北九州市立大に素質を見込まれて入学したが3年秋までくすぶっていた。しかし徳永監督に「そろそろやらんか」といわれて目が覚めると4年生ではエースの活躍を見せ、社会人でも2年目の今年、都市対抗で好投しドラフト2位でプロ入りする投手となった。
平田投手は「全国大会で勝てないまま逃げるのは嫌だった」と社会人で活躍をせずにプロ入りすることが許せなかった。この1勝で誰もが納得してプロへ送り出してくれるだろう。
JX-ENEOSとパナソニックの対戦はドラフト指名投手同士の好投
第3試合は都市対抗2連覇中で昨年の日本選手権覇者でもある王者・JX-ENEOSと西の強豪・パナソニックが対戦し、JX-ENEOSは横浜DeNAからドラフト4位指名された三上朋也投手、パナソニックは東京ヤクルトが3位指名した秋吉亮投手が先発した。
試合は三上投手が最速145km/hの力のあるストレートとキレの良いスライダーでパナソニック打線を抑えていたが、4回に1アウト3塁からタイムリーヒットを許し1失点してしまう。その後は無失点に押さえ7回1/3を3安打8奪三振で1失点に抑える好投を見せた。
しかし対戦相手の秋吉亮投手はヒットを許しながらも要所で三振を奪う力投で、8回1/3を10安打8奪三振で無失点に抑え、王者・ENEOSに土をつけた。
三上投手は試合後に涙を流したが、この悔しさは東京ヤクルトの秋吉亮投手にリベンジすれば良い。190cmの長身で法政大、JX-ENEOSでもエース格として期待されながら、悩み続けていた印象がある。オーバースローをスリークォーターにして変化球で勝負するスタイルになったが、オーバースロー時代の投げ下ろす球もあり、まだまだ成長過程の投手だと思う。
社会人日本選手権第2日(29日、JFE西日本0-1ホンダ熊本、京セラドーム大阪)DeNAからドラフト2位指名されたホンダ熊本の平田が「公式戦で初めて」という完投勝利をわずか2安打の完封で飾り、「チームに恩返しができた」と安堵の表情を見せた。
140キロ台の直球にスライダーを織り交ぜ9奪三振。タイブレークに入った十二回に1点をもらうと、反撃を許さず逃げ切った。
試合前にDeNAのスカウトから激励を受けた。24歳の右腕は「全国大会で勝てないまま(プロに)逃げるのは嫌だった。これで自信になった」と目を輝かせた。
絶対王者を沈めた。ヤクルトからドラフト3位指名を受けている秋吉が8回1/3を154球の無失点。
「ずっとENEOSに勝ちたいと思っていましたから」。JX―ENEOSの先発・三上もDeNAから4位指名を受けており、プロでの前哨戦を制し「チームにいい置き土産ができました」と勝利を素直に喜んだ。ただ、完封を逃したことには「悔しさはあります。ああいうところがまだまだですね」と課題を胸に刻んだ。
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