【センバツ】近江の148キロ右腕・上田健介投手が延長10回力尽きる、自身初の無四球で示した覚醒の129球

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第98回選抜高校野球大会第4日の第2試合。滋賀と岐阜の県境を越えた「隣県・関ケ原対決」となった近江(滋賀)と大垣日大(岐阜)の一戦は、今大会初の延長タイブレークにもつれ込む歴史的な死闘となった。近江の先発はプロ注目の最速148キロ右腕・上田健介投手(3年)。大会前に出力が上がらず、昨秋には制球難の見せていたが、この日は甲子園で9回まで無失点、10回途中まで「無四球」という完璧なマウンドを披露した。

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制球難からの脱却。宿舎での投げ込みで掴んだ「下に、下に」の意識

「先頭を出したけれどゼロに抑えられたので、今日は行けると思った(スポーツ報知)。」試合後、上田健介投手は静かに投球を振り返った。昨秋の公式戦では、40回1/3を投げて与四死球28と制球に苦しんだ。3月の練習試合でも全4戦で失点し、球速も130キロ台が多く、状態は最悪と言っても過言ではなかった。それでも背番号1を託されたチームへの思いから、宿舎入りしてからも、控え捕手の東間結貴選手(3年)を相手に、短い距離でフォームを意識した投げ込みを繰り返した。

導き出した答えは「下半身」だった。投球の際に重心を「下に、下に」と意識し、浮きがちだったリリースポイントを徹底して低く抑えた。その成果が、この大舞台で発揮され、自身初の無四球完投(タイブレーク含む)として結実した。182センチ84キロの堂々たる体躯があり、この日は最速も最速145キロを記録した。キレのあるカットボール、スライダーも思うように決まり、昨秋までは制球を乱して自滅していた怪物が、大垣日大打線を沈黙させ続けた。小森博之監督(42)も「私が見た中では、シーズンに入ってから一番いいピッチングだった。やめずに継続した努力の賜物(日刊スポーツ)」と、その変身ぶりに目を細めた。

魔の10回タイブレーク、甘く入った直球に「悔しいです」と溢れた涙

試合は両エースの投げ合いにより、0-0のまま延長10回タイブレークに突入した。無死一、二塁から始まる中で1死を奪ったものの二、三塁とピンチが広がる。上田投手が大垣日大の代打・高橋遼選手に投じた126球目、内角を狙った直球がわずかに中へ入った。打球は右翼線へ運ばれる先制の2点適時二塁打となり均衡が破れた。

「内を狙った直球がちょっと甘く入った(スポーツニッポン)。」その裏、チームは1点を返したものの、2死満塁の逆転機を逃して試合終了。整列を終え、肩を落とす仲間の姿を目の当たりにした瞬間、上田投手の目から大粒の涙が溢れた。「悔しいです(日刊スポーツ)。」これまで淡々と投げ続けてきた右腕が、初めて感情を剥き出しにした。4打数2安打と気を吐きながらも最後の打者となった箕浦太士選手(3年)は、「上田があれだけ頑張ってくれたのに応えられなかった。宿舎で悩んでいる姿を見ていたからこそ、今日のピッチングは感動しました(スポーツ報知)」と涙を拭った。エースの背中が、チームを一つにまとめ上げていた。

女房役・杉本将吾主将の自責

上田投手を最も近くで支えてきたのが、主将で捕手の杉本将吾選手(3年)だ。杉本主将は10回の失点について「自分の配球ミス。上田はいつも以上の力を出してくれたのに勝ちをつけられなくて申し訳ない(中日スポーツ)」と自らを責めた。10回裏の攻撃では、1死満塁の好機で見逃し三振に倒れたことも「まだまだ自分が甘い」と深く反省した。しかし、二人が築き上げた「無四球」のリズムは、間違いなく今大会屈指のバッテリーであることを証明していた。

昨年4月に就任し、これが甲子園初采配となった小森監督。指揮官は、3年生と相談した上で、直近で不調だった上田投手の先発を決定した。「出力が上がってこなかったけど、今日は最高の内容。勝負なので仕方がないが、選手たちは一生懸命やってくれた(サンケイスポーツ)。」かつて2001年夏に近江の主将として準優勝を果たした指揮官の初勝利は、夏へと持ち越しとなった。

琵琶湖ブルーが誓う夏の再会

「試合は負けたけれど、すごい楽しかったです。絶対に甲子園に帰ってきたい(スポーツ報知)。」敗戦のショックを受け止めながらも、上田投手の言葉には前向きな光が宿っていた。無四球で完投した実績を自信に、制球で悩むことは減っていくだろう。そして次はバットに当たっても前に飛ばせない圧倒的なボールを追求し、目標とする「150キロ」到達を目指す。

【上田 健介】 プロフィール

  • 氏名: 上田健介(うえだ・けんすけ)
  • 所属: 近江高校(3年)
  • 出身: 滋賀県
  • ポジション: 投手
  • 投打: 右投右打
  • 身長・体重: 182cm、84kg
  • 主な特徴や実績: 自己最速148キロのプロ注目右腕。昨秋の課題だった制球難を克服し、選抜1回戦の大垣日大戦で9回2/3を投げ、自身公式戦初となる無四球投球を披露。下半身主導のフォームへと改造し、抜群の安定感を手に入れた。夏の大台150キロ到達に期待がかかる。

【杉本 将吾】 プロフィール

  • 氏名: 杉本将吾(すぎもと・しょうご)
  • 所属: 近江高校(3年)
  • ポジション: 捕手(主将)
  • 投打: 右投右打
  • 身長・体重: 177cm、84kg
  • 主な特徴や実績: 近江の扇の要であり、精神的支柱を務める主将。抜群の強肩と昨秋打率5割超の強打が武器。上田健介投手を巧みにリードし、甲子園での「無四球」快投を支えた。チームを牽引する統率力は小森監督からも高く評価されている。
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この記事を書いた人
yuki

 1996年よりドラフト会議ホームページを解説し、30年間に渡ってドラフト候補選手の分析や12球団のドラフト会議の指名を分析してきました。
 雑誌「野球太郎(http://makyu.yakyutaro.jp/)」にも執筆。
 2008年からはドラフト会議に関する情報を毎日投稿しており、2024年時点で23,000以上の記事書いています。
 また、ドラフト候補の動画とみんなの評価サイト(player.draft-kaigi.jp)では、みなさまがおすすめするドラフト候補選手が、これまでに3万5千人以上登録されておりその評価も行っています。

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