早稲田実・清宮幸太郎選手の2度目の甲子園が終わった。1年夏の甲子園で2発のホームランを放ちチームもベスト4に勝ち進んだが、今大会はホームランは不発、2回戦で姿を消した。
飛球に非凡さ
この日は変則フォームの東海大福岡・安田投手のインコース高めの球に苦労し、第1打席は三塁へのフライ、第2打席は一塁ゴロだった。そして第3打席、打球はセンター方向への飛球となり打ち取られたかに見えたが、他の選手とは群を抜く飛球の高さでフェンスギリギリまで届くと、相手外野手二人が譲り合ってグラウンドに落ち、3ベースヒットとなった。第4打席はファースト横を抜ける痛烈な2ベースヒットだった。
今大会は1回戦の明徳義塾戦で4打数1安打0打点、この試合は5打数2安打0打点、ホームランもなく打点もなかった。相手チームが清宮選手を研究し、そしてチームを研究して清宮選手に打点を挙げされなかった。徐々に対清宮の戦い方が練られていく。
怖いもの知らずで出場した1年生の夏とは違い、甲子園で打つ難しさを痛感した大会となった。
プロスカウトの評価は変わらず
ホームランは出なかったものの、打ちあがる飛球はものすごく高く、プロのスラッガークラスのパワーを証明した。またプロのスカウトは初めて対戦する選手の初球からフルスイングをしていく姿勢を高く評価した。この日も千葉ロッテの諸積スカウトが「珍しいタイプの投手でも初球からバットを振れているのがいいですね」と話した。
また、2回戦も視察をした阪神の畑山チーフスカウトは「彼らしい打球は見られたし、捉えた時の打球や上がり方はやはりものが違う。追う言う舞台で自分のスイングをする姿勢を見られたのは良かった」と話すと、福岡ソフトバンクの山本スカウトも「高校生であんな高い飛球はない。随所で見るべきところを作る。時代を代表する打者だし、能力はずば抜けている」と話した。
課題を見せる。インコース低めの球を痛烈に引っ張るのが持ち味だが、今大会はそれが特に目立った。この日の安田投手はそこをうまく突き、ファウルを打たせてカウントを稼いだ。外角やインハイの球の対応はまだまだという印象も受けた。
プロ1年目から活躍してもらう選手ならば、もう1段階上のバッティングを見せてほしいが、プロのスカウトも今はとにかく思い切り引っ張って、強いスイングで強い打球を打つ姿を暖かく見守っているという感じ。いろいろな事はプロ入りしてからという所だろう。
4月に入るとすぐに春季大会が始まり、5,6月には各地の招待試合に呼ばれる事になりそうだ。そして最後の夏、清宮選手が再び甲子園に姿を見せることができるか、注目したい。
「悔しいです。もうちょっと長くやるはずだった。でも、これで終わりではない。戻ってきて、今度はもっと勝てるようにしたい」 主将として声を出し続けた2時間10分。その表情はすがすがしかった。
阪神の畑山俊二チーフアマスカウトは「彼らしい打球は見られたし、捉えた時の打球や上がり方はやはりものが違う」。ソフトバンク・山本省吾スカウトも「時代を代表する打者だし、能力はずばぬけている」と、今後も密着マークを続けていく方針を示した。
あと1本に迫る高校通算80号も、お預けになった。「ふがいない。この負けをムダにするわけにいかない。夏はもっと白熱する。最後のチャンスにかけたい」。
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