社会人野球のJABA京都大会では、昨夏の都市対抗王者・王子(春日井市)がパナソニック(門真市)に勝利した。今秋のドラフト指名解禁を迎える最速147キロ左腕、樋口新投手(23=愛知工業大)と、パナソニックの柿本晟弥投手とのドラフト候補対決は、樋口投手が終盤の激しい追い上げに遭いながらも9回128球を投げ抜き、6失点完投。同学年のライバルとの投げ合いを制した。
「柿本より先に降りない」同学年右腕との意地が激突
樋口新投手にとって、この日のマウンドは特別なモチベーションに満ちていた。相手の先発は、同じく今秋のドラフト候補に挙がるパナソニックの柿本晟弥投手。樋口投手は「相手投手も柿本だったので、柿本より先にマウンド降りないっていうのを意識して投げた(日刊スポーツ)。」と振り返り、ライバル心を剥き出しにしてマウンドに立った。
序盤は圧巻の投球だった。テンポ良くストライクを先行させ、ランナーを出しても決定打を許さない。6回まではわずか3安打に抑え込む快投。全27アウトのうち7つの三振を奪い、全ての球種でカウントを取れる精密なマウンド捌きで、試合の主導権をがっちりと握り続けた。
7回の痛恨被弾と9回のピンチ。指揮官の激に応えた128球
しかし、中盤以降は今年で休部となるパナソニック野球部の意地に苦しんだ。3点リードの7回、1死二、三塁のピンチでパナソニックの1番・山路将太郎選手に中堅への同点3ラン本塁打を浴びた。「あの7回のホームランは悔しい結果になりました(日刊スポーツ)」と唇を噛んだが、ここからが樋口投手の真骨頂だった。
9回に味方打線が4点を勝ち越した直後の裏、再び試練が訪れる。先頭に出塁を許すと、代打の鈴木大照選手に2点本塁打を浴び、1点差にまで詰め寄られた。疲労がピークに達していたものの、「きつかったんですけど、監督から『この試合投げ抜け』と言ってもらったので。もう気持ちだけは切らさずに最後まで投げ切ろうと思っていました(日刊スポーツ)。」と、最後まで投げきって1点差を守りきった。
わずか1点差に泣いた予選、次なる戦いへの収穫
試合は王子の勝利に終わったが、チームとしては残酷な結末が待っていた。Dブロックの予選は、王子、パナソニック、日本製鉄山口が2勝1敗で並ぶ三つどもえの混戦。大会規定による総失点数の差で、日本製鉄山口がわずか1点差で決勝トーナメント進出を決め、王子は惜しくも予選敗退となった。
この日はオリックス、横浜DeNAなどのスカウトが視察し、柿本投手と共に樋口投手にも注目した。この日の投球は良い状態ではなかったかもしれないが、連覇を狙う都市対抗、そして、秋に日本選手権に向けて、樋口投手にエースの自覚を受け付ける大会となった。
【樋口 新】 プロフィール
- 氏名: 樋口新(ひぐち・あらた)
- 所属: 王子(入社2年目)
- 出身: 千葉県(千葉経済大付高-愛知工業大卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 180cm、80kg
- 主な特徴や実績: 最速147キロを誇る本格派左腕。愛工大時代から注目され、王子入社後は制球力とスタミナが向上。2026年JABA京都大会でパナソニックを相手に9回6失点(128球)の完投勝利。高い修正能力とライバルに負けない勝負根性が武器。2026年ドラフト候補。







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