清武代表とオーナーの対立は必然だった

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 11月11日の14時から巨人のコンプライアンスに関する記者会見ということで発表があった。ドラフトで菅野投手の動向が注目されている中で、そのことに関するものという憶測もあり、江川の空白の一日の記者会見のイメージがチラっと頭をよぎった。

 しかし実際には読売新聞・渡辺会長の人事介入に対する反発の会見だった。正直言って、オーナーが球団の人事に口を出すのは日本だってアメリカだってあることで、それをオリンパスなどのコンプライアンス違反に繋げるのはどうかなと思います。また球団社長も知らないところで文部科学省で記者会見ということで、相当追い詰めらていたのでしょう。

 清武代表の球団改革、球界改革は目を見張るものがあり、それまでFAで他球団の大物を集めていた巨人を、ドラフトやファーム中心の体制に代え、ドラフトでは定量的な独自の選手評価手法を導入、さらに育成枠の導入を積極的に行い山口、松本といった選手が登場し、07年~09年にはリーグ3連覇を達成しました。09年の長野久義、10年の沢村拓一と他球団も狙う逸材を囲い込んで単独1位指名する戦略でともに1軍でレギュラーとして活躍する選手となりました。しかし、10年に外国人補強などに失敗しリーグ優勝を逃すと今年も優勝を逃すと、自らの戦略だったドラフト1位選手の囲い込みで獲得確実と思われた菅野投手が獲得できなかった事、獲得できない事を想定していなかった事などから追い込まれていった感じがします。

 千葉ロッテの瀬戸山代表も今年球界を去りました。昨年はチームを日本一に導いたものの、トレードなどからオーナーと意見が対立したこと、また全体的に小ぶりな選手が目立ちチームのバランスを失っている感じもします。今回の問題もこれに非常に似ている感じがします。同じGMや監督が長い期間続けると、チーム方針を明確にするのは良いですが、それにより補強のパターンが偏りバランスを欠くことがあります。特に独自の評価手法を導入しても良いのですが、それは毎年変えていかなければ同じような選手が集まってくる可能性もあります。そういった意味で今回の対立は必然だった気がします。

 また、特に巨人は球界の盟主としてスター性など派手な部分もファンから要求され、FAや外国人補強、ドラフトで知名度の高い選手を獲得することが求められたりもします。くしくも昨日、映画の「マネーボール」が日本で公開されました。アスレチックスのビリービーンGMが独自の定量的な選手評価を行い、他球団が注目していない無名選手をドラフトやトレードで獲得、それらの選手が活躍してチームが強くなったほか、選手を安く獲得し活躍させて他球団に高く売る流れを作りました。チームを強くする素晴らしい方法ですが、ヤンキースがこれをやっちゃいけない気がします。

 いろいろ書きましたが、今回の問題は巨人内部の問題です。ですが清武代表の功績や能力をプロ野球は生かすべきで、それこそNPBの経営に参画して、オーナー会議とコミッショナーとの関係などの改革を担当して欲しいと思うばかりです。

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コメント

  1.  清武英利球団代表(61)の“逆上”で巨人再生が一気に加速する。渡辺恒雄球団会長(85)から来季のコーチ人事を差し替えされ、ゼネラルマネジャー(GM)職を剥奪されたことから、告発記者会見を開いた清武代表兼GM。自業自得の“自爆テロ”となるのか。

     前代未聞の造反劇。球団事務所などでできるわけがないから、記者会見の場を他にしたのは当然だが、ホテルではなく、日本野球機構(NPB)の監督官庁の文科省というのが、いかにも虎の威を借る狐の清武流。涙まで流すパフォーマンスぶりだ。

     そして、「大王製紙やオリンパスのように、企業の権力者が会社の内部統制やコンプライアンスを破るようなことがあってはならない」と渡辺球団会長の人事差し替えを声高に非難した。が、側近ナンバーワンを自任してその最高権力者の権威を後ろ盾にしてやりたい放題やり、結果を出せなかったのが清武GMだ。フロントは側近ばかり。批判的な記事を書かれればすぐに取材拒否。自分に従わない巨人OBに対しては読売主催の野球教室から外すなど露骨な対応をする。

     「あれだけ補強に失敗すれば、誰が監督でも勝てるわけがない」。2年連続のV逸で今季3位に終わった元凶はフロントの責任だと、事あるごとに強調していた渡辺会長。そもそもシーズン途中から清武代表に対しGM兼務を命じた際に、「GM職を作ったのは編成の責任を明確にするためだ。ダメなら責任を取ってもらう」と明言していた。

     粛清人事の矛先が清武GMに向けられたのはむしろ当然だろう。獲得した外国人選手は全員使い物にならない。シーズン途中の補強も他球団で戦力外の元4番コンビ、日本ハム・高橋信二、ロッテ・大村三郎というピンボケぶり。「渡辺会長に向けてフロントは仕事をしていますというアリバイ補強」と他球団関係者から冷笑されたほどだ。

     さらに、シーズン終了後のコーチ陣改造も、今さらのヤクルト時代の野村ID野球門下生・橋上秀樹氏、秦真司氏招へいなど首をかしげるしかない人事。渡辺会長は報道陣に対し、こう怒りの声を上げている。「君たちは誰に聞いてコーチ人事を書いているんだ。オレは知らんぞ。責任を持てんぞ」と。

     そこで、渡辺会長自ら大物コーチ招へいに動いていたというのだ。清武球団代表兼GMが声明文で暴露した、渡辺会長による岡崎郁(かおる)ヘッドコーチの降格、江川卓氏の招へい人事だ。

     岡崎ヘッドコーチは選手時代から原監督の腹心と言われていたが、2軍監督から1軍ヘッドコーチに就任してからは清武GMと急接近。「原の後は岡崎監督でいいじゃないか」と、清武GMが周囲に漏らしていたという情報まである。が、巨人OBの間からは「何が岡崎監督だ。ふざけるな」との怒りの声が噴出した。岡崎ヘッドコーチに代わる江川新ヘッドコーチという、渡辺人事案にはファンにも受け入れられるだけのインパクトがあったのに、暴露されて白紙に。

     裏事情を知らない向きは、長年続いている渡辺ワンマン体制に対してクビをかけて抗議した、正義の味方・清武GMという構図でとらえがちだろうが、実際は大違いだ。渡辺会長の威光を借りて、これまで好き勝手をやっていた清武GMが結果を出せずにとうとうGM職を外された。その恨みを内部告発の記者会見で晴らしただけ。渡辺会長にすれば、忠実な飼い犬に裏切られ、かまれたようなものだろう。

     ただ、2年連続V逸の元凶だったフロントを束ねる清武氏がいなくなれば、巨人再生の道が開ける。今後は暴露本として、自著「巨人軍は非情か」に続く続編をぜひ書いてもらいたい。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)