社会人野球界に激震が走った。セガサミーホールディングスは14日、同社が運営する強豪チーム「セガサミー野球部」が2026年シーズンをもって活動を終了し、廃部することを公式ホームページで発表した。2005年の創部以来、都市対抗野球大会に14度出場し、3度の4強入りを果たすなど、常にトップレベルでしのぎを削ってきた名門が、約20年の歴史に幕を下ろす。昨年12月に発表されたパナソニックの休部に続く衝撃的な知らせとなった。
「経営環境の大きな変化」、経営統合の象徴が下した苦渋の決断
セガサミー野球部は、株式会社セガとサミー株式会社が経営統合した翌年の2005年8月に創部された。当時は「従業員の一体感を醸成し、結束力を高める象徴的な存在(スポーツニッポン)」として、グループの歩みを支える重要な役割を担っていた。しかし、発表されたリリースによると、「当社グループを取り巻く経営環境は近年大きく変化しており、チームの近年の状況なども踏まえて検討を重ねた結果」、活動終了という判断に至ったという。
チームは昨年まで2年連続で都市対抗野球大会の予選敗退を喫するなど、結果が出ない時期も続いていた。企業スポーツを取り巻く環境が厳しさを増すなか、名門・パナソニックの休部に続く、今回の廃部の決定は、社会人野球の構造的な変化を象徴する出来事となった。同社は「これまで培われたグループシナジーや経験、感動体験は、今後の企業活動、および地域やスポーツへの貢献活動に引き継いでまいります」としており、今後は別の形でのスポーツ支援を模索していく方針だ。
都市対抗14度出場、日本選手権準V、長嶋茂雄氏も愛した
セガサミー野球部の歴史は、華々しい戦績に彩られている。都市対抗野球大会には14度出場し、2018年、2020年、2021年にはベスト4に進出。社会人日本選手権には6度出場し、2014年には準優勝を果たした。また、昨年6月に他界した巨人の終身名誉監督・長嶋茂雄さんとも深い交流があり、都市対抗出場の際には幾度となくスタンドから激励に訪れる姿が見られた。
戦績だけでなく、その応援スタイルも全国の野球ファンに愛された。ゲーム会社ならではの「サクラ大戦(帝国華撃団)」といったアニメソングやゲームミュージックを駆使した応援は、東京ドームの名物となって「帝国華撃団の応援歌が聞けなくなるのは残念(日刊スポーツ)」といった声も聞かれた。日本製鉄やトヨタ自動車といった重工な日本のものづくり企業とは違った、ソフト・コンテンツ企業としての代表的な野球部だった。
OB・宮崎敏郎が語る「感謝」
チームの廃部を受け、ここからプロの世界へと羽ばたいていったOBも心境を明らかにした。セガサミーからドラフト6位でDeNAに入団し、プロ野球で首位打者を獲得した宮崎敏郎選手は、「古巣のセガサミー野球部が今季で活動終了と聞き、寂しい思いです。自分の野球人生にとってかけがえのない、大事な時間を過ごせた場所でした。今在籍している方々に最後の最後まで戦い抜いてもらい、有終の美を飾ってもらいたいと思います。」と話した。
昨季の新人王であるヤクルトの荘司宏太投手や、西武の森脇亮介投手ら、多くの現役プロ野球選手を輩出してきた。社会人野球の厳しい環境で磨かれた「セガサミー魂」は、今もNPBの舞台で脈々と受け継がれている。
最後の戦いは6月の都市対抗予選、ルーキーのドラフト指名解禁も
廃部の決定を受け、所属選手たちは今後、社業への専念や、他チームへの移籍、独立リーグへの挑戦など、それぞれの道を模索することになるが、特に、今年チームに 入部した選手は、今年のドラフト会議での指名が解禁となり、最後のセガサミー戦士としてプロ野球に進む可能性もある。
吉野蓮投手は立教大でリリーフとして活躍し、3月のスポニチ大会でも威力ある球を見せていた。樫村佳歩投手は立正大を東都1部に昇格させた立役者で小柄ながら150キロの速球は伸びがある。立花祥希捕手は大学4年秋に捕手のベストナインに輝いた選手で、山口謙作投手も中央大出身のサウスポー、黒川怜遠選手は楽天・黒川選手の弟。中村匡伸選手は日本経済大で実績は少ないが高いポテンシャルを持っている投手。他にも3年目の岩本大地投手や尾崎完太投手なども高校、大学で注目されていた投手で、その進路が注目される。
直近の大きな目標は、6月12日から開幕する都市対抗野球東京都2次予選で、15度目となる都市対抗本戦出場をかけて戦う。草海光貴投手や中川智裕選手、植田匡哉選手、北川智也選手など、長年チームを支えてきた社会人屈指の選手たちが「有終の美」かけた戦いに挑む。一つの時代の終焉。社会人野球ファンの記憶に深く刻まれた「緑と水色と白のユニホーム」を目に焼き付けたい。
【セガサミー野球部】 チーム概要
- 創部: 2005年8月
- 本拠地: 東京都(練習場:東京都八王子市)
- 主な戦績: 都市対抗野球大会出場14回(最高成績:4強)、社会人野球日本選手権出場6回(最高成績:準優勝)
- 主な輩出プロ選手: 宮崎敏郎(DeNA)、荘司宏太(ヤクルト)、森脇亮介(西武)など
- 活動終了時期: 2026年シーズンをもって活動終了・廃部予定















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