桐光学園辛勝、松井裕樹投手144km/h記録し9奪三振、8球団13人のスカウト視察

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 桐光学園が初戦を迎えた。

 神奈川の強豪・相洋戦で松井裕樹投手が先発し、5回までは144km/hを記録したストレートを9割近く投げて打ちとっていったものの、5回に2点を奪われ同点に追いつかれるとスライダーを中心とした投球に変えた。6回に三者三振を奪うなどいつもの三振を奪うスタイルになったかと思われたが、8回には2安打、9回には1安打と2四球で1アウト満塁のピンチを迎えるなど、三振で圧倒するいつものピッチングは見られなかった。

 おもわず「あぶねー」と口をついた。初戦のプレッシャーは相当なものがあったのだろう。球数は124球、昨年の夏から球数を減らす事を目標にいろいろな事に挑戦してきたが、この日はその結果を見せる事はできなかった。9回を完投して7安打9奪三振4四死球で2失点、松井投手の最後の夏がスタートした。

 スタンドには8球団13人のスカウトが視察した。

巨人・山下哲治スカウト部長:「初戦で力んでいるところはあったが、誰が見てもほれる投手」

横浜DeNA・稲嶺茂夫スカウト:「力が入っていた。でもこういう状況で粘り強い投球を見せたのは良い。自分なりのテーマを持って投げていた」

オリックス・中川隆治スカウト:「中盤からギアが入った。強弱をつけて投げられていた」

阪神・北村スカウト:「高低のコントロールが定まらなかった。1戦1戦良くなっていくでしょう」

福岡ソフトバンク・永山スカウト部長:「直球を待っているところで直球を投げたり考えてやっている。十分です。」

 どっと沸く歓声に紛れ、松井が思わず声を出した。「あぶね~」。2点リードの9回1死満塁、長打が出れば逆転のピンチで倉本鉄平捕手(2年)を宝刀スライダーで空振り三振。ラストは5回に同点2点打を許した栗田亨祐三塁手(3年)を入魂の138キロ直球で一邪飛に仕留めた。国内8球団計13人のスカウトが見つめる中、124球完投も7安打を浴びて2失点。代名詞の奪三振も9個だけの冷や汗発進に、大きく息を吐いた。

 仲間に救われた。「待ちに待った夏なので気持ちが入り過ぎてしまった。みんな声をかけてくれたので投げられた」。象徴的なシーンは3回だ。先頭に二塁打を打たれ、2死までこぎ着けると、マウンドに歩み寄った田中幸城捕手(1年)に頬をつままれた。「肩の力を抜いて、リラックスしていこう!」と“タメ口”でゲキを飛ばされ、スライダーで三振に斬った。

 「配球は(田中に)任せていた」。5回までは9割が直球。「タイミングが合ってきた」(田中)6回から変化球を駆使し、球がばらつく中で粘った。「うちは上下なく言い合えるのが強み。こういう下級生がいてくれるのは心強い」と頭を下げた。

最後はヒヤリとした。2点リードの9回に一打同点のピンチを招く。何とか後続を抑え初戦を突破したが、整列に向かう松井は思わず「危ねえ」と口走った。  「待ちに待った夏の大会だったのでテンションが上がってしまった。仲間が声をかけてくれて最後は開き直ってできた」

 9回7安打2失点で代名詞の三振は9奪三振にとどまった。「4打席目に初めて見るような球を投げないと神奈川では勝てない」という野呂雅之監督の考えもあり、5回まで伝家の宝刀のスライダーを封印。55球のうち直球を47球も投げたが、それを狙われた。5回1死二、三塁から9番の栗田に左前打され同点に追いつかれた。

 すぐに変化球中心の配球に変え、6回には3者連続三振。8回1死一塁は得意のけん制でしのいだが、9回にもピンチを招いた。内野安打と2四球で1死満塁。ここでさらにギアを上げた。「三振を取りに行くことしか(頭に)なかった」と8番・倉本への初球はこの日最速タイの144キロ。「ここだけは譲れない」と捕手のサインに首を振り、5球目のワンバウンドのスライダーで空振り三振。続く栗田を直球で一邪飛に仕留め、何とか相洋を振り切った。点差によっては継投を考えていた野呂監督は「夏は負けてしまえば終わり。余裕のない試合は松井と心中する」と初戦の厳しさを痛感した様子だった。

 巨人、DeNAなど8球団のスカウトが松井に熱視線を送った。  巨人・山下哲治スカウト部長は「初戦で力んでいるところはあったが、誰が見てもほれる投手」と話し、DeNA・稲嶺茂夫スカウトは「自分なりのテーマを持って投げていた」と、試合中に配球を変える能力を評価した。オリックス・中川隆治スカウトは「中盤からギアが入った。強弱をつけて投げられていた」と語った。

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