第74回全日本大学野球選手権大会は決勝が行われ、東北福祉大学(仙台六大学)が福井工業大学(北陸大学)を8-1で下し、7年ぶり4度目の大学日本一に輝いた。準決勝、決勝で計7安打と大暴れした佐藤悠太外野手(3年=報徳学園)が、決勝で完投勝利を挙げた櫻井頼之介投手(4年=聖カタリナ学園)を抑えて最高殊勲選手賞(MVP)を獲得した。チームは大会新記録となる5試合計59安打の猛打で、東北に栄冠を持ち帰った。
MVPは佐藤悠太選手、準決&決勝で7安打
佐藤悠太選手は今大会、準決勝の青山学院大学戦では、バックスクリーン越えの特大2ランを含む4安打3打点。そして決勝でも、4回の第3打席で貴重な追加点となるライト線へのタイムリー三塁打を放つなど3安打1打点2得点と大活躍を見せた。
決勝と準決勝の2試合で7安打。最高殊勲選手賞(MVP)に輝いた。「そういう賞があるとは知らなくて。桜井さんかと思っていました。自分でいいんでしょうか」と話したものの、「野球をするのが楽しくて、それがいい結果につながったと思います」と大会を振り返った。
報徳学園時代は投手だったが、怪我をきっかけにイップスとなり、多くを2軍であるBチームで過ごし、一度は野球をやめようとしていたが、野手に転向すると東北福祉大学で再び野球の楽しさを思い出し、東北福祉大で3年となった今年、大きく花開いた。「野手としてこういう舞台でプレーできているとは想像もつかなかった。高校で控えでも目標をもってやれば何とかなる、それを実践できた感じでしょうか」と話す。同じように、現在、高校の2軍にいる球児にも、希望を与えるMVPとなった。
東北の雄が取り戻した誇り
大学野球は東京六大学、東都、そして関西学生といったリーグのチームが、やはり全国から選手が集まる環境もあり優位だが、一昔前は今以上に地方の大学に野球をする環境も少なく、首都圏や関西圏のチームと力の差があった。しかし、東北福祉大は仙台に居を構え、1980年頃から積極的にスカウティングを行うようになると、佐々木主浩投手や斎藤隆投手、矢野燿大選手や金本知憲選手などを擁し、仙台六大学リーグで実に77回のリーグ優勝で大学野球選手権の常連となり、全国制覇も成し遂げた。地方大学の雄としての代表格と言える。
しかし、近年は仙台六大学リーグの仙台大が実力を大きく伸ばし、特に春は仙台大が制する事も多く東北福祉大は今年は3年ぶりの選手権出場だった。特に昨年は春秋ともにリーグ優勝を逃し、44年ぶりの屈辱を味わった。OBでもある山路哲生監督の「勝てなくてもプライドを持って戦ってほしい」という言葉に選手たちが発奮。「プライド、ポジティブ、パッション。3つのPを大切にしよう!」を合言葉に、ヒットを打てば胸の「TOHOKU」の文字を指でなぞり、指を3本立てるポーズを見せた。
大会前は櫻井頼之介投手、堀越啓太投手、滝口琉偉投手、大森幹大投手の4年生と、3年の猪俣駿太投手などの強力投手陣が注目されていたが、大会新記録となる59安打という強力打線も投手陣としっかりと噛み合い、7年ぶりの頂点にたどり着いた。
佐藤選手は来年のドラフト候補となり、一躍ヒーローとなった。ドラフト指名解禁となる来年は高い注目度の中でプレーをすることになる。
佐藤悠太選手 プロフィール
- 氏名:佐藤 悠太(さとう ゆうた)
- 生年月日:2004年11月22日
- 出身地:神戸市
- 経歴:六甲アイランド少年団野球部(小3) – ヤング神戸ドラゴンズ(向洋中) – 報徳学園高校 – 東北福祉大学(3年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:180cm・83kg
- ポジション:外野手
- 主な特徴や実績:2025年全日本大学野球選手権で最高殊勲選手賞(MVP)を受賞。準決勝で4安打、決勝で3安打を記録し、チームを7年ぶりの日本一に導く。報徳学園高校時代は投手だったが、イップスを経験し野手に転向。大学通算4本塁打。将来のプロ入りを目指す。







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