第98回選抜高校野球大会第8日の第3試合。三重(三重)は大阪桐蔭(大阪)を相手に一度は3点差を追いつく粘りを見せたが、延長10回タイブレークの末に5-6で惜敗し、8年ぶりの8強進出を逃した。4番手として登板した古川稟久投手(3年)は、1回戦よりも出力を挙げ、自己最速を3キロ更新する149キロを計測、王者・大阪桐蔭打線を3イニング無安打に抑える快投を見せたが、タイブレークの失策と犠飛に泣いた。三重にとって大阪桐蔭は、2014年夏の決勝、2018年春の準決勝に続き、3度目の「1点差負け」というあまりに高い壁となった。
因縁の1点差。延長10回、痛恨の暴投に「悔いが残る」
「僕らの代で因縁を晴らす気持ちだった。かなり悔いが残る(サンケイスポーツ)。」試合後、声を震わせた古川稟久投手は、たった一つのプレーを悔やんでいた。5-5で迎えた延長10回表、タイブレークの無死一、二塁。初球だった。サインプレーのタイミングがわずかに合わず、投じた直球が指にかかりすぎてワンバウンドとなり、捕手が後逸。無死二、三塁とピンチを広げると、続く打者に勝ち越しの犠飛を許した。
この日は初戦とは違い、球場表示で自己最速の149キロを連発していた。またスライダーが大きく鋭く曲がり、直前の8回、9回を完璧に抑えていた。しかし、タイブレークの10回について、「最後の最後で気持ちが切れてしまったというか、ちょっと油断してしまった分、高めに浮いてしまった(サンケイスポーツ)。」と話した。それでも大阪桐蔭の強力打線を相手に3回ノーヒット5奪三振に封じ込めたのは、大きな印象を残した。
野球の原点は「探偵!ナイトスクープ」。前田健太投手に憧れた少年時代
古川投手が白球を握るきっかけは、関西の人気番組「探偵!ナイトスクープ」で、広島時代の前田健太投手(現楽天)が出演し、魔球の投げ方を伝授する回を見て「ボールってこんなに曲がるんや。ボールを自由に扱ってみたい(デイリースポーツ)」と思ったことがきっかけ。そこから投手として前田投手バリのキレのあるスライダーを投げるようになった。この日の登板でも、奪った5つの三振のうち4つを変化球で奪った。
183センチの長身から投げ下ろすストレートは140キロ後半を記録し、、鋭く変化するスライダーのコンビネーションは、王者・大阪桐蔭の主軸をも苦しめた。そしてそれだけでなく、前田健太投手の存在がグッと近くなった投球でもあった。
「夏までに155キロ」次はリベンジ
三重はこれまで大阪桐蔭に対し、2014年夏の決勝では3-4、2018年春の準決勝では延長12回の末に2-3と、常に紙一重の差で敗れてきた。この日も、先発の吉井海翔投手(3年)から、船橋昊投手(2年)、皿井湊士投手(3年)、そして古川投手へと繋ぐ必死の継投で王者に食らいついた。打線も4回の2暴投での追い上げや、8回の大西新史選手(3年)による同点犠飛など、執念を見せたが、あと1点が遠かった。
「夏までに155キロを出して、全国に通用する投手になって戻ってきたい(スポーツニッポン)。」と話し、古川投手の視線はすでに夏へと向いている。
【古川 稟久】 プロフィール
- 氏名: 古川稟久(ふるかわ・りく)
- 所属: 三重高校(3年)
- 出身: 三重県(四日市市出身・桑員ボーイズ出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 183cm、78kg
- 主な特徴や実績: 自己最速149キロを誇るプロ注目右腕。前田健太(楽天)に憧れ、鋭いスライダーと威力ある直球が武器。選抜2回戦の大阪桐蔭戦では4番手で登板し、3回無安打1失点(自責0)の快投。夏の大台155キロ到達を目指す期待の大器。










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