NPBが、フリーエージェント(FA)宣言した選手が国内移籍した際の旧所属球団への補償制度である「人的補償」の撤廃に向け、本格的な検討を進めており、それに伴う案として、翌秋のドラフト会議における「特別指名権(1.5位指名枠)」の付与が検討されていることがわかった。
人的補償の問題、プロテクト漏れや回避のために育成契約
プロ野球のFA市場では、年俸ランクがAクラス(旧所属球団の日本人選手中1〜3位)またはBクラス(同4〜10位)の選手を獲得した球団は、自球団の支配下選手のうち外国人選手と任意に定めた28人(プロテクト選手)を除いた名簿を相手球団に提出し、相手球団はその中から任意の選手を1人獲得できる、人的補償という制度がある。当初、FA制度には、選手保有枠の少ないプロ野球の球団において、主力選手が流出することの懸念が強く、そのようなチームに補償を与えるための制度として設けられた。
しかし、この人的補償制度には以前から現場やプロ野球選手会から強い不満と問題点が指摘されていた。選手会は、自らの権利(FA)行使によって、同僚の選手が意図せぬ移籍を強いられる精神的プレッシャーがFA市場そのものを停滞させることや、若手有望株をプロテクトする結果、功労者であるベテラン選手がプロテクト外となって流出するケースが目立つこと、また、人的補償の対象外である「育成契約」がプロテクト漏れを防ぐための抜け穴として利用されている可能性などを挙げている。
代替案は「ドラフト指名枠」
人的補償を撤廃した場合、選手を失った旧所属球団への補償をどうするか。MLBでは「ドラフト会議での特別指名権(コンペンセーション・ピック)」を付与する制度があり、ドラフト会議でそれを補償している。
具体的には、ドラフト1位指名の終了後に、FAで選手が抜けた球団に臨時の指名枠(1.5位指名枠)を与えるというもので、流出したFA選手の年俸ランク(A・B)に応じて、2位と3位の間や、3位と4位の間での指名枠などが設定される。
この代替案が導入されれば、ドラフト会議の戦略は根底から覆る。これまでは2位まで残らないと予想されていた超目玉級のアマチュア選手(例えば東都大学リーグや東京六大学リーグ、さらには高校球界の逸材たち)を、旧所属球団は「1.5位」として他球団に先駆けて単独獲得することが可能になる。選手個人を強奪される痛みを伴わず、球団の未来を担う「ドラ1級の原石」を2人獲得できるメリットは、球団再建(リビルディング)を進めるフロントにとって極めて魅力的な補填策となる。
これにより、ドラフト上位クラスの選手を3人まで獲得できる可能性も出てくる。ただし、FA移籍が行われた翌年ということで、MLBに比べると、ドラフト候補選手の状況がまだわからない状況となる。ドラフト指名枠の補償についてはこれまでも言われてきたが、これによってドラフト指名制度がまた変わる事になり、どのような変化が起こるか、導入されたら注目されることになりそうだ。







コメント