稲葉篤紀、宮本慎也の指名された1994年ドラフト会議は?

選手コラム

 北海道日本ハムの稲葉篤紀選手と、東京ヤクルトの宮本慎也選手が2000本安打に王手をかけた。二人は1994年にそれぞれヤクルトの2位、3位で指名され入団、ヤクルトの黄金期を支えた選手だった。同一チームで同じ年のドラフト会議から2000本安打を記録するのは非常に珍しい。1994年のドラフト会議はどのような状況だったのか、振り返ってみます。

 この年注目されたのは秋田経法大付の小野仁投手、高校生左腕で152kmを記録し、キューバ代表からも三振を奪うなど、20年に一人の逸材と言われた投手だった。ドラフト会議史上最多の8球団が1位指名をするとみられていたが、直前にプロ入りを拒否し新日本石油入りを表明した。巨人入りを熱望しており2年後の1996年に巨人から2位指名を受けて入団している。

 小野投手がプロ入りを回避した事で注目されたのが高校生スラッガー。横浜高で4番を打った紀田彰一選手と、甲子園で2本の本塁打を放った北陽高の嘉勢敏弘選手、紀田選手には地元横浜の他、中日、そして福岡ダイエーの監督に就任が決まっていた王監督が注目し獲得を狙ったが、最終的に横浜、中日が指名した。福岡ダイエーは全国では無名ながら通算70本塁打を放っていた城島健司選手の指名に方針転換、駒沢大入りが決まっていた城島選手を強行指名し、王監督が直接説得しプロ入りへこぎつけた。これによりアマチュア側が反発し、プロ志望届けの提出と、プロ志望をしなかった選手の指名ができないというルールが作られた。

 その他1位では千葉ロッテ・大村三郎(サブロー)や広島・山内などが指名されている。そして2位では千葉ロッテ・ジョニー黒木知宏、阪神・北川博敏、西武・小関竜也、広島・などが指名され、東京ヤクルトはプリンスホテルの宮本慎也を指名した。

 稲葉篤紀選手はアマチュア時代は法大の4番を打っていたもの、リーグ通算で打率.280(86安打)、本塁打6本とそれほど有力な候補ではなかった。しかし、当時ヤクルトの監督だった野村克也氏が息子・克則選手(明大)の試合に訪れた時に稲葉選手を見て、「是非稲葉が欲しい」とスカウトに話し3位指名で獲得した。稲葉選手は当初近鉄が指名予定だったという。

 その他に活躍している選手としては、西武3位の西口文也投手。立正大で活躍し7球団が獲得を目指し、外れ1位候補にも名前が挙がっていたが数球団を逆指名し3位での入団となった。現在177勝を挙げている。広島4位の高橋建選手は左のローテーション投手となりメジャーでもプレーした。

 横浜高校は紀田選手の他、クリーンナップを打った多村仁、斉藤宜之選手にも注目が集まり、横浜が多村選手を、巨人が斉藤選手を4位で指名した。横浜は5位で相川亮二捕手を指名、谷繁選手の後任の正捕手としてチームを支え、FAにより東京ヤクルトの投手陣を支えている。
 福岡ダイエーは4位で藤井将雄投手を指名、中継ぎエースとして福岡ダイエーの優勝を支えたが、ガンにより5年という短い期間での活躍となってしまった。西武は6位で早大・準硬式野球部の山田和幸選手を指名したが、内蔵疾患などもあり2年で退団した。昨年、早大ソフトボール部から指名された北海道日本ハムの大嶋選手はどのような活躍を見せるのだろう。

1位外れ1位2位3位4位5位6位7位
日本
ハム
金村秀雄 右投
仙台育英
厚沢和幸 左投
国士舘大
桜井幸博 右投
仙台工
島田一輝 右外
NTT関東
城石憲之 右内
春日部共栄
横浜○紀田彰一 右内
横浜高
米正秀 右投
神戸製鋼
福盛和男 右投
都城高
多村仁 右外
横浜高
相川亮二 右捕
東京学館
加藤謙如 左外
駒大苫小牧
千葉
ロッテ
大村三郎 右外
PL学園
黒木知宏 右投
新王子製紙春日井
橋本将 右捕
宇和島東
信原拓人 左内
相生高
後藤利幸 右投
三菱重工神戸
岸川登俊 左投
東京ガス
池野昌之
右捕
富士宮北
阪神山村宏樹 右投
甲府工
北川博敏 右捕
日大
田中秀太 左内
熊本工
川尻哲郎 右投
日産自動車
矢野正之 右投
霧が丘高
福岡
ダイエー
城島健司 右捕
別府大付高
斉藤貢 右投
プリンスホテル
本間満 左内
駒大
藤井将雄 右投
日産自動車九州
ヤクルト北川哲也 右投
日産自動車
宮本慎也 右内
プリンスホテル
稲葉篤紀 左内
法大 
吉元伸二 左外
三菱重工長崎
近鉄田中宏和 右投
桜井商
中川隆治 右投
青学大
南真一郎 右投
新日鉄堺
川口憲史 左内
柳川高
広島
東洋
山内泰幸 右投
日体大
嶋重宜 左投
東北高
朝山東洋 右外
久留米商
高橋建 左投
トヨタ自動車 
横山竜士 右投
福井商
田村恵 右捕
樟南
井上紘一
右外
市和歌山商
オリックス嘉勢敏弘 左投
北陽高
丸尾英司 右投
仏教大
五島裕二 右投
山梨学院大付
豊田次郎 右投
川崎製鉄神戸
中日×紀田彰一 右内
横浜高
金森隆浩 右投
立命大
山田洋 右投
日通名古屋
山田広二 左内
トヨタ自動車
原田政彦 右捕
東海理化
三輪敬司 右捕
愛工大名電
大西崇之 右外
ヤオハンジャパン
西武富岡久貴 左投
東京ガス
小関竜也 左外
国学院栃木
西口文也 右投
立正大 
高木浩之 左内
駒大
寺本比呂文 左投
川崎製鉄神戸
山田和幸 右内
早大準硬式
読売河原純一 右投
駒大 
織田淳哉 右投
早大
福井敬治 右投
智弁学園
斉藤宜之 左外
横浜高
高村良嘉 左内
新日鉄光
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コメント

  1. 私の見方は、全く違うんですよね、誰も注目していなくても、眼力があるなら上位指名してこそ眼力があると言えると思いますね。上位では有名候補というような無駄な指名をしている球団は、余分なコストをかけているだけだと思いますね。巨人、ソフトバンクなどは、本当に効率の悪い運営をしてると思いますね。

    但し上位か下位かは、他球団との駆け引き、ドラフト候補のマーケット及びチーム事情にもよるとは思いますが。

    下位指名の活躍に眼力ありとは思えないですね。上位指名や過去の指名、育成に失敗した場合等ではないですかね。

    チーム作りの優先ポイントは上位指名するわけで、下位は予備指名の要素が強いわけで、下位指名ばかり活躍している球団は、たまたまであり、本来の上位指名には失敗している場合もあるわけで、下位指名の活躍イコール眼力というのは思い込みではないでしょうか。

    何でも客観的な分析をしないとね。記事や報道を真に受けてしまうドラフトファンが多いから、実際の活躍している選手と前評判の差が大きいんでしょうね。

  2. 誰もが注目しない選手を指名して(下位で)活躍すれば、スカウトに眼力ありですね。注目される選手が活躍しなければ、期待はずれですね。

  3. そおですか?
    誰もが注目しないから下位で指名出来た。→下位で指名出来たから契約金も抑えることが出来た。
    と言う風には考えられないんでしょうか?
    誰もが注目する選手から本当に活躍する選手を上位指名して、誰もが注目しない選手を下位指名する方がチーム補強には効率的と思いますけど。

    ちなみに長野選手や澤村投手の活躍は、ドラフト1年前の評価を十分に上回るものだと思いますけど。

  4. 私の見方は違いますね。3位以下が予想外に活躍したのが、スカウトの眼力があったとは思えませんね。眼力は、1位、2位上位が活躍して眼力があったと言えますね。もっと言えば他球団が下位指名予定の候補を上位指名して活躍すれば。あるいは、単独の上位指名で活躍した場合でしょう。誰もが注目する候補を1位落札したり、巨人みたいに逆指名で活躍したところで眼力があったとは言えませんね。

    いずれにせよ、下位指名候補の活躍は、たまたまであり、眼力ありとは言えませんね。

  5. この年の前年から逆指名ドラフトが始まったけど、3位以下でいぃ選手が集まったドラフト年でしたね。
    西口投手、稲葉選手、多村選手、相川捕手を獲得した球団は見る目がありましたね♪