第107回全国高校野球選手権愛知大会が28日に開幕し、日米のプロ球団から注目された最速150キロ左腕・芹澤大地投手(3年)が、腰の痛みを抱えながらも監督に登板を直談判。最終回に2アウトから5番手としてマウンドに上がり、打者1人を4球で空振り三振に仕留めた。
「投げたくなって」監督に直談判
芹澤大地投手は22日の練習試合で腰を痛め、この試合の登板は回避する予定だった。しかし、仲間たちが大量リードを奪い、多くの観客が自分に注目していることを感じ、「ベンチにいると投げたくなってしまって。僕のことを見に来てくれる人も多いと思った。僕も初戦で一人でもいいので、投げておきたいと思っていました」と河原仁監督に登板を志願した。
知立との試合は、コールド勝ちまであと1アウトとなった7回2死二塁の場面でマウンドへ上がると、球場は大きな歓声が上がった。最速143キロだったがすべてストレートを投げ、わずか4球で空振り三振に仕留めて試合を締めた。「球場の緊張感を味わえてよかった」と、短い登板ながらも確かな手応えを掴んだ。
今春の高校日本代表候補合宿に公立校から唯一選出された。世代ナンバーワン左腕と呼び声高く、日米のプロ球団が熱視線を送っていた。しかし、芹澤投手は大会前に卒業後の進路について「社会人野球に進みたいと思っています」と明言しており、この日も「プロ志望届を出す予定はない」と言い切り、まずは社会人の舞台で心技体を磨く決断はゆるがない。そのため、この日は視察したスカウトは0人だった。
無名の中学時代からから、最後の夏に甲子園へ
中学時代は無名の存在だった。「勉強も頑張りたい」と地元の公立校である高蔵寺に進学。1年夏にはこの日対戦した知立に初戦敗退したが、芹澤投手は登板機会がなかった。「夏の初戦の難しさを知った試合だった。先輩の負けを見ていたので、リベンジしたい」と臨んだ一戦で、チームとして、そして個人としても成長した姿を見せた。
「腰もだいぶよくなっている」と語る左腕。「次も勝って、甲子園に出場したいです」と、創部初の聖地へ向けて高校野球を燃焼する。
芹澤大地投手 プロフィール
- 氏名:芹澤 大地(せりざわ だいち)
- 生年月日:2008年3月23日
- 出身地:愛知県春日井市
- 経歴:ニュータウンジャガーズ(小2) – 高蔵寺中学校(軟式野球部) – 高蔵寺高校(3年)
- 投打:左投左打
- 身長・体重:182cm・67kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:最速150キロを誇るプロ注目の左腕。2025年4月のU18高校日本代表候補合宿に公立校から唯一選出された。卒業後は社会人野球へ進むことを明言。2025年夏の愛知大会初戦で腰の痛みを抱えながらも志願登板し、1人を4球三振に仕留めた。高蔵寺高校では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。50メートル走6秒9。







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