第107回全国高校野球選手権南北海道大会札幌地区予選は代表決定戦が行われ、夏の甲子園連続出場を目指す札幌日大が、札幌白石に10-0で5回コールド勝ちし、5年連続となる南北海道大会進出を決めた。この試合で、侍ジャパンU18代表候補にも名を連ねるプロ注目のエース・窪田洋祐投手(3年)が今大会初先発し、左手首の怪我からの復活投球で、視察に訪れたプロ5球団のスカウトにその実力を見せつけた。
怪我から復活のエース、54球1安打無失点の快投
窪田洋祐投手は188cmの長身から最速148キロの球を投げる投手として、また強打の右のスラッガーとして注目をされているが、春は左手首の怪我でほとんど登板することができなかった。この日、夏の初先発のマウンドに上がると、188cmの長身から投げ下ろす角度のあるボールで相手打線を圧倒。初球にこの日の最速・145キロをマークすると、5回をわずか54球、許したヒットは4回2死から浴びた左中間二塁打の1本のみ、3奪三振無失点と完璧な投球を披露した。
本人は「思った通りにいかないというか、あまり良くはなかったが、その中で何とかなったので、そこに対しての対応は良かった」と話し、まだ本調子ではないとしたが、春はリリーフで2回2/3しか投げられなかった状態からの復活に、手応えを感じる投球だった。それでも、「右インハイに抜けるボールが多くて死球も出したし、課題ですね」と、つぎの登板に向けて課題も見つけた。
投球術に磨き「打ち損じをさせる投手」へ
この夏は、力だけでなく技で打ち取る投球を目指している。「打ち損じをさせる投手を目指していて、力を抜いて消耗しないピッチングがだいぶわかってきた」と、投げられなかった期間に投球術に磨きをかけてきた。夏の大会前の練習試合では常に完投し、肩のスタミナを作り上げてきたという。
札幌日大の森本琢朗監督も高く評価する。「去年は野手としての信頼を勝ち得た。今年は投手としても中心を任されるような覚醒をしてほしい」と、絶対的なエースとしての活躍に期待を寄せた。
打っても3番でタイムリー!目指すは“信頼されるエース”
昨夏の甲子園では「4番・中堅手」として出場した打撃でも、この日は勝利に貢献した。3番打者として打席に入ると、3回1死一、二塁のチャンスでレフト前へタイムリーヒットを放った。初戦では「打席数を多くするために」と1番で起用されるなど、チームの状況に応じて打順を変えながら結果を残している。
春からエースナンバーを背負う。その手本は、昨年チームを初の夏の甲子園に導いた小熊梓龍投手(現桐蔭横浜大)だ。「誰からも信頼されていたし、小熊さんが打たれたら仕方ないと思って守っていた」。偉大な先輩の背中を追い、「結果を出し続けて信頼を勝ち取っていきたい」と語る。目標はチームの日本一。「そこにつながる北海道で圧倒しないと。結果だけでなく内容で圧倒できるようにやっていきたい」。苦しんだ春を乗り越えたエースが、チームを夏連覇、そしてその先の頂点へと導く。
プロもその素質を十分評価していると見られる。そして今年は投手としての評価も高まってゆきそうで、投打のアピールが続けられれば、北海道日本ハムが昨年のドラフト会議で1位指名した柴田獅子選手のように、プロでも二刀流で期待される選手となるかもしれない。
窪田洋祐投手 プロフィール
- 氏名:窪田 洋祐(くぼた ようすけ)
- 所属:札幌日本大学高校(3年)
- ポジション:投手、外野手
- 投打:右投右打
- 主な特徴や実績:U18日本代表候補のプロ注目右腕。188cmの長身から最速145キロのストレートを投じる。2025年南北海道大会札幌地区代表決定戦で今季初先発し、5回1安打無失点の好投。プロ5球団が視察。昨夏は「4番・中堅手」として甲子園に出場。春の左手首の怪我を乗り越え、最後の夏に挑む。


コメント