第98回選抜高校野球大会第6日。準々決勝進出を懸けた中京大中京(愛知)対帝京(東京)の試合は、4-4のまま今大会2度目の延長タイブレークに突入する激闘となったが、中京大中京が10回表に一挙5得点の猛攻を見せ、9-4で勝利した。この試合sで東海屈指のスラッガーと評価される中京大中京の4番・荻田翔惺選手(3年)が、初戦の無安打から目覚める、選抜大会通算850号というメモリアルな一発を放ち、3安打3打点の大暴れを見せた。
初戦の悔しさを一振りで払拭
2点リードで迎えた5回無死一塁の第3打席。初戦の阿南光戦で3打数無安打と「蚊帳の外」に置かれ、唇を噛んでいた荻田翔惺選手のバットが、ついに火を噴いた。帝京の2番手・岡田武大投手が投じた高めの直球を完璧に捉えると、打球は左翼席へとグングン伸びていった。「甲子園で打ったことがなかった。捉えた時は入れ~と思いました(日刊スポーツ)。」と、盛り上がる球場のダイヤモンドを一周、高校通算12号、そして選抜大会史上850本目となる記念碑的なアーチとなった。
荻田選手は3回にも先制の左前適時打を放ち、甲子園での記念すべき初安打をマークすると、6回にも痛烈な左前安打を放つなど、5打数3安打3打点と打線を完璧に牽引した。10回には申告敬遠を受けるなど、相手バッテリーも勝負を避けた。
荒木雅博臨時コーチからの「宿題」への回答
この日はこのホームランをうれしそうに見守っていた人物がいた。昨年12月まで中京大中京の臨時コーチを務め、今年から中日の球団本部長補佐に就任した荒木雅博氏だ。荻田選手は昨冬、荒木氏からマンツーマンの熱血指導を受けており、スポンジボールを使った特訓によって、課題だったタイミングの取り方を克服。体重も昨秋の84キロから93キロまで増やし、名実ともに「動けるスラッガー」へと進化した。
「(本塁打を)2本打ってこい」と宿題を出されていたというが、まずは1本目の回答を聖地で示した形だ。荒木氏は「『下手でいいんだよ、性格がよければそれでいい』と話したら、どんどん(長所が)伸びていきましたね(日刊スポーツ)」と、荻田選手の素直な人間性と、野球の技術向上に結びついている点を高く評価した。荻田選手は「勝ち進んで2本以上打ちたい(サンケイスポーツ)。」と話し、師匠との約束を完遂する覚悟を示した。
「中田翔のように」命名の由来と父の想い、丸刈り頭の主将が刻む新歴史
中京大中京のレギュラーで唯一の「丸刈り頭」も、古き良き伝統と主将としての気合の表れだ。中日ジュニアでの準優勝、東海中央ボーイズでの日本一といった華々しい経歴を持ちながらも、常に周囲への感謝を忘れずに、「いつもみんなが助けてくれる。チーム力でこれからも勝ちます!(日刊スポーツ)」と話す。中京商時代の1966年以来、実に60年ぶりとなる春の頂点、そして前人未到の5度目の優勝へ。中京大中京の看板を背負う若武者は、その名に恥じぬ大暴れを予感させている。





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