第98回選抜高校野球大会準決勝。専大松戸(千葉)は王者・大阪桐蔭(大阪)を相手に終盤まで激闘を演じたが、2-3で惜敗。同校初となる決勝進出はあと一歩で届かなかった。プロ注目の強肩強打を誇る捕手・吉岡伸太朗選手(3年)は、1点を追う8回に三盗を成功させ、一時は同点のホームを踏むなど「走攻守」すべてで躍動を見せた。惜しくも敗れたものの、大会を通して打率5割4分5厘という圧倒的な数字を残した主砲は、高卒でのプロ入りへに気持ちを切り替える自信を手にした。
巨体を揺らして三盗
1-2で迎えた8回裏、専大松戸の攻撃。1死二塁という絶好の好機で、二塁走者の吉岡伸太朗選手が仕掛けた。大阪桐蔭の2番手左腕・川本晴大投手が投球を開始した瞬間、180センチ、95キロの巨体を揺らして三塁へと激走。虚を突かれた大阪桐蔭捕手は送球がワンテンポ遅れ、盗塁成功となった。
スタンドを埋めた3万9000人のファンからは驚嘆の声が上がった。「二塁走者を警戒していなかったので、自分にけん制はないと、思い切って走りました(スポーツ報知)。」
吉岡選手の洞察力と勇気、そして類まれなる野球センスが、直後の同点適時打を呼び込んだ。2死三塁から、苅部礼翔選手(2年)の左越え二塁打で同点の生還。持丸修一監督(77)が掲げる、相手の隙を突く「弱者の兵法」を見事に体現した。
驚異の打率.545、センスの固まり
大会前から、打ち取られない打撃が評価され、今大会の注目選手の一人だった吉岡選手は、その打撃センスを大舞台でも見せつけた、準決勝でも大阪桐蔭の好投手から中前安打を放つなど、全4試合で安打を記録。11打数6安打、打率5割4分5厘という驚異的なアベレージで打線を牽引した。守っても、エースの門倉昂大投手や左腕の小林冠太投手を巧みにリード。北照(北海道)、九州国際大付(福岡)、山梨学院(山梨)といった昨秋の各地区王者たちを次々と撃破する快進撃を、扇の要として支え続けた。
「強豪校を蹴散らしてやれたのが、自分たちの中で大きな成長(スポーツ報知)」と胸を張る吉岡選手。一方で、準決勝での2つの失策が絡んだ敗戦には、「自分たちの持ち味の守備力が出せなかった(サンケイスポーツ)」と捕手らしい厳しい反省も忘れなかった。強豪校との対峙で得た自信と、わずか1点に泣いた悔しさ。その両方が、吉岡選手をひと回り大きく成長させた。
高卒プロへ照準「4強に入れたので、プロを目指してもいいかな」
プロも注目する選手だが、進路については迷いもあった。しかし、甲子園での活躍と4強進出という実績が、その決意を固めさせた。試合後の取材で、将来について問われた吉岡選手は、確かな口調で語った。「ベスト4に入れたので、プロを目指していってもいいかなと思ってきています」
全国区の捕手となった吉岡伸太朗選手。これからは再び激戦区の千葉に戻り、厳しい戦いをしていく。それを勝ち抜いて再び夏にバッターボックスに戻ってくる時には、さらに大きな存在となっているだろう。そしてスカウトの視線も熱いものになっているはずだ。
【吉岡 伸太朗】 プロフィール
- 氏名: 吉岡伸太朗(よしおか・しんたろう)
- 所属: 専修大学松戸高校(3年)
- 出身: 千葉県
- ポジション: 捕手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 180cm、95kg
- 主な特徴や実績: 専大松戸の不動の4番で扇の要。2026年選抜大会にて4試合で打率.545を記録。準決勝の大阪桐蔭戦では巨漢ながら三盗を成功させる高い走塁意識を見せた。二塁送球1.9秒台の強肩と高校通算本塁打を誇る、今秋のドラフト注目捕手。










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