東都大学野球春季リーグは22日、神宮球場で最終週の3回戦が行われ、立正大は亜細亜大(亜大)に6-11で敗れた。勝ち点を落としたものの、ルーキー・高田庵冬内野手(1年=仙台育英)がこの日も4回に左越え2ランを放ち、今季5本塁打を記録した。1950年以降のリーグ史上、1年春でのシーズン本塁打数で1993年の今岡誠(東洋大=元阪神)、2021年の佐々木泰(青学大=現広島)が持っていた「4本」の連盟記録を塗り替える新記録を達成した。すでに全日程を終えている国学院大の主砲・石野蓮授外野手(3年=報徳学園)に並び、今春のリーグ本塁打王を獲得。昨秋のドラフト指名漏れの悔しさをバネにした怪物が、戦国東都の歴史に不滅の金字塔を打ち立てた。
10試合ぶりの「確信弾」、4回のフルスイング
高田庵冬選手はこの日の8点を追う4回裏1死三塁の第2打席、マウンドには、高校2年時の練習試合でも対戦経験のある、オリックス・吉田輝星投手の実弟である亜大の1年生右腕、吉田大輝投手(金足農)が立っていた。チームの1部残留はすでに確定していたこともあり、打席に向かう高田選手の背中を先輩たちが強く押した。「あと1本で新記録。割り切って狙ってもいいんじゃないか(日刊スポーツ)。」
カウント3-1からの5球目。吉田投手が投じた外角高めの140キロ直球を迷わず振り抜いた。放たれた打球は、打った瞬間にそれと分かる弾道でレフトスタンドへ一直線。高田選手はバットを放り投げ、一塁側ベンチに向かって力強くガッツポーズを見せた。「1部残留も決まっていたし、打ちたいと思っていた。先輩から『あと1本で新記録だから打てよ』とも言われていた。甘い球をしっかり振り切ることを今日のテーマにしていたので、その球をホームランにできたのはうれしいです。」と話した。
開幕5戦4発からの「10試合沈黙」、金剛監督が“1年生らしさ”求める
新記録という華々しい快挙の裏で、高田選手は「生みの苦しみ」とも言える深刻なスランプと闘っていた。第2週の国学院大戦で4号を放ってから、実に10試合にわたり快音が止まっていた。他校のマークが厳しくなり、また、チームも入れ替え戦の可能性を戦いながら試合をすることになり、初球からの積極的な打撃が消え、カウントを悪くして三振する悪循環に陥っていた。しかし、そんな彼を救ったのは、金剛弘樹監督(47)の温かいゲキだった。
「結果が出なくて思い切りがなくなっていた。ちょっと小さくなっていたので、1年生らしく思い切って打ちなさいという話はしていた。ダメだったら、上級生がカバーすればいい。」このアドバイスで「割り切って振らないと自分の良さが出ない」と開き直ることができた。狙いを球質の良いストレート一点に絞り込んで仕留めた1球。プレッシャーが除かれた打席で、歴史的な5号本塁打を呼び込んだ。
指名漏れの悔しさからドラフト1位へ
高田選手は、半年前のドラフト会議でプロ志望届を提出したものの、指名漏れという最大の挫折を味わった。その悔しさはとてつもなく大きかったが、「つらいことがあっても、プロ野球という目標を思い出すだけで体が自然と動く。自分の成長につながる、いい目標だと思います(日刊スポーツ)。」と話し、3年後のドラフト会議を目指すことで前を向いている。
今度は1位指名を受けてプロ入りする。その不変の夢があるからこそ、日々の妥協なき練習を耐え抜くことができる。今春の最終成績は打率.259、5本塁打、9打点。リーグ本塁打王を獲得しながらも、この日3つの三振を喫したことに「きょうも3三振あったし納得はしていない。守備の課題も出た。もっと上を目指して練習したい。」と語り、ストイックに自らの課題を見つめ直した。
これまでの今岡誠氏や佐々木泰選手が1年春に4本塁打を放ち、その後も大学4年間を駆け抜けてドラフト1位指名でプロ入りした。1年生春に5本塁打、3年後のドラフト1位指名の可能性は非常に高いが、3年間1部でプレーをし続けること、そして井口資仁選手が記録した東都リーグ通算24本塁打を目指して欲しい。
【高田 庵冬】 プロフィール
- 氏名: 高田庵冬(たかだ・あんと)
- 所属: 立正大学(1年)
- 出身: 滋賀県彦根市(城南小-多賀少年野球クラブ-南中-滋賀野洲ボーイズ-仙台育英高卒)
- ポジション: 内野手(三塁手)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 182cm、90kg
- 主な特徴や実績: 仙台育英高で2025年夏の甲子園準優勝。高校通算32本塁打。2026年春季リーグにて1年春の戦後最多記録となる「5本塁打」を放ちリーグ本塁打王(石野蓮授と並ぶトップタイ)に輝いた。上から叩いてスピンをかける驚異的な長打力が武器。2029年ドラフト最注目候補。












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