東都大学リーグの2部3部入れ替え戦、2部6位の東農大は3部1位の大正大を延長12回の戦いの末に下した。阪神ドラフト3位・陽川尚将選手の2ランホームランによるものだった。
ドラフト3位の実力
東都2部リーグで今季最下位に沈んだ東京農業大だが、4番・陽川尚将選手が阪神からドラフト3位指名された。2部ではあるがリーグ通算23本塁打の打撃が高く評価された。
この日は第5打席まで1安打2三振と本来の打撃ではなかった。しかし同点で迎えた延長12回の第6打席、バットを持ち替えてトップの位置を修正して望むと、2部残留に王手をかける決勝の2ランホームランを放った。
2部リーグは両翼91m、センターも116mの神宮第二球場で試合をする事が多いが、神宮球場でもホームランを放ち長打力を証明して見せた。
阪神スカウトはホームラン見られず
この日は、阪神の佐野統括スカウト、中尾スカウトが視察していたが、寒さや雨などもあり8回で球場を離れた。その後、12回に決勝ホームランを放ったことを聞かされた中尾スカウトが「元気な姿が見られて良かった。テイクバックが本来の形じゃなかったけど、久しぶりの試合だから」と話した。
話しは変わってしまうが、スカウトは毎日のようにあちこちの球場で試合を見る過酷な仕事だ。球場にいると、試合を最後まで見ているケースは稀のような感じがする。若手スカウトだけが残っている姿もあったりする。最終的なスカウト会議でもビデオ映像を使って首脳陣に説明する。実際に見続けたスカウトの意見を優先し、また客観的な数値で判断するのだろうが、スカウティング活動も偶然や主観によるものから、映像技術を使ったり、スカウティングにソーシャルメディアを活用したりと、時代に合わせてよいものを取り入れ進化するべきなのかもしれない。
これがプロの打球だ。低い弾道を描いた白球は、あっという間に左翼席へ伸びた。角度のないライナー性の一打。それでも、陽川は振り抜くと同時に確信していた。
「打った瞬間に感触がありました。行った、という感覚でした」
2-2の延長十二回。二死一塁で初球のスライダーを完ぺきにとらえた。普段のリーグ戦は、狭い神宮第2球場。「こっち(神宮)は、どれくらいで入るか分からなかったけど」。感触は正しかった。接戦に終止符を打つ勝ち越し2ランは、未契約ながら“虎1号”。プロで使用する本球場での初本塁打となった。
「相手は3部だけど、自信になりました」
手放しには喜ばなかった。「予想しなかった」という展開は、格下の大正大に大苦戦。2-1の九回に同点とされ、自身もそれまで5打数1安打2三振と、打撃を崩していた。
「実戦は久しぶりで感覚が…。トップの時にバットのヘッドが(投手側に)入りすぎていた」
最後の公式戦は10月23日。4日の練習試合が雨天中止になるなど、調整に苦労した。ベンチ裏で素振りを繰り返した。第4打席まで白木のバットを使用したが「いつも使っている」という茶色に戻して気分転換。試合中の修正能力も証明した。
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