第75回全日本大学野球選手権は13日に神宮球場で準決勝が行われ、慶応大(東京六大学)が前回王者の東北福祉大(仙台六大学)を5-2で下して5年ぶりの決勝進出を決めた。最速151キロを誇る今秋ドラフト上位候補の左腕・渡辺和大投手(4年)が、大会記録に並ぶ8者連続を含む15奪三振を記録、7回1/3を1安打1失点と圧巻の投球で前回王者をねじ伏せた。バックネット裏で視察した横浜DeNAのスカウトも絶賛した。
2回先頭から8者連続三振、25年ぶりの大会記録に並ぶ
慶大のエース左腕が、神宮のマウンドを支配した。渡辺和大投手は伸びのあるストレートと、同じ腕の振りから繰り出されるカットボールや低めのスライダーを投げ、東北福祉大打線は見極めができずに低めのボール球を空振りした。初回に2三振を奪って立ち上がると、2回は4番からの好打順を3者連続三振に仕留め、3回も下位打線から3者連続三振。2回り目に入った4回も1、2番を連続で空振りに斬って取り、2回先頭から数えて8者連続三振、2001年の第50回大会で愛知学院大の筒井和也(元阪神、現阪神スカウト)が対東海大戦でマークした大会記録に、25年の時を経て並んだ。
新記録のかかった次打者は遊ゴロに倒れて連続記録こそ途切れたが、7回まで一本のヒットも許さなかった。6回1死で初めて走者を背負ったものの、続く打者を連続空振り三振に仕留めて切り抜けた。特に空振りを奪えたのはカットボール、渡辺投手は「握りは直球と一緒で、指先の間で角度だけ変えている」と、直球と見分けのつかない軌道から鋭く変化する魔球だった。
しかし、記録への意識はなかった。「気にしていなかった。1球1球丁寧に投げた結果がああなった」と振り返り、8者連続三振にも「気付いていなかった」と淡々と語った。捕手とも「1本ヒットが出たら流れが変わる」と確認し合いながら、前回王者の打線にスキを与えなかった。
7回1/3を1安打1失点15K、敵将もスカウトも脱帽
無安打投球は8回に途切れた。先頭の代打に右前安打を許してノーヒットノーランは消え、1死から四球を出して1死一、二塁としたところで降板。この日の投球数は107球で。「もう1アウトだけでも取らせてくださいと言える体力もなかった」と苦笑いし、「あのまま投げていたら負けていた」と救援陣に後を託した。最終的に7回1/3を1安打1失点、自己最多を更新する15奪三振。慶大は2点リードを守り切り、その裏に3点を加えて突き放した。
10日の2回戦で函館大相手に6回91球2安打無失点10奪三振と好投してから、中2日での先発登板だった。試合甘えは「身体の疲労はそんなになかった。前夜もぐっすり眠れた」と話していた。今春の東京六大学リーグでは9試合に登板して7勝を挙げてチームを優勝に導き、最優秀防御率と投手部門のベストナインに輝いた力で、前回王者をも圧倒した。
圧倒された側も惜しみない賛辞を送った。東北福祉大の山路哲生監督は「打者は真っすぐとスライダー(カットボール)が同じように見えると。素晴らしいというよりプロの投手と対戦しているみたいだった」と脱帽。試合後には慶大・堀井哲也監督のもとへ歩み寄り、「完敗です。日本一よろしくお願いします」とライバル校の勝利を願って引き揚げた。視察した横浜DeNAのスカウトの評価も高かった。
横浜DeNA・永池スカウト:「両サイドへの制球が非常にいい。左打者へのスライダー、右打者へのツーシームを意のままに操っている」
5年ぶりVへあと1勝、決勝は54年ぶり対戦の関大と
2021年以来の大学日本一まであと1勝。決勝の相手は、この日、サヨナラ打で国学院大を4-3で破った関大(関西学生)に決まった。慶大と関大の顔合わせは1972年の決勝以来54年ぶりで、慶大は5年ぶり5度目、関大は54年ぶり3度目の頂点を狙う。
堀井監督は107球を投げたエースについて「何とかほかの投手で」と決勝での登板を回避させる意向を明かした。だが渡辺和大投手は「勝つか負けるかで全然違う。もちろん行くつもりで頑張ります」と連投も辞さない構え。巨人入りした浅野翔吾とチームメートだった高松商時代に届かなかった頂点へ、「実力だけではなくて、いい仲間といいチームがいないと獲れない。全身全霊で頑張ります」とフル回転を誓った。今秋ドラフトでの上位指名が確実視される左腕が、最後の大舞台に向けて静かに闘志を燃やしている。
【渡辺 和大】 プロフィール
- 氏名: 渡辺和大(わたなべ・かずひろ)
- 所属: 慶應義塾大学(4年)
- 出身: 香川県・高松商高(巨人入りした浅野翔吾とチームメートで、3年夏の甲子園8強)
- 生年月日: 2004年5月28日(22歳)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 180cm、75kg
- 主な特徴や実績: 最速151キロの直球に、直球と同じ軌道から鋭く変化するカットボール、縦に落ちるツーシームを操る左腕。慶大では1年秋からリーグ戦に登板し、通算45登板で13勝10敗、防御率2.68。2年秋に最優秀防御率を獲得し、今春は7勝2敗・防御率1.28でベストナインと2度目の最優秀防御率に輝いた。この日は大会タイ記録の8者連続を含む15奪三振の快投で前回王者を撃破。今秋ドラフトでの上位指名が期待される。

















































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