全日本大学野球選手権の準々決勝が神宮球場で行われ、連覇を狙う東北福祉大(仙台六大学)が、大商大(関西六大学)を9対2の8回コールドで下し、ベスト4進出を決めた。この試合でも今秋のドラフト上位候補に挙がる最速155キロ右腕のエース・猪俣駿太投手(4年)が中1日で先発し、5回1/3を投げて5安打2失点と粘投でチームを2連覇へ向けて力強く牽引した。
「遊び心」を帽子に刻んで、粘り強いゲームメイクを披露したエースの自負
2日前の中部学院大戦で7回103球を投げて1失点と好投したエースの猪俣駿太投手は、この日も抜群の安定感を発揮した。初戦よりも落ち着いた立ち上がりを見せると、自慢のストレートの威力と、低めに決まる変化球で初回から5回まで大商大の強力打線を散発2安打、無失点に抑え込む快投を披露した。猪俣駿太投手は、「思った以上に疲れは溜まっていたけど、低めに丁寧に投げ切ることができた」(サンケイスポーツ)と話した。
6回裏に先頭打者に二塁打を許し、1死一、三塁から大商大の4番・真鍋慧選手(3年)に死球を与え、続く打者に適時打を浴びて2失点を喫してマウンドを降りることとなった。自らの失点場面を、「打たれた時はやっぱり(球が)高かった。投げ切れなかった」(サンケイスポーツ)と反省したものの、5回1/3を投げて被安打5、2失点。スライダーやフォークなどの変化球を軸に試合をしっかりと作り上げ、今大会自身2勝目を手にした。
エースの帽子には、自筆で「遊び心」という文字が刻まれている。その意図について、「熱くなりすぎた時に一点集中になっちゃうので、視野を広く、気楽にできるように」(サンケイスポーツ)と話し、マウンド上で極限の重圧にさらされても冷静沈着さを失わないためのメンタルコントロールの工夫を明かした。昨年に日本一に輝いた際はリリーフとしての出場だったが、「後ろで見ていたからこそ、先発ピッチャーの偉大さが分かった。それを自分ができたら勝利に近づく」(サンケイスポーツ)と、先発の柱としての自覚とプライドを滲ませた。
高校日本代表の2年生左腕・櫻井椿稀投手が満塁の窮地を救う好リリーフ
猪俣投手が6回裏に招いた1死一、三塁のピンチの場面で、2番手として火消しを託されたのが、2年生サウスポーの櫻井椿稀投手(2年)だった。マウンドに上がった若き左腕は、鋭い変化球と強気のピッチングを貫き、大商大の主砲・真鍋慧選手を一ゴロに打ち取る。その間に1点こそ失ったものの、後続を落ち着いて抑え、絶体絶命の危機を最小限の失点で切り抜けた。その後もマウンドに上がり続け、許した安打はわずかに1本のみ。コールド勝ちへの最高の流れを引き寄せる見事な好救援を見せた。
櫻井投手は、「最少失点で抑えれば、野手陣が点数を取ってくれると思っていたので、三振というよりかは、打たせて取る投球を意識しました」(日刊スポーツ)と、冷静なマウンドさばきを振り返った。鶴岡東高時代には2024年夏の甲子園を沸かせ、侍ジャパンU18代表のメンバーにも選出された実績を持つ左腕。東北福祉大へ進学後は球速が146キロまで上昇し進化を遂げている。「猪俣さんが崩れた時に、『もう1枚いる』とみんなからの安心感を得られるような投球をしたい」(スポーツ報知)と話す頼れる投手だ。
大量得点でエースを強力援護、8回コールド勝ちを呼び込んだ多田羅浩大選手ら打線の繋がり
東北福祉大打線は、エースの力投に応えた。初回、2死一、二塁の好機で、プロ注目スラッガーの5番・佐藤悠太選手(4年)がセンター前へ綺麗に弾き返す先制の適時打をマーク。5回には小島慎也選手(4年)のヒットに敵失も絡んで2点を追加し、優位に試合を進めた。
そして8回表、1死から1番の多田羅浩大選手(3年)がこの日3安打目となる二塁打を放ってチャンスメイクすると、辻村大我選手(4年)のセーフティーバントで相手守備陣を乱し、一挙に2人のランナーが生還して9対2。ここで8回コールドが成立した。
史上7校目となる大会連覇まであと2勝に迫った。中1日という過酷なマウンドを投げ抜き、今大会2勝目を手にした猪俣投手は、「自分の投球を意識することができた。あと2つ、連覇に向けて頑張りたい」(スポーツニッポン)と力を込めた。
【猪俣 駿太】 プロフィール
- 氏名:猪俣駿太(いのまた・しゅんた)
- 所属:東北福祉大学(4年)
- 出身:茨城県(明秀学園日立高校出身)
- ポジション:投手
- 投打:右投右打
- 身長・体重:183cm、85kg
- 主な特徴や実績:自己最速155キロ。明秀学園日立高時代はエースとして夏の甲子園ベスト8進出を果たす。東北福祉大進学後は、キレのあるスライダーやカットボール、落ちるフォークを武器に今秋ドラフトの上位候補右腕として注目を集める。前回大会優勝時はリリーフとして貢献し、今大会は先発の柱として中1日の先発マウンドを2失点に抑えチームを4強へ導いた。帽子に「遊び心」と記して冷静なマウンド支配を心掛ける頼れるエース。











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