プロ注目の捕手・箱山遥人選手が主将を務める健大高崎は、春夏連覇を目指したものの、この日の2回戦・智弁学園戦で1−2で敗れた。箱山選手が大粒の涙を流したが、甲子園の土は持って帰らなかった。
「プロになって」
この日は1−1の同点の3回、智弁学園がノーアウトでランナーを出したものの、試みた二盗を箱山遥人捕手が抜群のコントロールで刺した。また、5回にも2アウト1,2塁のピンチだったが、一塁走者のリードが大きいと見ると素早く牽制を送りアウトにした。
1−2で迎えた9回1アウト1,2塁の守りでも、相手が突き放そうと送りバントを試みたが、ここでも素早く捕球して無理な態勢からサードへ送球してアウトにした。接戦が続く中で相手に流れが行そうな場面で、ことごとく箱山選手がそれを阻止した。
それでも勝利には手が届かなかった。試合終了から大粒の涙を流し、「2度と高校野球ができない。凄い悲しい。最後の夏で初めて夏の甲子園に来れて、凄い注目度の中で春夏連覇を期待された中で臨んで、こんなに早く負けてしまうなんて。凄い舞台だったですけど、悔しいです」と振り絞るように話した。
センバツで優勝してからの苦しい時期についても語り、「本当に最初は関東大会も出られるかって言うレベルのチームで、本当に、野球がつまらない時期が多くて、でも仲間がいたからこんな幸せな思いもできたし、日本一になれなかったけど、日本で一番仲間に恵まれて最高なキャプテン生活を送れたと思います」と話した。
進路について聞かれると、「選抜終わってからプロを目指してやってきたので、これからも練習して、選んでいただけるようにやってりきたい」とプロ志望を明らかにした。甲子園の土は持ち帰らずに「甲子園は思い出つくりで来た訳じゃないんで。自分はここにプロになって戻ってきたいという思いがあったんで」と話し、今度はプロでこの土にまみれてプレーをすることを誓った。
この日は東北楽天の井上スカウトが視察し、「肩も強いし、捕ってからのスローイングも速い。高校生の捕手としては、ずば抜けている」と評価した。
箱山選手は次世代の捕手の獲得を狙う球団を中心に、ドラフト会議での指名が予想されるが、ドラフト2位までに指名されると見られる。この日見せた送球だけでなく、右の大砲としてホームランを狙える打撃やそのリーダーシップで、状況次第では2022年の松尾汐恩選手(横浜DeNA)のように1位指名の可能性もあると思う。
箱山選手とともにチームを作っていきたいと考える球団もありそうなほど、素晴らしい選手であった。
高山選手は大学へ
また、この日は5番に入った高山裕次郎選手だったが、ヒットを打つことはできず、9回のサードゴロでは一塁にヘッドスライディングをし、高校野球の打席を終えた。
プロも注目する強打者だったが、春からの大きな重圧もあり、この夏は思うような結果を出せなかった。それでも「これからの人生を見たとしても、本当に濃い3年間だったと思います。最高の仲間ができて自分の財産になると思います。後輩たちも力を貸してくれて、感謝の気持ちでいっぱいです」と話し、高校3年間を振り返った。
高山選手は大学進学を目指す。「大学野球は本当に、自分次第だと思っているので、本当に死ぬ気でやって、プロに行って活躍したいです」と話した。
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