関西学生野球春季リーグ開幕し、今季から東京六大学とともに指名打者(DH)制が導入される歴史的な日となった。関西学院大は京都大に4-1で勝利、その立役者となったのは、昨秋の故障を乗り越えたプロ注目のエース左腕・飯田泰成投手と、右肩手術の影響で指名打者に専念する主砲・福谷宇楽内野手(4年=社)だ。
無四球11奪三振の圧倒、飯田泰成投手が「地味なトレーニング」の果てに掴んだ151キロ
小雨が降り続く悪条件のなか、飯田泰成投手の左腕は最後まで振れていた。序盤から制球とテンポ良く投げ込み、キレのあるカーブを織り交ぜて緩急自在に京大打線を翻弄。7回を除く毎回の11三振を奪い、139球で1失点(自責0)完投勝利を挙げた。最後まで一度も四球を与えない投球だった。飯田投手は「変化球がだいぶまとまって、何よりフォアボール0でいけたのは良かったと思います。試合に入り込めて、腕が振れていた。」と話した。
昨秋、飯田投手は腰椎分離症を発症し、リーグ戦はわずか1試合の登板に終わっていた。再発防止のためにこの冬はインナーマッスルの強化に没頭。「周りから見れば『何をしているんだろう』というような地味なトレーニング(スポーツニッポン)」を黙々と繰り返し、強靭な土台を作り上げた。その成果は、9回のマウンドで衝撃的な数字として現れた。球場表示で、それまでの自己最速147キロを大きく上回る「151キロ」を計測したのだ。
飯田投手自身は「そんなには、どうなのかな…」とスピードガンの表示には苦笑いを浮かべたものの、終盤でも衰えないスタミナと出力の高さは、視察したスカウト陣にも強烈なインパクトを残した。完封目前の9回に失点したことには「めちゃくちゃ悔いが残る」と話したが、現時点ではプロ入りを志望するサウスポーが、ドラフトイヤーに絶好のスタートを切った。
右肩手術からDHで復帰・福谷宇楽選手
投のエースが復活すれば、野手の柱もまた困難を乗り越えてグラウンドに戻ってきた。2024年秋のMVPと首位打者に輝いた福谷宇楽選手は、昨年10月に右肩の手術を受け、現在はリハビリの途上にある。本来であれば出場が危ぶまれる状況だったが、今季から導入されたDH制により出場することができ、本荘雅章監督は「今季は守らない(スポーツ報知)」と、打撃に専念させる方針を明言した。
この日、「3番・指名打者」でスタメン出場した福谷選手は、7回に貴重な追加点となる右犠飛を放ち、連盟のDH制における初打点という歴史に名を刻んだ。福谷選手は「DHだからこそ、冬は打撃に集中できた(スポーツ報知)。」と話し、打撃を磨いてきた事を明らかにした。
守備に就けないもどかしさを抱えながらも、バット一本でチームに貢献する。この日は2四球1打点でチームの勝利に貢献、飯田投手と同様にプロ志望届を提出する意向を固めており、「優勝したい」と話す。本来は内野手の守備でアピールする選手が、打撃でこの春にどれだけアピールできるかも注目だ。
歴史的DH開幕戦、リーグ全体の変化と「一戦必勝」の覚悟
これまで指名打者を採用してこなかった関西学生野球連盟と東京六大学野球連盟。この春から両連盟が導入したことで、ついに大学野球の全27連盟でDH制が実施されることとなった。飯田投手はこの変化について、「準備ができる反面、1~9番まで気が抜けない(スポーツ報知)」と、投手としての新たな緊張感を口にした。一方で、打線に福谷選手のような強打者を組み込めるメリットは、リーグ全体のレベルアップに直結するだろう。
そして二人は復活からプロ入りへのフェーズに進む。飯田投手は「ブルペンに入り出して1カ月ぐらいなので、まだ状態も完璧ではないっていうか、ここから上げられる。もっとインパクトを残せるように頑張りたい(スポーツニッポン)。」と話した。飯田投手の父・信吾さんは星琳高校の監督を務める野球一家で、次は自らも認める150キロ台を記録したい。
【飯田 泰成】 プロフィール
- 氏名: 飯田泰成(いいだ・たいせい)
- 所属: 関西学院大学(4年)
- 出身: 福岡県(春日高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 180cm、88kg
- 主な特徴や実績: 自己最速151キロ(球場表示)を誇るドラフト候補左腕。3年春にベストナイン。昨秋の腰椎分離症を克服し、2026年春季リーグ開幕戦で11K完投勝利。高い制球力とスライダー、チェンジアップなどの多彩な変化球が武器。父は星琳高監督。プロ志望。
【福谷 宇楽】 プロフィール
- 氏名: 福谷宇楽(ふくたに・うた)
- 所属: 関西学院大学(4年)
- 出身: 兵庫県(社高卒)
- ポジション: 内野手(今季はDH専念)
- 投打: 右投左打
- 主な特徴や実績: 2024年秋にMVPと首位打者を獲得した関西学生リーグ屈指の好打者。右肩手術の影響で今春は指名打者として出場。高いコンタクト能力と長打力を併せ持つ。プロ志望届提出を予定している2026年ドラフト候補。














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