東都大学野球春季リーグ第2週の2回戦では、亜細亜大(亜大)が東洋大に11-2で快勝。連勝で今季初の勝ち点を獲得した。リーグ戦初先発のマウンドを託された最速156キロ右腕、川尻啓人投手(4年=高岡商)は5回を投げ4安打無失点、自己最速にあと1キロと迫る155キロを計測する圧巻の投球で、待望の公式戦初白星を挙げた。昨秋の右肘故障によるリハビリ期間を乗り越えての好投を、日米12球団以上のスカウトが視察し、横浜DeNAが高く評価している。
初先発で5回零封。155キロ連発で東洋大を圧倒
川尻啓人投手はこの日、3年間待ちわびた待望の先発のマウンドだった。初回から150キロ台の直球を連発。4回に連打で二、三塁のピンチを招いたが、後続を渾身のスプリットで空振り三振に仕留め、スコアボードにゼロを並べ続けた。5回を投げて69球で4安打無失点、自己最長のイニングを投げ抜き、勝利投手の権利を持ってマウンドを後続に託した。
川尻投手は「やっと先発が来たと思ったんですが、そこはいつも通り。投げている時は白星をあまり意識していなかったけど、結果的に初勝利というのを取れて良かった。ゼロ点で粘れたことが一番良かったです。」と話し、試合の快勝して手にした白星に安堵の表情を見せた。前日14日の1回戦でも救援として1回を完璧に抑えており、「テンポよく3人で抑えた自信が、今日につながった(日刊スポーツ)」と連投での勢いをそのままマウンドに持ち込んだ。
正村公弘監督が肘の不安考慮して中継ぎで起用
189センチの長身から投げ下ろす150キロ超川尻投手は、2年春から短いイニングでの登板を続けていたが、昨秋は右肘を痛めてリーグ戦は登板なし。今春の開幕戦(8日の青学大戦)ではソロ本塁打を浴びるなど、本来の姿ではなかった。それでも、投手育成に定評のある正村公弘監督(62)は、この日の先発に先立ち、前日に中継ぎとして登板させるステップを踏ませた。「(8日の試合も)パチーンといかれていたので。昨日、1回放らせて、気分よく今日放ってもらおうかなと。いいと言われながらも、今まであまり使えなかった。まだ本来の力じゃないと思ってます。」と話した。
この日、先発で初勝利を手にしたが、正村監督は川尻投手の本来の力はまだ先にあると話す。1学年先輩でプロへ進んだ斉藤汰直(広島)や山城京平(巨人)のような絶対的な柱が不在のなか、川尻投手の台頭は今後の戦いに大きな価値がある。
日米12球団スカウト視察「上位候補の可能性」も
ネット裏に集結したスカウト陣の評価は、この一勝でさらに跳ね上がった。特に150キロ台後半をマークできる出力の高さに加え、経験の少なさが逆に「伸びしろ」としてポジティブに捉えられている。
横浜DeNA・八馬幹典アマスカウティンググループリーダー:「上位候補になる可能性は十分ある。経験値も少ないですし伸びしろがある。真っすぐの質が良く、打者の手元で強い。タフさもあり今後が楽しみな投手。」
横浜DeNA・河原隆一スカウト:「能力は高い。フォークが決まるようになればもっと空振りも増える。」
恵まれた体格から放たれる圧倒的な球速と、角度のある直球は、プロの目からしても級品と評価されている。これまで、ショートイニングでの投球で出力に注目が集まっていたが、今後は先発として、コントールや変化球などを含めて長いイニングを支配できるようになるかを注視していくことになる。
「気持ちで引っ張りたい」、先輩の背中を追いドラフト1位を狙う
4年生となり、チームを支える自覚も芽生えている。偉大な先輩たちが去ったマウンドで、今度は自分が主役になる番だ。「(先輩のように)凄い投球はできない。気持ちで引っ張りたい(スポーツニッポン)。」という言葉には、泥臭く勝利を追求する亜大の伝統が息づいている。
「チームが勝てるように。自分の役割をしっかり果たしたい(日刊スポーツ)。」と話し一戦必勝を貫く。富山の高岡商高時代から注目されてきた未完の大器が先発として覚醒の時を迎え、自らの夢であるプロ入りへの扉が完全に開かれる瞬間となるだろう。
【川尻 啓人】 プロフィール
- 氏名: 川尻啓人(かわじり・ひろと)
- 所属: 亜細亜大学(4年)
- 出身: 富山県(高岡商業高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 189cm、83kg
- 主な特徴や実績: 自己最速156キロ。190センチ近い長身から角度のある直球を投げ下ろす本格派右腕。大学4年春の東洋大戦でリーグ戦初先発・初勝利を挙げた。昨秋の右肘故障を克服。日米スカウトが「伸びしろ」を絶賛する2026年ドラフト上位候補。











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