東都大学野球春季リーグでは、10季ぶりに1部へ復帰した立正大が、リーグ6連覇中の王者・青山学院大(青学大)を2-1で破った。来年のドラフト目玉候補として期待される最速151キロ左腕・仁田陽翔投手(3年=仙台育英)が、大学No.1右腕と称される青学大・鈴木泰成投手との対決に真っ向から挑み、9回を5安打7奪三振1失点、高校・大学を通じて自身初となる公式戦完投勝利で、待望の1部リーグ初白星を掴み取った。
136球目の空振りK、「やっと勝てた」
仁田陽翔投手は開幕から4試合に先発しながらも勝ち星を逃してきた。しかし、王者・青学大との1回戦、1点リードの9回2死二塁のピンチでも、136球目に磨き上げてきたチェンジアップを投じ、打者のバットが空を切った。「投げ勝ったっていうよりは、やっと勝てたなっていう安堵の方が大きいです。本当にうれしい。“これだけ投げられる”という自信になりました(スポーツニッポン)。」と話した。
さらに、「高校でも、公式戦で完投はしたことがないです。打ってくれた野手に感謝です。最少失点で投げ切れたのは自信につながる。」と、ようやく掴み取った白星を噛み締めた。6回に先制を許し、なおも無死一、三塁の絶体絶命の危機も、変化球を駆使して後続を三振、遊ゴロ、三振。王者に「2点目」を許さなかった粘り強さが、8回の逆転劇を呼び込んだ。
巨人スカウトも「一皮むけた」と絶賛。実戦で使えるようになった「魔球」
この日は鈴木投手や、渡部海捕手など、今秋のドラフト指名候補を視察するために、ネット裏にはNPB各球団の幹部クラスを含むスカウト陣が集結した。その中で、鈴木投手に投げ勝つ投球を見せた事で、来年のドラフト注目候補として強く印象付ける事となった。
巨人・水野雄仁編成本部長:「球に力もあるし、高校の時に比べたら一皮むけてきている。来年が楽しみだね。」
仁田投手は「これまでチェンジアップやカーブは、試合で使える球ではなかった(日刊スポーツ)」と振り返る。しかし、1部の猛者を抑えるためにこの冬、徹底してこれら低めの変化球を磨き込んできた。「だんだんカウントも取れたり、空振りを取ったり。徐々に自信がついてきた(日刊スポーツ)」という言葉通り、最後の打者を仕留めたボールこそが、3年目の覚醒を象徴していた。
仙台育英「150キロトリオ」が神宮で活躍
仁田投手の快投の裏には、最高の刺激となる「仲間」の存在がある。仙台育英高時代、早稲田大の高橋煌稀投手、明治大の湯田統真投手とともに「150キロトリオ」として全国を沸かせた3人は、今や全員が神宮を主戦場としている。前日には早大の仙台育英OBたちが東京六大学で躍動し、小宮山悟監督が「育英祭り」と称賛したが、この日は東都の舞台でも仁田投手の完投に加え、立正大のルーキー・高田庵冬選手(1年=仙台育英)も同点適時打を放つ活躍を見せた。
仁田投手は「いい刺激になって、自分も頑張らなきゃと思わせてもらっています(スポーツニッポン)。」と語り、金剛弘樹監督(47)も育英祭りについて「継続中でいいんじゃないですか(スポーツニッポン)」と笑顔を見せた。
王者撃破
ここまで亜細亜大、中央大にそれぞれ2連勝、スコアもかなり差を付けて勝利をしてきた青学大に、やや手が付けられないという印象も湧き始める中で、2部から昇格したばかりの立正大が土を付けた。勝ち点では国学院大が並ぶものの、立正大も有力なチャレンジャーとなった。
金剛監督は「やっぱりずっと1戦目に投げさせているんですけど、勝ちがついていなかった。勝ちをつくることがいい薬になる(スポーツニッポン)」と、仁田投手のさらなる成長を期待、仁田投手も「次に備えて準備したい」と、すでに勝ち点獲得を懸けた戦いへと視線を向けている。
【仁田 陽翔】 プロフィール
- 氏名: 仁田陽翔(にた・はると)
- 所属: 立正大学(3年)
- 出身: 岩手県(猪川野球クラブ-大船渡一中-仙台育英高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 175cm、74kg
- 主な特徴や実績: 仙台育英高時代に夏の甲子園優勝・準優勝。最速151キロの直球と、精度を上げたチェンジアップ、スライダー、カーブを操る本格派左腕。2026年春季リーグ青学大戦で5安打1失点の公式戦初完投勝利を挙げた。2027年ドラフト候補。















コメント