春季近畿地区高校野球大会の決勝戦がわかさスタジアム京都で行われ、報徳学園高(兵庫1位)が11対10で智弁和歌山高(和歌山1位)との大激闘を制し、2010年以来16年ぶり2度目の春季近畿王者に輝いた。両校合わせて26安打、21得点が飛び交う歴史的な乱打戦の中、報徳学園の主将・山田瑛太選手(3年)が9回表に公式戦初本塁打となる感動的な決勝満塁弾を放った。一方、敗れはしたものの智弁和歌山高の強打者、荒井優聖選手(3年)も今大会2本目となる3ラン本塁打を放ち、3試合で9打点の活躍を見せた。
苦悩を乗り越えた山田瑛太選手、公式戦1号がグランドスラム
大激戦となったこの試合は、7対5と報徳学園高が2点リードで迎えた9回表1死満塁の場面で「8番・左翼」でスタメン出場していた主将の山田瑛太選手が、「自分が1点は絶対取ってやる」と強い覚悟で打席に入ると、カウント1ボール1ストライクからの3球目の内角直球を完璧に振り抜き、打球は大きな弧を描いて左翼スタンドへと吸い込まれた。結果としてこの満塁弾が決勝打となった。
高校通算2本目、そして公式戦では自身初となる待望の本塁打が、優勝を手繰り寄せる感動的な満塁本塁打となった。本塁を踏みしめ、何度も右拳を突き上げた山田選手は、「スタンドもベンチも喜んでくれてて、自分も『やってやったぞ』っていう気持ちになりました。みんながつないでくれたんで、自分一人だけの結果ではないと思ってて。みんなで打てたっていうか、そういう一本だと思います」(日刊スポーツ)と話した。
山田選手は昨年の新チーム発足時に主将に選ばれたが、自分が引っ張ろうとしすぎて空回りする日々が続いた。チームが山田選手のリーダーシップに依存してしまう空気感を心配した大角健二監督の判断により、3月から約1か月間、主将の肩書きを外される苦い経験も味わった。それでも山田選手は、「周りを見るいい機会になった」と冷静に自らを見つめ直し、4月に主将へ復帰した後は、周囲と助け合える強固なチームの土台を作り上げた。大角健二監督も、「本当に普段から苦しい思いをしている子なので。彼のホームランはチームにとって非常に大きかったです」(日刊スポーツ)と、嫌われ役に徹して勝ちにこだわり続けた主将の劇的な一振りに、最大の賛辞を送った。
9回裏に智弁和歌山高の猛追を受け、1点差まで迫られる大ピンチとなったが、最後はリリーフした谷口哲聖投手が粘り強い投球で三ゴロに仕留めて優勝を果たした。山田選手は、「ほっとしたっていうのは一瞬。終わってからもう夏に切り替えていかないとダメだなって。ここで満足していたらやっぱり日本一っていうのは遠いと思うので。ここからまた頑張れる材料にしてこの夏やっていきます」(日刊スポーツ)と語り、早くも夏の兵庫大会、夏の全国制覇を見据え、表情を引き締めていた。
3戦9打点、智弁和歌山高の荒井優聖選手が示したスラッガーとしての風格
あと一歩届かなかったものの、智弁和歌山高が誇る強打の主軸・荒井優聖選手が圧倒的な打撃を見せた。3点リードを許して迎えた3回裏1死二、三塁の好機で打席に入ると、報徳学園高の先発・江藤達成投手から左中間スタンドへライナー性で突き刺さる豪快な3ラン本塁打を放ち、一時3点差に詰め寄る反撃の口火を切った。
荒井選手は、準々決勝の立命館宇治高戦での先制打に続き、今大会2本目となる本塁打をマーク。6点を追う9回裏にも粘り強く適時打を放ち、打者11人の猛攻で5点をもぎ取って1点差まで迫る大追撃につなげた。今大会を通じて3試合で9打点と大暴れを見せたスラッガーだったが、試合後は、「最後の最後に自分たちの弱さが出た」(スポーツ報知)と、1点差に泣いた決勝戦の結末に悔しさをにじませた。
それでも、140キロ台の速球を投げる強固な投手陣を誇る報徳学園高に対して、15安打を浴びせて最後まで粘りを見せた攻撃陣に対し、智弁和歌山高の中谷仁監督は、「最後まで食らいついていけた攻撃陣は良かった」(スポーツ報知)と話し、夏の本番に向けて確かな手応えを口にした。
両チームとも、夏は兵庫、和歌山の地で主役となるのは間違いないだろう。
【山田 瑛太】 プロフィール
- 氏名:山田瑛太(やまだ・えいた)
- 所属:報徳学園高校(3年)
- ポジション:外野手(左翼手)
- 投打:右投右打
- 主な特徴や実績:報徳学園高の精神的支柱を務める不屈のキャプテン。激しいレギュラー争いの中でベンチスタートを経験しながらも、嫌われ役に徹する強い覚悟でチームを牽引。一時的に主将の座を外される挫折を乗り越え、4月に復帰。春季近畿大会決勝の智弁和歌山高戦では、公式戦初本塁打となる劇的な決勝満塁弾を放ち、5打点の大活躍で16年ぶりの近畿王者に導いた。守備・走塁での献身性も高く、夏の全国制覇を目指す頼れるリーダー。
【荒井 優聖】 プロフィール
- 氏名:荒井優聖(あらい・ゆうせい)
- 所属:智弁和歌山高校(3年)
- ポジション:内野手(一塁手)
- 投打:右投左打
- 主な特徴や実績:智弁和歌山高が誇る、卓越した打撃技術と長打力を兼ね備えた強打の一塁手。高いコンタクト能力をベースに、勝負どころで圧倒的な強さを発揮する。春季近畿大会では準決勝の先制打に加え、決勝の報徳学園高戦でも左中間へ豪快な3ラン本塁打を放つなど、大会を通じて3試合9打点と大暴れを見せた。チャンスでの集中力が極めて高い、今秋のドラフト注目スラッガー。

















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