元阪神・菊地敏幸スカウト、2008年ドラフトで長野久義選手を外れ1位で指名していたら

選手コラム

 デイリースポーツでは阪神で25年もの間、スカウトを務めた菊地敏幸氏の回顧録を、回虎録として連載している。これまでも井川慶投手の獲得や赤星憲広選手の獲得の話しなど、非常に興味深いのですが、今日は2008年に長野久義選手を指名しようとした経緯が掲載されています。

 

巨人の大田泰示1位指名で方針転換

 長野久義選手は日大の時に日本ハムから4位指名を受けたが「巨人でプレーしたい」と断りホンダに入社する。そして2年後の2008年、再びドラフト解禁選手になると今度はドラフト1位候補として注目されるようになる。当時外野手を必要としていた阪神もドラフト1位候補として追ったものの、本人の巨人志望が強く指名しても拒否される可能性があるとして一度は指名を断念した。

 しかし2008年のドラフトは直前に動く。高校生プロ志望届の提出期限がせまった時、ドラフト1位候補ながらも東海大進学の方針を示していた東海大相模のスラッガー・大田泰示選手がプロ志望届を提出し、その日に報知新聞が「大田・巨人」と報道する。巨人は長野選手に他球団が手を出せないと判断した上で、大田、長野の両獲りを企てていた。

 そこで阪神・菊地スカウトは再び長野選手に猛アタックをかける。社会人選手は都市対抗終了後はチーム代表者の了承を得て本人と交渉する事ができる。菊地スカウトは長野選手のいる場所ならばどこにでも足を運んだ。

 

ドラフト1位か、好きな球団か

 長野選手も気持ちが揺れていたようで、待ってでも巨人に入りたいという意思を示したのはドラフト会議当日の会議開始1時間前、「すいません、何年待ってもジャイアンツでやりたいです」という電話で阪神はドラフト1位指名を諦める。

 そして阪神は同じ外野手で早大の松本啓二朗選手を指名したものの、横浜も指名し予想外の抽選となって外してしまう。その後は藤原紘通投手を指名したがこれも外し、蕭一傑投手を指名する事になる。

 2013年までを見ると、大田選手、松本選手、藤原投手、蕭投手よりも長野選手が最も活躍をしている。菊地スカウトはドラフト1位で松本選手を抽選で外したとき「阪神が長野選手を指名していたらどうだったか、いつか本人に聞いてみたい」と思っているとの事。

 ドラフト1位か好きな球団でのプレーか、最近では菅野智之投手も巨人でプレーする事を望み1年間浪人をしているが、「あの球団以外は拒否」というアピールは、以前よりはかなり減った印象で、メジャーか日本かという事にシフトし始めている印象も受ける。「ドラフト制度の根本論」と「選手の選択の自由論」が必ずと言っていいほど巻き起こった『選手による逆指名』は昔の話しになりつつあるのかもしれない。

 

阪神スカウト25年、菊地敏幸の回虎録 - デイリースポーツ紙面:2014/1/17

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
ドラフト会議ホームページ2024 Draft home page

コメント

  1. アメリカの様にすればいい と簡単に言いますが、極論を言えばアメリカの場合人材確保なんて容易なんですよね(国内外問わず)
    外国人枠やFAなど移籍市場の規制が強い日本では、難しいと思います

  2. こういう特定球団の囲い込みを防ぐためにもMLBのように
    交渉決裂球団に翌年の追加指名権を与える制度をNPBでも導入してほしいものです。
    例えばこの年阪神が長野を1位指名し入団拒否されたケースで当てはめると
    その翌年のドラフトの1位と2位の間に阪神に追加指名権が与えられるというものです。

    色んな理由があるので選手が入団拒否する権利は尊重しなければなりませんが、それを利用した囲い込みがあるのも事実。
    囲い込みする球団の目的は他球団に「指名させない」ことですので
    翌年の追加指名権を担保することによって指名リスクを軽減させ、評価通りの指名をし、囲い込みを防ぐことができます。

  3. 長野が阪神の外れ1位だったらどうだっていうの?いちいち記事にすることか?未練がましく長野は活躍できないと言っておきながら阪神のスカウトは優秀ですよとアピールしたいの?