大学野球選手権で、さっそく立命館大の辰己涼介選手の評価が爆上げとなった。バント安打で一塁到達タイムは3秒47を記録し、2点タイムリー2ベースヒットなどチャンスに強さも見せた。
全ての面でアピール
50mを5.7秒で走り、遠投も125mを記録するスペシャルな身体能力を持つ辰己涼介選手、この日の奈良学園大戦では7回、サードがやや後ろに下がったのを見るとすかさず三塁側にセーフティーバントを決めた。一塁に駆け抜けたタイムはスカウトのストップウォッチで3秒6台を記録、最も速いタイムは3秒47だった。4秒を切れば速いと言われ、プロの速い選手でも3秒6、7だが、それよりも速いタイムを見せた。
また、5回には2アウト2,3塁のチャンスで打席に入ると、外角を攻められたものの、ややボール気味の球をしっかりと叩き、左中間へと運んだ。前日のミーティングで「困った時は俺の前に走者をためろ」と話していたが、チームが作ったチャンスでしっかりと結果を残した。
まだ線は細いと感じられたが、とにかく試合で躍動した。打撃での安定したスイング、そして走る時のスピードやフォーム、一目で良い選手とわかる、そういう選手だろう。
12球団100人超のスカウト視察
この大会には多くの球団が全てのスカウトが集まってクロスチェックをしたり、首脳クラスも視察に訪れる事が多い。この日も12球団、100人を超えるスカウトや関係者が集まった。阪神は和田TA以下12人態勢で視察を行った。
視察したスカウトからのコメントをまとめる。
◎阪神・熊野スカウト:「ゾーンに来ると、タイミングがずれても打てる技術を持っている。ここという場面で勝負強さ、集中力がアップする。足、肩、打撃とすべてで高いレベルでそろった選手はなかなかいない。グラウンドで目立つ、スターになれる要素は十分ですね。評価は上がるし欲しい選手。福留や糸井の後釜としても考えられる外野手かな。補強ポイントが合う球団なら1位指名もあるのでは」
◎東京ヤクルト・橿淵スカウトグループデスク:「肩と足はトップレベルと見ていて、きょうのようにいい所でタイムリー、それもレフトオーバーが打てるパンチ力もついてきた。攻守走で糸井タイプに成長する素材」
◎中日・米村チーフスカウト:「3拍子揃った野手の1位候補に入る。きれいな形とかにとらわれずにチームのためにという、精神的な面での姿勢が表れるようになっている」
◎広島・鞘師スカウト:「走攻守すべてトップレベルで、ドラフト上位候補。指名の状況次第では、1位に上がる可能性もありますね」
◎千葉ロッテ・長野チーフスカウト:「足がめちゃくちゃ速い。うちの荻野、小坂誠とかのレベル。打撃はもう少し修正が欲しい所だが、それを上回る身体能力がある」
◎オリックス・長村球団本部長兼編成部長:「走攻守全て高いレベル。肩も強い。そういう意味ではイチローみたいなタイプ」
スピードも長打力も技術もある選手、今年に入り周りが見えるようになったと、チームを常に意識したようなプレーを見せた。外野手にベテランが並ぶような阪神や巨人、ヤクルト、中日は、欲しい選手だろう。
阪神も例外ではない。和田豊テクニカルアドバイザー以下、総勢12人で金の卵を視察。担当の熊野輝光スカウトは「足、肩、打撃とすべてで高いレベル。スターになれる要素は十分です」とうなった。さらに自軍の選手を引き合いに出し「福留や糸井の後釜としても考えられる外野手かな」と評価。客観的な意見として「補強ポイントが合う球団なら、1位指名もあるのでは」と今秋のドラフト戦線をにらんだ。
スタンドでは12球団の編成担当やスカウトらが陣取る中、阪神は和田TAら12人態勢で視察した。熊野スカウトは「ここという場面で勝負強さ、集中力がアップする。(走攻守の)どれもレベルが高いから、グラウンドで目立つね」。七回は三塁線へセーフティーバントを決めた。4秒を切れば速いと言われる一塁到達タイムで、3秒61を記録。全国大会でも能力は際立っていた。
ヤクルト・橿淵スカウトグループデスク「肩と足はトップレベルと見ていて、きょうのようにいい所でタイムリー、それもレフトオーバーが打てるパンチ力もついてきた。攻守走で糸井(阪神)タイプに成長する素材」
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