関甲新学生野球連盟の春季リーグ戦が開幕し、今秋のドラフト候補として注目される上武大のエース右腕、木口永翔投手(4年=筑陽学園)が、常磐大との開幕戦で147球の熱投を披露。雨と低気温という悪条件の中、9回6安打14奪三振1失点に抑え込む完投勝利を挙げた。ネット裏のNPB4球団スカウトが視察し巨人のスカウトが評価している。
雨中の14奪三振、「低めに集める」エースの風格
最速151キロを誇る木口永翔投手にとって、この日は球速以上に「技術」と「精神力」が問われるマウンドとなった。小雨が降り続く寒さのなか、直球の最速は145キロにとどまったが、丁寧にコースを突く投球術で常磐大打線を翻弄。8回までスコアボードにゼロを並べ、完封目前の9回2死から連打で失点したものの、動じることなく最後の打者を空振り三振に仕留めた。
木口投手は「開幕戦で気負う部分があり、結果的に最後1点は取られたけど、チームの勝利に結びつくようなピッチングができた。低めに(変化球を)集めるっていうところは徹底してこの冬にやってきたので成果が出て良かった。カーブをどんどん使っていけたのは収穫になります。そこで幅が広がったので楽に投球できたかなと思います。」とまずは開幕戦で勝利したことを話した。
終わってみれば与えた四球は初回の一つのみ。この制球力の高さとゲームメイク能力に対し、巨人のスカウト陣は高い評価を送った。
巨人・大場豊千スカウト:「制球力がある。真っすぐで押す投球も緩急を使ったゲームメークもできる。非常に楽しみな投手(デイリースポーツ)。」
大学野球版“ピッチクロック”への順応
今大会から大学野球でピッチクロックが試されているが、木口投手にとっては全く影響は無かった。走者なしで12秒、走者ありで20秒以内に投球を行うことになるが、特に走者なしの12秒はMLBの15秒より短く、さらに球場内にクロックボードが設置されない「体内時計」に頼るしかない。それでも木口投手は147球を投じて一度も宣告を受けることはなかった。
木口投手は「オープン戦の段階からテンポを上げることを意識していた。長くボールを持った時でも意外と違反を取られなかった。あんまり気にならなかったですね。」と話した。
怪我を乗り越え、青学大・鈴木泰成を刺激に。「プロへ届くために死に物狂いで」
木口投手の歩みは決して平坦ではなかった。1年秋に注目を集めるようになったが、その後は怪我に苦しむ時期を過ごした。転機となったのは、昨年12月の大学日本代表候補強化合宿だ。そこで目にしたドラフト1位候補、青山学院大の鈴木泰成投手の立ち振る舞いに、強い衝撃を受けた。「輪の中にいても本当に目立つような存在だった。そのレベルまで上げていきたい(スポーツニッポン)」と、自身の意識を引き上げた。
木口投手は「この1年間は本当に死に物狂いでやっていかないと、本当にプロっていう世界には届かないと思う。ラスト1年はもう自分がこのチームを引っ張っていくぐらいの気持ちでやっていきたいと思います(スポーツニッポン)。」と話し、プロ入りを、そしてライバルとの競争を強く意識しながら成長を見せている。
185センチ91キロ。筑陽学園高時代からそのポテンシャルを高く評価されてきた右腕が、本物のエースとしての覚醒を見せる。
【木口 永翔】 プロフィール
- 氏名: 木口永翔(きぐち・えいと)
- 所属: 上武大学(4年)
- 出身: 福岡県(福岡市立平尾中-筑陽学園高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 185cm、91kg
- 主な特徴や実績: 最速151キロの直球とカットボール、カーブ、フォークを操る本格派。2026年春季リーグ開幕戦で14奪三振完投勝利。1年時からの怪我を克服し、4球団のスカウトが注視するドラフト候補。新ルール「ピッチクロック」への高い順応性も魅力。










コメント