東都大学野球春季リーグでは、10季ぶりに1部へ復帰した立正大が国学院大を延長10回タイブレークの末に6-3で下した。この試合では背番号10を背負う驚異のルーキー・高田庵冬内野手(1年=仙台育英)が「6番・三塁」で先発出場すると、2回に先制ソロ、9回に一時勝ち越しとなる2ランを放ち1試合2本塁打の大暴れ。開幕からわずか5試合で早くも4号に到達した。1年春でのシーズン4本塁打は、1950年以降のリーグ史上、今岡誠(1993年・東洋大)と佐々木泰(2021年・青学大)に並ぶ戦後3人目の大記録。昨秋の指名漏れの悔しさを味わった大砲が、戦国東都の覇者となる
狙い通りのバックスクリーン弾、配球を読み切った「ベストの打席」
高田庵冬選手はこの日、第1打席は「読み」と「力」が完璧に噛み合った瞬間だった。2回2死、カウント2ボールからの3球目。前の打者への投球を見て変化球が抜けていることを感じて高田選手は、「自分にはストレートが来る」と確信を持ってバットを振り抜いた。打球はバックスクリーン右の中段へ突き刺さる特大の先制3号ソロ。高田選手は「入れに来る真っすぐを狙い通り打てた。今日のバックスクリーンのホームランが自分の中でベストの打席でした。」と、満足げに振り返った。
1-1の同点で迎えた9回1死一塁の第4打席では、さらに凄みを見せた。3番手左腕の初球、外角高めの直球を強振。打球は神宮特有の風に乗り、右中間席へと吸い込まれる勝ち越しの4号2ランとなった。高田選手は「チームは押せ押せムードになっていて。振り切れたっていうのが一番の要因だと思います。正直、入ると思わなかったけど、運良く風に乗って入ってくれた。」と笑顔を見せた。今季4本目、逆方向へ押し込むパワーも見せた。
「ボールにスピンをかける」仙台育英時代からの意識
高田選手の圧倒的な飛距離を支えているのは、卓越した技術だ。182センチ90キロという恵まれた体格に加え、打球にスピンをかける意識を徹底している。高めのボールに対しても、「後半の打球の伸びを意識しています。いかに上から叩けるか、普段から意識しています(スポーツニッポン)。」と語り、バットを真っすぐ出して正確にコンタクトする打法を追求してきた。高校通算32本塁打、昨夏の甲子園でもアーチを架けた打撃は際立っている。
この日の2発により、高田選手は東都大学リーグの歴史に残る事になった。1年春の4号到達は、今岡誠氏(東洋大ー1996年阪神1位逆指名)、佐々木泰選手(青山学院大ー2024年広島ドラフト1位)に並ぶ3人目の記録で、立正大の選手としては史上初の快挙となる。ネット裏のスカウト陣も、この驚異的なロケットスタートに熱い視線を送っている。
巨人・木村龍治スカウト:「技術は上がっている。この先、どういう選手になっていきたいか、目標設定していくことが大事になる。」
また、対戦した国学院大・鳥山監督も「素晴らしい打者。非常に魅力的なバッターで、出塁の機会を逃さずに素晴らしいバッティングでした。東都にまた一人魅力的な選手が出てきた。野球界にとっては非常に楽しみなプレーヤーではないでしょうか。」と話した。
指名漏れの屈辱から「4年後のドラフト1位」へ、憧れは岡本和真選手
現在の爆発的な活躍の影には、半年前の「悔しさ」があった。昨秋のドラフト会議、高校通算32本塁打の仙台育英高の主砲として注目をされていたが、プロ志望届を提出したものの名前は最後まで呼ばれなかった。「次はドラフト1位を狙いたい(日刊スポーツ)」と誓い、指名漏れの直後に最も熱心に声をかけてくれた立正大への進学を決めた。「振っていくカラーも自分に合っている(中日スポーツ)」と語る通り、金剛弘樹監督(47)の「良ければ学年に関係なく使う」という方針が、高田選手の才能を解き放った。
そして結果を残した高田選手に金剛監督は、「あの思い切りの良さが一番の売り。1年生とは思えないくらい、初球から思い切って振ってくれる。思い切りやってくれているところは、評価できると思います。」
高田選手が目標に掲げるのは、ブルージェイズへと羽ばたいた元巨人の主砲、岡本和真選手だ。「広角に強い打球が打てて、守備も凄く軽快(スポーツニッポン)」と語り、打撃だけでなく三塁の守備力強化にも取り組んでいる。まずは、シーズン最多記録の8本の更新も期待がかかるが、「ホームランを意識しないなかで打つことがベスト(サンケイスポーツ)」と冷静に足元を見つめる。東都最多本塁打記録の24本(井口忠仁選手)の更新も期待したい。
【高田 庵冬】 プロフィール
- 氏名: 高田庵冬(たかだ・あんと)
- 所属: 立正大学(1年)
- 出身: 滋賀県(彦根市立南中-滋賀野洲ボーイズ-仙台育英高卒)
- ポジション: 内野手(三塁手)
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 182cm、90kg
- 主な特徴や実績: 仙台育英高時代に高校通算32本塁打、2025年夏の甲子園で本塁打を記録。2026年春季リーグ開幕5試合で4本塁打を放ち、今岡誠(東洋大)、佐々木泰(青学大)に並ぶ戦後3人目の1年春4号を達成。上から叩いてスピンをかける打法が持ち味。憧れの選手は岡本和真。2029年ドラフト候補。
















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