東都大学野球春季リーグは21日、神宮球場で第3週の1回戦が行われ、亜細亜大が中央大に6-5で逆転サヨナラ勝ちを収めた。土壇場の9回、3点ビハインドから怒涛の5安打を集中させて同点に追いつくと、最後は今秋のドラフト候補に挙がる扇の要、前嶋藍捕手(4年=横浜隼人)が中前へ殊勲のサヨナラ適時打を放った。
「僕に任せてください」、正村監督との約束を果たした人生初のサヨナラ打
5-5の同点に追いつき、なおも9回2死一、二塁。バッターボックスに向かう前嶋藍選手の心は、驚くほど冷静だった。直前のベンチで正村公弘監督(62)から「タイブレーク(延長10回)になったら投手はどうする?」と継投の相談を投げかけられた際、前嶋選手は力強くこう言い切っていた。「僕に任せてください。」自分が決めるから、タイブレークの心配はいらない。その強い覚悟で臨んだ打席で、カットボールを完璧に捉えた鋭い打球が、センター前へと抜けていった。
前嶋藍選手は「サヨナラ打は生涯初めてです。記憶にないので。みんながつないでくれた分、絶対に打とうという気持ちがありました。外野の間も抜ければ確実に勝てるので、とにかくコンパクトに打った結果です。」と照れくさそうに笑った。正村監督も「本当に野球は難しい。ただのマグレだと思うけど、有言実行で打ってくれた(サンケイスポーツ)。」と、殊勲の愛弟子をユーモアを交えて称えた。
4年前の「右飛」が教訓、横浜高との死闘で学んだ「コンパクト」
前嶋選手がサヨナラの場面で冷静さを貫けたのは、4年前の夏、横浜隼人高3年時の神奈川大会5回戦。名門・横浜高との一戦で、同点の9回裏2死満塁という、この日と酷似したシチュエーションの経験があったからだ。その時は、長打力でもアピールをしていたことから色気を出して長打を狙い、右飛に凡退。チームは延長10回に力尽きた。「あの経験があったから、大きいのを狙わずにコンパクトに打てばいいと思って打席に立てた。気楽に打てたことがヒットにつながった。」と話す。かつての経験の積み重ねで、人生初のサヨナラ打を放った。
守備でも5人の投手を巧みにリードし、苦しい戦いながらも耐え抜いた。捕手として、失点を喫したことへの反省も忘れない。「失点しているということは、配球とか何かしらの課題がある(中日スポーツ)」と反省をした。
「打てない時でも勝たせたい」、ドラフト候補捕手
今秋のドラフト会議において、前嶋選手は「即戦力捕手」として12球団が熱視線を送る存在だ。侍ジャパン大学代表候補としてプレーしている青山学院大の渡部海捕手(4年)の活躍も大きな刺激になっている。しかし、前嶋選手は周囲を意識しすぎることなく、自らが追い求める理想の捕手像を追い続けている。
「周りを意識しすぎず、今、自分ができることを全て出す。打てない時でも勝たせられるのが、僕が追い求める勝てる捕手の姿です。そうすれば道は開けると思う(日刊スポーツ)。」と話す。
175センチと捕手としては小柄ながら、二塁送球1.8秒台の強肩と、高校通算本塁打を積み重ねたパンチ力は高校時代から注目され、大学では厳しい東都1部で経験を積み重ねてきた。チームの勝利、優勝、そして自らの夢であるプロ入りへ向けて歩を進めていく。
【前嶋 藍】 プロフィール
- 氏名: 前嶋藍
- 所属: 亜細亜大学(4年)
- 出身: 神奈川県(川崎市立貝塚小-オセアン横浜ヤング-横浜隼人高卒)
- ポジション: 捕手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 175cm、84kg
- 主な特徴や実績: 2025年大学日本代表。強肩強打を誇る東都屈指の捕手。2026年春季リーグ中大戦で自身初のサヨナラ打を放った。高校時代の横浜高戦での敗戦を糧にした精神的な強さと、「勝てる捕手」を追求する高い志が武器。2026年ドラフト上位候補。











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