関西学生野球の春季リーグは17日、大阪市のGOSANDO南港野球場で最終節の2回戦が行われ、関西大(関大)が京都大に6-0で快勝、2勝0敗として勝ち点を「5」に伸ばし、完全優勝で1995年以来、31年ぶり12度目となる春の関西学生王者となった。今秋のドラフト上位候補に急浮上した左腕エース・米沢友翔投手(4年=金沢)が、リーグ戦最多タイとなる15奪三振で7回無失点の快投を見せ、全日本大学野球選手権(6月8日開幕、神宮・東京ドーム)の切符を自らの左腕で掴み取った。
アウト21個中15個が三振。驚異の「毎回奪三振」で京大打線をねじ伏せる
米沢友翔投手は、13日の近大戦から中3日でのマウンドだったが、初回から3者連続三振を奪う圧巻の滑り出し。最速149キロにあと1キロと迫る148キロの直球を軸に、勝負所でコースに決まるスプリットを織り交ぜ、毎回の15奪三振をマークした。「勝ったら優勝という負けられない試合だったので、常に一個一個アウトを取るという意識でした。厳しいところに投げられている結果が、三振につながった。ストレートで押すことができたと思います。」と振り返った。
7回を投げて4安打無失点、今春は先発した8試合で4勝をマークし、11日の関学大戦では1安打準完全試合を達成するなど、まさに「関大の絶対的エース」として完全優勝の立役者となった。中日・金丸投手からアドバイスを受け、食事にも連れて行ってもらうなど可愛がられてきた「金丸2世」が、金丸投手も成し遂げられなかった大学野球選手権出場の切符を勝ち取った。
能登半島地震での被災と1年の空白、両親への恩返しを胸に「自分自身」に勝ち抜く
米沢投手の歩みは、困難が続いていた。2年生の夏から3年生の夏にかけては、肩と肘の激しい痛みに悩まされ、投げることすらできない日々が続いた。心が折れそうになるなか、さらに追い打ちをかけるように2024年1月、実家のある石川県珠洲市が能登半島地震で被災した。避難生活を送るなど、野球どころではない過酷な現実に直面したが、両親は「自分のために頑張りなさい」と、変わらぬ愛情で送り出してくれた。
「投げたくても投げられないことが続いたので(心が)折れそうになったこともあった。それでも自分自身でやらないと成長はない。一番は自分自身と戦えたことが強みになった。しんどい時に諦めそうになったところで、もう1回しんどいことをやる。継続してやったことで、ピンチの場面でも生きたと思います。」と話し、強い精神面が形成された。
この日は、遠路はるばる石川県から両親も応援に駆けつけた。ウイニングボールとともに、「良い報告ができる(日刊スポーツ)」と話し、目には涙が滲んでいた。
レジェンド山口高志氏のアドバイス、「土台の2年間」
米沢投手の覚醒の裏には、偉大なレジェンドたちの支えがあった。大学OBであり、阪急ブレーブスで「伝説の剛腕」として鳴らした山口高志アドバイザリースタッフ(75=元阪神コーチ)だ。プロ時代に同じく故障に苦しんだ経験を持つ山口氏は、誰よりも米沢投手の痛みに寄り添い、辛抱強く復活を待ち続けてくれた。
「山口さんは誰よりも寄り添ってくれた。アドバイスもいただいた。一番感謝しています。」と話す。
2024年から指揮を執る小田洋一監督も「一昨年、昨年となかなか上に行けなかったが、選手たちがしっかり取り組んでくれた。下に根ざした(土台を作った)2年間があっての優勝。今年はそれを証明するために絶対勝ちたいと思った。本当にうれしい。米沢は疲れも見せずによく投げてくれた。」と話し、金丸投手などの頑張りがあっての、この大学野球選手権出場で有ることを強調した。
目標は「神宮で日本一」、全国の舞台でアピール
今年の関西学生リーグは、優勝することは決して容易ではなかった。昨秋の明治神宮準優勝の立命館大・有馬伽久投手、近畿大の代表候補右腕・宮原廉投手、関西学生大の飯田泰成投手など、全国クラスのエースが各チームに存在し、エース同士の投げ合いに勝たなければならなかった。その中での完全優勝は非常に価値がある。
そして、米沢投手の視線は、すでに全国の強豪たちが集う神宮球場、そして東京ドームを見据えている。「本当に楽しみ。どこまで自分の真っすぐが通用するのかを確かめたい。全国に出てくるチームはやっぱりいいチームばかりなので、持ち味で勝負します(日刊スポーツ)。」
既に関西学生リーグでもその実力は評価済みだが、かつてから投高打低というリーグでもあり、東京六や東都などのチームを相手にどんな投球をするのかが注目される。昨秋は立命館の有馬投手がその実力を見せながらも青山学院大の壁を越えられなかったが、米沢投手がその壁を乗り越える投球を見せられるか、リーグのエース達の思いも背負いながら優勝を狙う。
【米沢 友翔】 プロフィール
- 氏名: 米沢友翔(よねざわ・ゆうと)
- 所属: 関西大学(4年)
- 出身: 石川県(珠洲市立天王中-宝立サマンズ-金沢高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 左投左打
- 身長・体重: 180cm、80kg
- 主な特徴や実績: 自己最速149キロ。180cmの長身から放たれるキレのある直球とスプリット、チェンジアップを操る。昨秋までリーグ戦未勝利も、2026年春季リーグにて4勝を挙げ「完全優勝」の原動力となった。11日の関学大戦で準完全試合、17日の京大戦で7回15K無失点。中日・金丸夢斗の背番号21を継承する、2026年ドラフト上位候補。
















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