ドラフト総決算2012 ~第4章~ 新星の輝きと越えるべき壁

選手コラム

 世代交代の東京六大学

 東京六大学にはWのスター軍団がいた。早稲田実業で全国制覇しハンカチ王子の名前だけでなく、東京六大学でも1年生の時から活躍をし続けた斎藤佑樹、154kmのバットに当たらない速球を武器に君臨した大石達也、そして二人に1年遅れながらも済美高校で春に優勝、夏に準優勝、大学でも先発2番手として安定感を増した福井優也。この3人のいる早稲田大は名実ともに黄金時代だった。

 この3人が大学野球の集大成となる2010年、春のリーグ戦で防御率1位は2年生となった法大・三嶋一輝(0.38)、2位は同じく2年生の慶大・竹内大助(1.31)だった。三嶋一輝投手は福岡工高校で3年生となった2008年の春に147kmをマーク、九州大会では東浜投手は投げなかったがセンバツ優勝の沖縄尚学を破ると、伊波翔悟投手の浦添商も破って一気に九州を制覇した。ドラフト候補として注目されたが、こちらもプロ志望届を出さずに東京の大学に進学していた。

 三嶋は大学でも1年生でいきなり154kmをマークすると、2年生となった今季、先発で2試合、リリーフ7試合に登板し失った点は23イニングで1点のみ、同じく23イニングで7失点した早大・大石達也を大きく上回り最優秀防御率のタイトルを獲得した。また慶大・竹内は初戦の東大戦でノーヒットノーランを達成すると今季6勝、福井優也の3勝、斎藤佑樹の2勝を大きく上回り、最多勝のタイトルを獲得した。

 そして福谷浩司である。愛知・横須賀高校で140kmのストレートを見せ、東浜巨投手や佐藤翔太、そして三嶋一輝と共にプロから注目されていた投手だった。しかし3人と違うのはプロに入ると決断しプロ志望届けを出していたがドラフト会議での指名が無かった事。そのため推薦などは得ることなく、慶大の理工学部を受験し見事合格して野球部に入部していた。福谷浩司は春季リーグ戦は勝ち星こそ2勝2敗も先発リリーフに大回転し、2年生コンビで早大を上回りリーグ優勝を果たした。そして大学野球選手権では初戦の桐蔭横浜大戦で先発、150kmを超すストレートで好投手・東明大貴との投げ合いを制して全国デビューを飾った。

 準決勝では竹内大助が東海大3年・菅野智之の壁を越えられず敗退、その菅野も決勝で東洋大・藤岡貴裕に敗れ、春の熱戦は幕を閉じたが、2年生達の大きな活躍に新たな世代の登場を印象付けた。

 新星の登場と越えられない壁 ~高校編~

 暑い夏の甲子園、センバツを制した興南の島袋洋奨投手と、サイドスローに転向した怪物・一二三慎太(東海大相模)が注目される大会で、1年生4番が快挙を達成した。九州学院・萩原英之である。入学直後から九州学院の4番を任され、熊本大会でも6打点を挙げて甲子園に勝ち上がってきた選手が3回戦の鹿児島実業戦でPL学園・清原和博以来となる1年生4番のホームランを見せた。同じく1年生でいきなり遊撃手をまかされた溝脇隼人と共にベスト8まで勝ち上がった。しかし準々決勝で一二三慎太の壁を越えられず甲子園を去った。

 もう一人、報徳学園の田村伊知郎投手。兵庫大会では1年生エースとして甲子園出場を果たすと、甲子園でも144kmを記録しチームをベスト4まで勝ち進めた。しかし、準決勝では興南の島袋洋奨に5-6とあと1点抑えきれずに敗れた。

 この1年生の活躍は関西の星に火を付けた。まだ暑さの残る9月、新チームとなった大阪桐蔭で1年生ながらエース格となった藤浪晋太郎は大阪大会5回戦の金光大阪戦で143kmをマーク、195cmを超す長身投手に大阪はざわめいた。しかし、近畿大会1回戦では藤浪晋太郎が先発し2失点好投を見せたものの、田村伊知郎の報徳学園を破って出てきた加古川北・井上真伊人に完封されて敗れた。

 花巻東の大谷翔平も4番投手としてチームを背負うようになると、3位で出場した東北大会の学法石川戦でリリーフとして登板し147kmを記録。試合に敗れたものの、160km投手への道を着実に登っていく姿があった。そしてその姿をドジャースの小島圭一と北海道日本ハム・山田正雄が見ていた。

 新星の登場と越えられない壁 ~大学編~

 熱戦の東京六大学、早稲田黄金世代との最後の戦いが始まる。法大・三嶋一輝も4年生・加賀美希昇のリリーフとして登板し勝利を重ね、法大は8勝4敗で優勝争いを繰り広げる。早大も斎藤、福井、大石が先輩の意地を見せ、早慶戦を前に8勝2敗でトップを走る。慶大・福谷浩司は春よりも増した速球で150kmを連発して勝ち星を重ね、早慶戦で2連勝すれば優勝決定戦に持ち込める所まできた。そして2010年10月31日、3日前の28日に史上初の同一大学3投手ドラフト1位となった3人に、竹内、福谷の2年生が最後の勝負をかけた。

 1回戦は慶大・竹内大助と早大・斎藤佑樹が先発、斎藤は初回に1点を失うと7回にも1失点し7安打2失点、対する竹内は7回まで6安打を許すも持ち前の粘りで無失点、8回から登板した福谷が2イニングで4三振を奪い、2年生の完封リレーで慶大が先勝した。

 2回戦、慶大は昨日リリーフで登板した福谷浩司が、早大は福井優也が先発した。慶大は制球を乱した福井を攻め3回で4点を奪いマウンドから降ろすと、3番手で登板した絶対守護神・大石達也からも3回で3得点。福谷浩司は9安打を打たれながらも1失点で完投、見事2連勝で優勝決定戦に持ち込んだ。1位慶大、2位早大・3位法大、共に8勝4敗、わずかに法大は勝ち点で及ばなかったが史上まれにみる激戦だった。

 そして優勝決定戦、早大は斎藤佑樹が、慶大は竹内大助が先発すると、斎藤佑樹が7回を2失点、大石達也が2イニングで4奪三振、竹内大助は3回3失点、福谷は1回1/3を2失点。結果は10-5で早大が勝利し、斎藤佑樹の「自分は何か持っていると言われますが、それが何か確信できました。それは仲間です」という名言を残す事となった。

 続く

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