2014年ドラフトストーリー ~その3:1度目の対決~

島袋洋奨, 有原航平, 山崎康晃, 風張蓮, 横山雄哉, 山崎福也, 浜田智博, 戸根千明, 糸原健人

 2014年ドラフト会議で指名された選手104人にまつわる2008年からの6年間の物語。

姿を現す怪物たち

 2009年、ドラフト会議では岩手・花巻東の菊池雄星が6球団から1位指名を受ける。そこから北に遠く、同じ岩手県ではあるが、花巻市街地近くにあり甲子園にも出場した花巻東と比べると、九戸村の山の中に伊保内高校はあった。

 自慢は高校の隣にある九戸村総合運動場にある野球場、ここで岩手県に新たな怪物が登場しようとしていた。伊保内高校の風張蓮である。179cm76kgの体から投げられるストレートは147km/hを記録、二戸地区予選でその球を打てる選手はおらず、3試合20回を無失点に抑えた。

 噂を呼び、プロのスカウトも呼んだ県大会初戦、花巻南との対戦、風張は自慢のストレートで17三振を奪う。しかし味方のエラーで出したランナーをホームに返し0-1で敗戦、怪物はふ化する前に再び冬の中に姿を消すのだった。やがてさらに大きくなって姿を見せる事になる。

 秋は中国地方を湧かせた。島根の開星はジャイアン・白根尚貴と糸原健斗が注目された。糸原は秋の大会で9打席連続安打に4本塁打と打ちまくり、センバツ出場を決めるとともにプロも注目を集める。また石見智翠館はエースの戸根千明が中国大会初戦で倉吉東を4安打完封する。

 そして広陵、夏の大会でエース級の活躍を見せプロも注目をしていた有原航平が姿を見せる。しかし中国大会は開星の白根に3-5で敗れベスト4止まり、しかし滑り込みでセンバツ出場を果たす。この時はまだ主役ではなかった。

 九州大会ではある対決が注目される。宮崎工の浜田智博は鹿児島実、福岡工大城東を破り準決勝で興南と対戦する。エース島袋は途中から登板し二人の投げ合いとなったが、浜田が粘りを見せ3-2で勝利した。浜田工、興南共にセンバツ出場を決める。島袋の興南はこの敗戦以降、黒星がつく事は無かった。

 

2010センバツ その1

 それぞれが思いを持って冬を越し、センバツが開幕する。思い返すとこの大会は2014年ドラフト候補同士の対戦だらけだった。

 大会初日、3度目の甲子園となった天理・中村奨吾は開幕戦で敦賀気比の前にノーヒットで敗れる。1日目の第3試合には日大三が登場、山形中央と対戦する。日大三は山崎福也、初回に2点を与えるなど6安打と5つの四死球で4失点をするが、10個の三振を奪い完投勝利を挙げた。打線は高山俊や横尾俊建、畔上翔といった1年生が猛打を見せ、山形中央の左腕投手に7回まで18安打を浴びせ11点を奪う。その投手は1年生の横山雄哉、翌年プロ注目の左腕投手となる男だった。

 2日目、開星は糸原、白根を擁しで優勝候補にも挙げられたが、初戦で21世紀枠で出場した向陽に敗れる。試合後に監督が「末代の恥。腹を切りたい」と発言し、監督辞任に追い込まれる。その同じ日、宮崎工の浜田智博は前橋工を2安打8奪三振で完封すると、広陵の有原航平は13奪三振を記録したものの、7安打8四死球で6点を失う。試合は7-6で広陵が勝利し、内容は違うものの2回戦に進出した。

 4日目には興南が登場、島袋洋奨は10安打を許したものの14三振を奪いまず1勝、続く試合では帝京が登場し、怪物・1年生の伊藤拓郎が5安打9奪三振2失点で完投勝利を挙げる。

 

2010センバツ その2

 2回戦、有原が力を見せる。宮崎工との対戦、相手投手は浜田智博。有原は140km/h中盤の速球を披露し、2安打10奪三振で完封をする。浜田も1点に抑えたものの1-0で有原投手が先に進んだ。

 興南も島袋洋奨、帝京・伊藤拓郎、日大三・山崎福也が勝ち進む。準々決勝の興南vs帝京では島袋が5安打7奪三振で完封、帝京は2連続完投勝利を挙げていた怪物・伊藤ではなく3年生の鈴木が先発し5点を失う。そして2番手に山崎康晃が登板、2回1/3を2安打3奪三振無失点に抑える。大学まで続く戦いの始まりを、島袋に見せた。

 準決勝では広陵と日大三が対戦、日大三の山崎福也は4回で2失点と調子が悪く交代、有原航平は7回まで日大三の猛打戦を相手に5-4と優勢に試合を進めたが、8回に一気に崩される。まで13安打を浴びて7失点、日大三の猛打戦を止める事はできなかった。8回に10点を与え日大三が決勝に進む。

 有原航平vs山崎福也の対戦もこの時運命づけられたのか。早大のエースvs明大のエースとして長い戦いの始まりの試合となった。そしてこの時リリーフとしたのは日大三は吉永健太朗、広陵は上原健太、この二人も早大、明大に進み対戦をしていくのだが、これは来年の話に。

 決勝は熱戦となった。興南・島袋洋奨、日大三・山崎福也の対戦は6回まで5-5、猛打線の日大三が島袋から5点を奪い、勢いのついた興南打線も山崎福也から5点を奪った。しかし7回以降は両投手がゾーンに入り、延長11回まで無失点を続けていく。

 延長12回まで続いた二人の投げ合いだったが、12回に山崎福也が崩れ5失点、裏を島袋が抑えて興南が春の甲子園を制した。

 

 興南・島袋洋奨が優勝を収めたが、山崎福也、有原航平、山崎康晃、浜田智博、横山雄哉といった投手が戦いあった2010年の春だった。

(つづく)

 


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