東北楽天はドラフト会議で指名した9選手の入団発表を行った。
9人中8人が投手
チームが日本一を果たした。その中で語られたのがチームの補強の方針で、ドラフトでは主に投手を、スラッガーは外国人を獲得するというものだった。メジャーに渡ってメジャーでも中心選手として活躍するのは投手が多く、ドラフト1位は東北楽天が始まって全て投手となっている。今年のドラフトでも、田中将大投手が抜ける可能性があるとはいえ、マギー選手が抜ける可能性がある中で9人中8人の投手を指名した。さらに左腕投手4人を指名し、投手の中でも左腕に絞って指名を行った。
またもう一つの特徴は、即戦力ではなく時間をかけても良いと考えている点にあると思う。社会人選手も含めて全て実績としてはまだまだで、成長途中、あるいは1つの長所を持った特徴のある投手を指名している。
ドラフト1位の松井投手は球速147km/hに大きなスライダーでプロでも通用する球だが、高校3年時は球数を減らす事やすべて全力で投げるスタイルからの脱皮を課題に取り組んでおり、チェンジアップなど変化球を駆使する投球を行った。WBCでもエースとして活躍したものの四球も多く、まだその結果は出たとはいえない。それを掴んでからでも1軍登板は遅くないと思う。時間をかけて欲しい。
ドラフト2位、内田選手はスラッガー候補として星野監督の期待も高い。大事な場面で、右に、左にホームランを打つことができる高い素質を持つ。捕手として育てる予定で、そうなるとどうしても時間はかかってしまう。しかし主軸を打てる捕手となった時、チームへの貢献は計り知れないものとなりそうだ。ドラフト3位・浜矢投手は本格的に投手として投げ始めたのは高校2年生の秋からで、活躍をし始めたのは今シーズンになってから。スタミナに課題などを見せたものの急成長をしている大型左腕。
ドラフト4位、古川投手は8投手の中では完成度が高いほうの選手だと思う。力を込めた148km/hの速球でちゃんとストライクを取れる点、ピンチを迎えてから強さを発揮する点に、フォームのバランスも良く欠点は指摘しにくい。あとはベースの体力を高めてちゃんとした理論を元に自分のフォームを理解して悪いときに修正できるようにする事ができれば、早くより活躍できる投手だと思う。
ドラフト5位、西宮投手もクセの無いフォームや148km/hの球速は申し分ない投手だが、岩貞にエースを譲ったのは、勝負どころの強さだろうか。高いレベルの選手を抑えていく事で自信と実績を積んで欲しい。ドラフト6位の横山投手もリリーフで安定感を見せる。ただし4年生ながら先発にはなれず、球速など体力的なベースアップを図りたい。ドラフト7位の相原投手も都市対抗など全国常連の投手で、好投を見せて素質の高さを見せたが失点も重ねてしまい勝ちきれない所がある。こちらも140km/h前半のストレートのキレを増して、大きなカーブなどをいかせる投手となってほしい。
ドラフト7位の相沢投手は大学4年、社会人4年の経験を、逆にドラフト8位の今野龍太投手は無名校出身で実績が少ないが、その中で突出した素質を生かして、ドラフト上位投手に食らいついてゆきたい。
ドラフト | 名前 | ポジション | 背番号 | 特徴 | 出身チーム | 説明 |
1位 | 松井裕樹 | 投手 | 1 | 174cm74kg 左左 | 桐光学園 | 甲子園1試合22奪三振など三振狙って奪える |
2位 | 内田靖人 | 捕手 | 8 | 185cm86kg 右右 | 常総学院 | 夏茨城大会決勝でサヨナラ本塁打など通産37本塁打 |
3位 | 浜矢広大 | 投手 | 13 | 185cm78kg 左左 | 日高中津-ホンダ鈴鹿 | 長身左腕、147km/hの速球でさらに成長 |
4位 | 古川侑利 | 投手 | 60 | 178cm78kg 右右 | 有田工 | 甲子園で148km/h記録、角度ある速球武器 |
5位 | 西宮悠介 | 投手 | 38 | 180cm80kg 左左 | 佐野日大-横浜商大 | 148km/h速球で岩貞祐太と2枚看板 |
6位 | 横山貴明 | 投手 | 54 | 180cm79kg 右右 | 聖光学院-早稲田大 | 伸びる速球でリリーフで連続無失点 |
7位 | 相原和友 | 投手 | 53 | 186cm72kg 左左 | 七十七銀行 | 大きなカーブと確度ある速球武器 |
8位 | 相沢晋 | 投手 | 62 | 172cm70kg 右左 | 日本製紙石巻 | 小柄ながら146km/h速球、コーチ兼任のベテラン |
9位 | 今野龍太 | 投手 | 99 | 178cm70kg 右右 | 岩出山高 | 無名校ながら146km/h速球なげ注目 |
楽天のドラフト1位左腕・松井裕樹投手(18)=桐光学園=が9日、今季24勝0敗でシーズンを終えたエース・田中の“無敗伝説”の継承に意欲を見せた。仙台市内のホテルで行われた新入団会見に出席し「今年の田中投手のように、無敗でシーズンを終われるようになりたい」と誓った。
ファンも参加した会見で、松井が姿を見せると、声援はひときわ大きくなった。「自分にかかる期待の大きさを感じました」。背番号「1」のユニホーム姿も初披露。目標とする左腕は「いない」と言い切った。田中の去就は未定だが、大きな背中を追い続けるつもりだ。
一生に一度の新入団会見。記念撮影が終わり、会見場を離れる時だった。松井裕は星野監督からポカリとやられた。「笑えよ」。18歳は顔を真っ赤にして一礼した。
「写真を撮る時に笑っていなかったので、頭を叩かれて。“厳しく、自分をいい意味でいじめて”という言葉もあった。身が引き締まる思いです」。背番号1のユニホームに身を包み、楽天の一員となった初日。18歳は緊張した。それでも記念撮影で笑顔を見せるのもプロの仕事だ。普段はしかめっ面の闘将も笑う。思わぬ形でプロの厳しさを味わった。「無理はするなよ」と優しい言葉も掛けられた。星野監督らしいアメとムチ。それを、松井裕は初対面から感じることになった。
怪物左腕らしさも発揮した。入団会見はファンクラブ会員を中心とした一般客にも公開。200人を超えるファンを前に松井裕は「今年の田中投手のように無敗でシーズンを終われるような素晴らしいピッチャーになりたいです」と宣言した。今季24勝1セーブだった無敗のエース田中はポスティング・システム(入札制度)を利用してのメジャー移籍の可能性がある。来季、その大きな穴を埋めるにはドラフト1位左腕の力が不可欠。来年2月の沖縄・久米島キャンプで1軍スタートさせる意向の星野監督も「前向きな姿勢がいい。15勝0敗でも無敗だからな。いい体をしている。お尻もプリプリしている」と素材にほれ込んだ。
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