「第45回日米大学野球選手権大会」に出場する侍ジャパン大学代表の選考合宿が21日、神奈川県平塚市でスタートした。この合宿の紅白戦で、プロ志望届の提出を明言している東京大学の下手投げ右腕・渡辺向輝(こうき)投手(4年・海城)が1イニングを三者凡退に抑える完璧な投球を披露。集結した12球団のスカウト陣に、唯一無二の存在感を強烈にアピールした。
大学トップ級打者を7球で三者凡退!「自分の抑え方はこれ」
大学球界屈指の選手たちが集う特別なマウンドにも、渡辺向輝投手は臆することなく自分のスタイルを貫いた。紅白戦の5回から登板すると、「初見で打ちづらいボールを投げようと思った」と、得意のスライダーを主体にテンポの良い投球を展開。先頭打者で今春の東京六大学リーグ三冠王に輝いた立教大学・山形球道選手を左飛に打ち取ると、続く近畿大学・阪上翔也選手を捕邪飛、最後は昨年の大学日本代表4番も務めた明治大学・小島大河選手を外角直球で見逃し三振に仕留めた。わずか7球での完璧なリリーフに、「まさか明治の小島選手から三振を取れると思っていなかったので、凄くうれしかったです。自分の抑え方はこれだよというのを示せた」と納得の表情を見せた。
全国から豪腕が集まる合宿の雰囲気に「周りを見て全員球が速いので、ちょっと怖気づいちゃった部分もありました」と謙遜しつつも、「今日はベストな結果が残せたので、明日もこれを維持できるように頑張ります」と、代表入りへ向けて力強く語った。
日本ハム栗山CBO「敬意を持つべき」ヤクルトスカウトも「希少性高い」と高評価
父は元ロッテの「ミスターサブマリン」渡辺俊介氏。その父譲りの下手投げから繰り出されるボールは、プロの目にも魅力的に映った。ネット裏で視察した日本ハムの栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)は、その独創性を手放しで絶賛した。
北海道日本ハム・栗山英樹CBO:「我々は身体能力であったり、コマンド能力、スピード、球種といった、いろいろな要素を見ています。その中で人とは違うオリジナリティ、特徴を持つということが大事。工夫、努力であれだけ奇麗なサブマリンをつくり上げたことは本当に素敵で、敬意を持つべきことです。(大学ジャパン入りするには)人と違ったオリジナリティを持った上で結果を残す必要がありますが、今日は抜群の結果を示してくれたのではないでしょうか」
また、ヤクルトの橿渕聡スカウトグループデスクも、その希少性と投球術を高く評価。
東京ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスク:「ウチも今年(下手投げの)下川が入りましたから。東大のエースとして投げていて、緩急がうまく使えていますよね。やっぱり稀少なアンダースロー投手ですし、彼の良さは高めを使えるところ。現在、プロ野球でも低めに投げればいいという状況ではなく、高めに投げる力も要求されています」
父と対戦経験のあるヤクルト・橿渕氏は「(父のような)イメージで見ていました」とも語っており、あるメジャー球団スカウトも「左打者3人を完璧に抑えたのは印象的だった。サブマリンは米国でも珍しく、チームの飛び道具として力を発揮してくれそう」とうなるなど、その評価は日米を問わず高まっている。
渡辺向輝投手 プロフィール
- 氏名:渡辺 向輝(わたなべ こうき)
- 生年月日:2004年2月25日
- 出身地:千葉県
- 経歴:海城中学校 – 海城高校 – 東京大学(4年)
- 投打:右投右打
- 身長・体重:167cm・63kg
- ポジション:投手
- 主な特徴や実績:元千葉ロッテマリーンズの渡辺俊介氏を父に持つサブマリン右腕。2025年大学日本代表選考合宿の紅白戦で1回を三者凡退に抑え、日本ハム・栗山CBOやヤクルト・橿渕スカウトデスクなどから高い評価を受ける。プロ志望届の提出を明言しており、支配下指名以外の場合は一般就職する意向。東大では2年春にリーグ戦デビューし、通算21試合で1勝9敗、防御率4.34。








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