春季高校野球神奈川県大会は4回戦が行われ、横浜高が鎌倉学園に4-3で逆転サヨナラ勝ちを収め、ベスト8進出を決めた。今秋のドラフト上位候補に挙がる最速154キロ右腕・織田翔希投手(3年)は、1-1の2回無死二塁という絶体絶命の場面で救援登板。直後に右手中指の血まめが潰れるアクシデントに見舞われながらも、続投を志願して8イニングを投げた選抜大会敗退から掲げた「真っすぐで押す」テーマを体現し、エースの意地で土壇場の逆転劇を呼び込んだ。
「代わりません」、マメが潰れても貫いたマウンドへの責任感
織田翔希投手にとって、この日は選抜以来初となる公式戦のマウンドだった。先発の林田滉生投手が初回に失点し、2回にピンチを招いた場面で急遽登板。しかし、3回ごろに予期せぬ事態が彼を襲った。右手中指のマメが潰れ、指先が本来の感覚を失った。ベンチで村田浩明監督(39)から「代わるか?」と確認されたが、背番号1は迷うことなく「代わりません」と即答した。
織田翔希投手は、深くボールを握ったり、腕の位置をわずかに下げたりと、普段とは違う状況の中で試行錯誤しながら腕を振る。8回に2死から勝ち越し打を許すなど本調子ではなかったが、最速は147キロの速球を軸に最後まで逃げることはなかった。織田翔希投手は「まだまだ納得のいくボールも投げられていないですし、そこよりもチームを勝たせるという意味で弱いところがあった。自分としてはまだ成長できるんじゃないかなと思います。自分はチームのために投げるのが全て。」と話した。
8回を投げ6安打7奪三振2失点。アクシデントを言い訳にせず、マウンドを守り抜く姿は、紛れもなく名門・横浜の支柱だった。
選抜の悔しさを力に、「変化球で逃げない」真っ向勝負へのこだわり
この春、織田投手には一つの明確なテーマがある。「真っすぐで押すところは押して、変化で逃げない(日刊スポーツ)」ことだ。初戦で敗退したセンバツの神村学園戦で、先制打を許したのがフォークだった。最大の武器である直球を信じきれなかった後悔が、強く心に残っている。この日も、強振してくる鎌倉学園打線に対し、あえて威力ある直球を軸に据えた。真っすぐが乱れれば痛打されるリスクを背負いながらも、テンポよく腕を振り続け、打線に逆転へのリズムを作った。
「バッターが張っていても打てないような真っすぐを投げたい。でも今日は、それが全くできてなかったです(日刊スポーツ)。」と話すが、ネット裏で視察したスカウト陣も、マメの影響で出力が制限されるなかでのゲームメイクを高く評価した。
阪神・吉野誠スカウト:「ある程度、制御しながら投げられている。」
村田監督も絶賛、「負け寸前」をひっくり返せるチームへの成長
試合は1点を追う9回、ドラマが待っていた。1番・川上慧選手(2年)の同点打に続き、3番・安食琥太郎選手(2年)が左中間へ劇的な2点適時二塁打を放ち、逆転サヨナラ勝ち。土壇場で見せたナインの粘りに、指揮官は確かな手応えを感じていた。村田監督は、「本当に厳しい試合。負け寸前まで行った。でもそれをひっくり返せるチームになった。やっとそういう力が出てきたかな。乗り越えられたのは非常に大きかったと思っています。織田に関しても、マメをつぶして“代わるか”と聞いたら“代わりません”って。あいつなりに腕を下げてうまく投げていた。」と話し、センバツの敗戦から力強くなったチームを称えた。
織田投手は、打線の奮起による逆転が「すごくうれしかった」と話す。最速154キロ右腕は全国屈指の圧倒的な投手で有ることは間違いないが、一人では勝てないのが、この神奈川だ。昨夏のあれだけのメンバーでも苦戦をしながら甲子園出場をしていたが、今年も個々の選手の力強さが増してきている。
【織田 翔希】 プロフィール
- 氏名: 織田翔希(おだ・しょうき)
- 所属: 横浜高校(3年)
- 出身: 福岡県(糸島ボーイズ出身)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 183cm、82kg
- 主な特徴や実績: 自己最速154キロを誇る、2026年ドラフト1位候補筆頭。昨春の選抜優勝メンバー。角度のある直球としなやかな腕の振りが武器。2026年春季神奈川大会4回戦で、中指の血まめを抱えながら8回2失点の粘投。高い修正能力と責任感の強さが魅力。















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