延岡学園・横瀬貴広投手、花巻東・中里優介投手の左腕対決は横瀬投手が完投し勝利

花巻東, 延岡学園, 横瀬貴広, 中里優介, 千葉翔太

 延岡学園vs花巻東、これまで継投で勝ち上がってきた両チームだったが、先発左腕の好投で投手戦となった。

 これまでリリーフで登板してきた延岡学園・横瀬貴広投手が公式戦初先発を任されると、左からの角度のあるスライダーとストレートで、花巻東打線を3安打9奪三振で完封した。「先発だと気合が入らない。走者がいた方がテンションが上がる」と話す横瀬投手だが、甲子園でパッとしない投球をしていた事から監督が先発を言い渡したとの事。走者を背負わない見事な完封劇だった。

 対する花巻東も143km/hを記録する左腕・中里優介投手が先発、こちらも7回5安打2失点と好投を見せたが、同じ左腕でOBの菊池雄星投手にならぶ甲子園決勝進出とはならなかった。

 千葉翔太選手のカット打法をバントとするかもしれないという言い渡しがある中で、千葉選手はこの日はノーヒットに終わった。おそらくこれまでの公式戦でも同じプレーをしてきたし、岩手県大会でもそうだったのだろう。そして甲子園準々決勝までは指摘が無かったが、ここに来て急にその様な動きになるのはどうだろうかと思う。

 しかし、内野手の間を抜けるヒットに外野手としての守備でも見せるプレーがある。今後、木製バットでどんな打撃ができるか、そして守備、走塁などの総合力でどんなプレーができるか、可能性を見てみたい。国学院大で主将としてリーグ制覇をした渡辺貴美男選手は164cmの小柄な選手だが、練習でも試合でも常に大きな声を出し目だっていた。JX-ENEOSでも都市対抗連覇を経験するなど持っている選手だ。そのような選手になって欲しい。

 「バッターに考えさせる余裕を与えないように」。速いテンポで相手を自分のペースに引き込んだ。その結果が125球で、3安打完封。今大会2番目に短い1時間38分で試合を終わらせた。ガッツポーズを連発した31歳の重本浩司監督が「横瀬は別人でした」と驚くばかりの快投だった。

 それもそのはず。今大会初先発だったからだ。宮崎大会5試合で4度の登板は全て救援。この甲子園でも準々決勝まで3試合で2度の出番は2番手で、先発は練習試合で1度だけだった。横瀬は背番号1を付けながら先発しないエース。自らも「先発だと気合が入らない。走者がいた方がテンションが上がる」という変わり種だった。

 宮崎勢初の決勝進出が懸かった一戦。先発に指名されたのは、あまりの不調からだった。準々決勝・富山第一戦で2番手で登板して3失点。重本監督は「パッとしないのできっかけをつかんでほしい」とまっさらなマウンドに送り出したが、試合前のブルペンでも表情がさえず「3球で代えるぞ」と怒鳴ったほど。ここまで好投している奈須と井手の切り札2枚を後ろに回しての起用で、横瀬本人も「けさ、先発を言われて心臓がドキドキした」と振り返る。

  どうにも涙が止まらない。お立ち台に上がった千葉は156センチの小さな体を折りたたみ、しばらく声を上げて泣き続けた。驚異的なファウル打ちで今大会を沸かせたが、この日のファウルはゼロ。少し泣きやんでも、質問がファウルに及ぶと激しく泣き出した。約20分が経過した頃、ようやく重い口を開いた。「ファウルで粘って出塁するのが自分の役目なのに、それを止められてしまった。今までの野球人生で一番悔しい試合でした…」

 “武器”を封じられていた。1安打4四球で全打席出塁し、鳴門(徳島)のエース・板東湧梧(3年)に計41球も投げさせた準々決勝の試合後、大会本部は佐々木洋監督(38)と流石(さすが)裕之部長(31)に対し、高校野球特別規則の「バントの定義」について説明を行った。事実上のファウル打ち禁止通告だった。

 大会本部によると、赤井淳二審判副委員長(61)が、千葉の打ち方が“カット打法”に抵触するおそれがあるという認識のもとで規則を提示し、「ご理解ください」と説明したという。ただ「あの打法はスリーバント失敗と同じ扱いになると言われました」と流石部長。ファウル打ちは、千葉が小さな体でいかにチームに貢献するかを考え抜いた末にたどり着いたもの。これを禁じられるのは、翼をもがれたのも同然だった。

 千葉は準々決勝の8回、二塁ベース上での不審な動きに対し、“サイン盗み疑惑”で球審から注意を受けていた。そして、ファウル打ち禁止令の追い打ち。流石部長によると、どんなプレーをしていいか悩んでいたという。「カットしない中で、自分の最大限の力を発揮しよう」と話し合い、セーフティーバントを試みるなどしたが、4打数無安打に終わった。

  マシンガントークで喜びを爆発させた。「先発は合わないかも…」と不安を漏らしていた延岡学園・横瀬が、終わってみれば公式戦初先発を散発3安打で完封勝利をマーク。堂々とした投球に「次も先発でいきたい! 試合前の発言? それはそれ。気が変わりました」とドヤ顔。試合前とは180度違う内容を早口でまくし立てた。

 マウンド上でも、口と同様にテンポが速かった。「打者に考えさせたくなかった。パッ、パッ、パッといきました」と捕手・柳瀬直也から返球を受け取ると即、振りかぶる。力強い直球と100キロを切るスローカーブを中心に緩急を付けて的を絞らせない。準々決勝まで出塁率8割だった花巻東の2番・千葉翔太も柳瀬捕手の「内外をしっかり使って内野ゴロを打たせよう」との狙い通り、全てゴロで仕留めた。

 宿舎でも、お調子者ぶりは全開だが、野球でも切り替えはバッチリ。この日朝に、重本浩司監督(31)から闘志が見られないと「0/3で代えるぞ」とゲキを受けたなかで「多分、初めて」(横瀬)の完封劇。「めったに褒めない監督に褒められた」と胸を張った。


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