大船渡・佐々木朗希投手、今年初登板で衝撃の156キロ現地レポート

今年のドラフト候補で、星稜の奥川恭伸投手、創志学園の西純矢投手、横浜・及川雅貴投手とともに高校生投手四天王と呼ばれる大船渡の佐々木朗希投手、センバツ出場は逃したものの、そのためにゆっくりと調整し、この日、練習試合で今年初の実戦登板をした。そして、その登板は日米18球団、50人近くが顔をそろえたスカウトに衝撃を与えるものだった。

試合前

佐々木投手のいる大船渡高校は、関東に遠征に来ている。その情報は日刊スポーツによって毎日のようにもたらされていた。土浦一高、木更津高校、そして浅野高校と、いわゆる高校野球強豪校との対戦ではなく、大船渡の国保監督の出身である筑波大のOBが監督を務める高校との練習試合を行っていた。それでも、佐々木投手はブルペン投球は行っていたものの、試合での登板はしていなかった。そしてこの日、同じく筑波大出身の小針監督率いる作新学院との練習試合が組まれていたが、作新学院は8年連続で夏の甲子園に出場している強豪との対戦であり、しかも球場は作新学院のグラウンドではなく、スタンドのある矢板運動公園野球場に変更されていた。

矢板運動公園野球場は矢板駅から車で10分くらいのところにある木に囲まれた球場だ。歩くには1時間ほどかかるため、矢板駅ではスカウトがタクシーを待つ行列を作って、少ないタクシーを待っていた。

球場に到着すると周りの駐車場には、高校野球の地方大会かと思わせるほど、すでに車が駐まっていた。球場にはおなじみの黒い長めのコートを着た多くの国内のスカウトがズラリと並んだ他、比較的ラフな格好のMLBのスカウトがいた。そしてMLBスカウトも日本人ではなく、欧米系、アジア系の人でバックネット裏には英語も飛び交っていた。また、バックネット裏スタンドの上と、投手を横から撮れる3塁側にはNHK、朝日などのテレビカメラが並び、スポーツ新聞の記者も所せましとあちこちを取材していた。

スカウトは既に佐々木投手が3イニングを投げることを事前に確認していた。そしてその佐々木投手がブルペンで登板を始めると、3塁側ブルペン近くのスタンドに取材陣が集結した。ジャンバーを着ながらだったが力強い球を投げ、登板が期待された。

試合開始

練習試合だがグラウンドにはアナウンスがあり、4番投手・佐々木朗希君と発表された。両軍の礼を終え、後攻の大船渡ナインが散らばる。そして佐々木投手はバックネットでスマートフォンやカメラ、そしてスピードガンが構える中で投球練習を始めた。投球練習は本当に力の入れていない形だったが、それでも球速は140キロに到達していた。

試合開始、初球は146キロのストレートだったが、低めに決まる速球、しかしこの球がこの日投げた佐々木投手のストレートで最も遅い球だった。2者をフライで打ち取ると石井巧選手を迎える。石井選手は昨年の甲子園でショートのスタメンで出場し、この日の前日の練習試合でもホームランを放っている。その石井投手にはスライダーなどで追い込むと、最後は152キロのストレートで三振を奪った。

2回は圧巻だった。先頭バッターは2年生でプロ注目の捕手・横山陽樹選手で、横山選手は外野の頭を超える3ベースヒットを打った。ノーアウト3塁となった所で佐々木投手のエンジンがかかる。投げる球はすべて150キロを記録、155キロを何球も投げた。そして6番バッターの三振を奪った球は156キロを記録した。3ベースヒットの後の三者三振は、スライダーでの三振、チェンジアップでの三振、ストレートでの三振と、すべて違った形で三振を奪った。そのスライダーも135キロ前後を記録、作新学院のバッターはストレートのタイミングでバットを振り出し、スライダーを空振りしていた。

対戦した石井投手は「体験したことのないスピード。完敗です」と話す。そしてリードした及川捕手は「大人の配球をしました」と、すべての球を使って作新学院を抑えにかかった。

ゴロエラー

このまま続くと思われた3回だが、先頭バッターに頭部へ死球を当ててしまう。倒れこんだまましばらく動かなかった(動かさなかった)が、立ち上がると自分で歩いてベンチに帰っていく。マウンド上で佐々木投手は心配そうに立っていた。

代走が出て試合が再会されると、さすがに次のバッターには変化球が多く、球速も落ちていた。それでもストレートは初球の146キロを下回ることはなく三振を奪った。2アウトまで来て最後のバッターも緩いピッチャーゴロを打たせる。しかし雨でぬかるんでいたゴロは難しい跳ね方をして、190cmの佐々木投手の長い足の間を抜けてゆき、センター前に転がる。2塁に進んでいたランナーが還り1点を失った。

それでも気を取り直すと、最後に再び3番・石井選手と対戦すると、155キロ前後のストレートで三振を奪った。

そしてベンチに戻ると、ナインとタッチをした後、ゴロの捕球の動作をベンチ前で繰り返していた。

評価

大船渡・佐々木朗希投手へのスカウトのコメント(10球団)

佐々木投手には、多くのスカウトが評価をしたが、巨人の長谷川スカウト部長は「プロの投手を入れても3本の指に入る」と話した。たしかに短いイニングだったとはいえ、今年の初登板で気温6度の中で、いきなり155キロを連発した投手はプロにもいない。そして、変化球もすべてでストライクゾーンに決められ、空振りも奪えた。今年のプロ野球選手の中では、福岡ソフトバンクの千賀投手くらいしか匹敵する投手はいないと思えた。

それでも佐々木投手は「基本的に8割の力でした」と話すと、及川捕手も「7割の出来だと思います」と淡々と話した。投球もまだ全力という風には見えなかった。しっかりとストライクを投げる事を意識していたようで、声を挙げる事も、投げた後にはねるような事もまだなかった。

昨年に157キロを記録しているが、冬に5kg増えて体つきも大谷翔平投手のようになった。正直、全力投球をしたら、今年中には160キロを超してくるのは間違いないと思う。

星稜の奥川投手が甲子園で圧巻の投球を見せたが、見た人は奥川投手より上と感じたと思う。インタビューでは多くの記者が集まる中で受け答えをしていたが、「プロ一本、メジャーへの想いは今はないですけど、これからその時、その時で考えていきたい」と話し、将来はメジャーへという気持ちがあることも確認された。

スカウトからは四天王の中でもズバ抜けているとの評価も出ていた。奥川投手、及川投手、西投手がいる中で、今年最後に登板した佐々木投手が筆頭に立った。ズバリ、格が違う。1996年からドラフト会議ホームページを続けているが、一番の投手となった。

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