春季高校野球関東大会は2日目、山梨学院(山梨1位)が叡明(埼玉2位)に延長10回タイブレークの末、サヨナラ勝ちを収め、2回戦進出を決めた。5-5の同点の7回途中から登板した山梨学院の2年生・菰田陽生投手が、ストレートのみで8者連続三振を奪うなど圧倒的な投球で、来年のドラフトの目玉投手としての力で相手を抑えきった。
圧巻の11奪三振、2年生怪物
山梨学院の菰田陽生投手は194cm98kgという体のサイズとともに、センバツで152キロを記録した圧倒的なストレート、そして打者としても特大ホームランをかっ飛ばす力があり、大谷翔平2世として注目される。この日は一塁手としてスタメン出場し、表に1-2と逆転を許した4回には、先頭打者でヒットを打って一挙4点を奪う攻撃の起点となった。
しかし、この日は投球で大きな衝撃を与えた。5-5の同点に追いつかれた7回、尚も1死二、三塁の絶体絶命のピンチでマウンドに上がった菰田投手は、「ブルペンにいた時から、いい感じに投げられていた」と野手として出場中もブルペンで肩を作っていた。先頭打者に適時打を許して1点を失い勝ち越しを許してしまったものの、ここから圧巻の投球が始まった。
後続をストレート一本で2者連続三振で抑えると、8回、9回は全て直球の真っ向勝負し、8者連続三振を奪った。そして、6-6で迎えた延長10回タイブレーク、先頭にヒットを許して連続奪三振は途絶えたものの、無死満塁のピンチで、この日投じた45球の中で唯一の変化球であるフォークを投じ、見逃し三振を奪った。その後は再び直球勝負で2者連続三振に仕留め、3回2/3を投げ0安打11奪三振無失点という圧巻の内容で、44球がストレートというものだった。
マウンドを降りると、思わずガッツポーズが飛び出した。その裏にチームが1点を奪ってサヨナラ勝利、菰田投手は「すごくうれしかったので出ちゃいました」と笑顔を見せ、さらに「自信につながります。今日出た反省を明日の練習でしっかり修正します」と次戦を見据えた。
センバツで152キロ「日本球界の宝」と指揮官も絶賛する逸材
菰田陽生投手はそのサイズと2年生ですでに152キロという球速、そして、この日の投球のようにストレートの力で圧倒できる投球があり、清峰時代に2度のセンバツ優勝を誇る山梨学院の吉田洸二監督も「必ずや日本球界の宝になる」と大きな期待を寄せている。菰田投手自身も「3年生の夏には160キロを投げたい」と話し、大谷翔平投手や佐々木朗希投手のようなレベルへと上がっていくことを話した。
好きな選手は大谷翔平選手で、好きな言葉は「陰極陽生」。この言葉は、「辛い時を乗り越えれば、その後は良いことに向かっていく」というようにも捉えられるし、「物事が極まれば、良い世界が開けていく」という意味にも取れる。大谷選手クラスのスケールを持つ逸材は、まだ力を蓄え、苦しい経験を積むタイミングかもしれないが、それが花開いたときには、どこまで花開く事になるのか、今回の奪三振ショーは、まだダイヤの原石が少し輝きを見せただけなのかもしれない。
菰田陽生投手 プロフィール
- 氏名: 菰田 陽生(こもだ はるき)
- 生年月日: 2008年12月21日
- 出身地: 千葉県御宿町
- 経歴: 九十九里リトル – 千葉西シニア – 山梨学院高校(2年)
- 投打: 左投右打
- 身長・体重: 194cm・98kg
- ポジション: 投手
- 最速: 152キロ(センバツで記録)
- 主な実績: 今春センバツで2年生として甲子園最速タイの152キロを記録。関東大会で救援登板し3回2/3を11奪三振。将来の160キロを目指す「日本球界の宝」。


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