札幌六大学野球春季リーグが札幌モエレ沼公園野球場で行われ、4季ぶりの優勝を狙う星槎道都大が北海学園大を4-3(延長10回タイブレーク)で下した。この激戦のなか、リーグ戦初出場ながら絶体絶命の窮地を救う快投を見せたのが、大型新人・辻田丞投手(1年=クラーク記念国際)だ。1点リードの7回、1死満塁という厳しい条件で登板すると、初球に自己最速に迫る146キロを計測、このピンチを併殺打で切り抜けた。昨秋、プロ志望届を出しながらも指名漏れとなった剛腕が、4年後の「プロのマウンド」への第一歩を踏み出した。
絶体絶命の1死満塁でルーキー・辻田丞投手登板、初球146キロで呼び込んだ「勝利の併殺打」
辻田丞投手にとって、大学野球の幕開けはあまりに過酷、かつ劇的なものとなった。7回裏、先発投手が打たれて1死満塁。一打逆転の場面で、元巨人の二宮至監督(72)は1年生をマウンドへ送り出した。「めちゃくちゃ緊張しました(スポーツ報知)。」という初々しい言葉とは裏腹に、その右腕には迷いはなかった。
注目の初球、捕手の構えたミットに吸い込まれた直球はこの日最速の146キロ。その後も力強いボールを2球続け、結果は注文通りの遊ゴロ併殺打。一点も許さない完璧な「火消し」を完遂し、マウンド上で力強く右手を突き上げた。「頼れるようになった(スポーツ報知)」と自負するストレートで勝負し抑えた。
指名漏れの屈辱から半年、左手の修正で手にした「150キロ」の武器
辻田投手には、半年前に味わった「野球人生最大の挫折」がある。クラーク記念国際高のエースとして甲子園の土も踏み、148キロを投げる大型右腕としてプロのスカウトからも注目されていたが、昨秋のドラフト会議でその名が呼ばれることはなかった。悔しさを胸に、地元・北海道の名門である星槎道都大へ進学。そこで取り組んだのは、抜本的なフォームの改善だった。
特に注力したのは、グラブをはめる左手の使い方だ。無駄な開きを抑え、身体のパワーを効率よくボールに伝える動作を追求した結果、春のキャンプではついに大台の「150キロ」をマーク。高校時代のポテンシャルが、理論的な指導によって完全に開花しつつある。辻田丞投手は「まだ公式戦で150キロを出していないので、次の試合で出したい。まだ1年生ですけど、1試合でも多く投げて勝利に貢献したい(スポーツ報知)。」と、すでに次なるステージを見据えている。
元巨人・二宮至監督が太鼓判。「球の速さは強み。抑えの適性がある」
指揮を執る二宮至監督は、プロの世界を熟知する指揮官として、辻田投手の「勝負根性」と「出力の高さ」を高く評価している。初陣でそれに応える投球を見せたことに、「いいデビューになったと思う。球が速いのは彼の強み。ああいう場面(ピンチ)とか抑えとか、これからはそういう場面での起用になると思う(スポーツ報知)。」と話し、これからもリリーバーとして経験を積ませるとした。
186センチ90キロの恵まれた体格を持つ辻田投手、この日の投球で先輩を含めたチーム全体の信頼を勝ち取る事ができた。これから厳しい場面での登板で、もしかすると結果に繋がらない日もあるかもしれないが、その経験を積んでいくことで、4年後は花開く事になるのではないかと思う。
この日はチームも延長タイブレークの末に開幕白星を勝ち取った。辻田投手が救ったその一点が、最後に勝負を分けた。「4年後に必ずプロへ」という不退転の決意を持ち続けて戦っていく。既に東都や東京六でも、1年生が活躍をして名を挙げている。辻田投手も1年目から全国の舞台で、東京でその名を轟かせたい。
【辻田 丞】 プロフィール
- 氏名: 辻田丞(つじた・たすく)
- 所属: 星槎道都大学(1年)
- 出身: 北海道(江別市立中央中-クラーク記念国際高卒)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 186cm、90kg
- 主な特徴や実績: 最速150キロを誇る本格派右腕。高校3年時にプロ志望届を提出するも指名漏れ。2026年春季リーグ開幕戦(北海学園大戦)で1死満塁の場面からデビューし、併殺打で火消しを成功させた。高いマウンド度胸と巨躯から放たれる球威が魅力。2029年ドラフト候補。







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