FA人的補償はドラフト指名権譲渡も、ブレークスルードラフトと合わせて議論を

ドラフト制度

FAの移籍で選手のランクに伴って発生するのが、人的補償制度。FA制導入時に、一部の資金力の強い球団に選手が集中することを懸念し、導入された制度だ。しかし、その制度もそろそろ時代や制度に合わなくなってきている。

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人的補償

FA選手獲得による人的補償制度は、FA制度が始まった1993年から続けられており、その後、移籍する選手のチームの年俸ランクによって人的補償が発生しなくなるように制度変更が行われたものの、20年近く続けられている。

この制度により、FAでの移籍が活性化しなかったり、人的補償が発生する選手に対して獲得に消極的になったりという事もある。2019年に巨人の原監督は人的補償制度の撤廃を提案したが、他球団などから、FA獲得の多い巨人を有利にしたいだけという批判も出て、今年はその議論も出なかった。

また今年は、巨人がDeNAから人的補償の対象になる梶谷隆幸選手をFAで獲得したが、若手の直江大輔、山下航汰、鍬原拓也、堀田賢慎の4選手その前に自由契約にして育成選手として再契約をした。人的補償制度は、保有枠70人の選手の中で、プロテクト28人と今年のドラフトで指名された新人選手、そして外国人選手を除いた選手が対象となっており、育成契約選手は対象とならず、抜け穴とも指摘されている。

たしかに、他球団が望めば自由契約時に他球団も獲得はできるのだが、若い選手が他球団に移籍するという意思表示をするのはなかなか難しく、そのように使われる可能性も十分ある。

一方で、人的補償で移籍した選手が、その球団で大きな役割を果たしている事も挙げられる。巨人からは内海投手が埼玉西武に、長野選手が広島に移籍し、その球団で経験を若い選手に伝えている他、巨人からDeNAに移籍した平良投手は、ローテーションの一角を担う投手となっている。

ドラフト指名権

そこで話題となるのが、ドラフト指名権だ。MLBでは、各球団でタイプAにランクされた選手がFAで移籍した際には、その補償としてドラフト1巡目の指名権が譲渡される。

スポーツニッポンの記事で中畑清氏も「そんな中、巨人は直江大輔、山下航汰、鍬原拓也、堀田賢慎の4選手をいったん自由契約にして育成選手として再契約した。いずれも故障があり治療に専念させるということらしい。でもなあ。育成選手は人的補償の対象外なんだよ。」と、人的補償制度にグレーゾーンがあることを指摘し、新たな補償制度として、「翌年のドラフト指名権を譲渡する。FA市場が動かなくなってしまっても困るから1位指名権ではなく、選手の実績や年俸によって2位、3位の指名権でどうだろう。」と提案をしている。

日本のドラフトは完全ウェーバーではなく、ドラフト1位指名は抽選によって決まるため、1位指名の譲渡というのは難しいものの、毎年、FAの補償に割り合う選手というのも、ドラフト1位の12人前後くらいしかいない。2位の指名権を譲渡されても、上位球団の指名枠を譲渡されても、それ程、補償とはならない可能性がある。

そうなると、FAで選手を獲得した球団の2位の指名枠を譲渡した上で、MLBのように1巡目の後に調整枠を入れ、そこでFAで獲得された球団が指名をする、という形だと妥協できるかもしれない。

日本球界で

他にも、今年は新型コロナの影響で行われなかったが、ブレークスルードラフトが開催される予定だった。これは、各球団内で出場機会の少ない選手の移籍を活性化させることを目的に現役選手を指名するドラフトで、来年には1回目が行われるものと思う。

これまで人的補償で移籍していた選手は、ブレークスルードラフトで移籍をすることになるかもしれず、この導入により、FAの人的補償も変わっていくことが必要になりそうだ。

他にも、別リーグのチームからのレンタル移籍、独立リーグ、または社会人野球からのレンタル移籍など、また、サッカーでは高校生や大学生がプロのリーグでプレーすることがあるが、そういうことも含めて、日本球界全体の活性化を図っていかない行けない所まで来ているのではないかと思う。

日本の野球は、高校野球人気で支えられている面が強いが、今年はその高校野球がほとんど無くなってしまった。人口減少もしており、高校、大学、社会人、リーグ、プロと各カテゴリーでバラバラに行うのではなく、トータルに制度設計のできる組織は必要だろう。

今年は田澤投手という存在が、自らの実績とプレーで、自らに課されていた田澤ルールを消滅させた。このルールは、MLBという大きな相手に対するもので、NPBの場当たり的な制度だった。MLBに対する恐れがあるのであれば、日本球界は一体となってその先を考え、システムデザインをしていく必要がある。

中畑清氏 人的補償廃止しドラフト指名権譲渡を - スポニチ Sponichi Annex 野球
 【キヨシスタイル】DeNAからFA宣言した梶谷隆幸と井納翔一の巨人入りが決まった。梶谷からは「これで本当の後輩になりました」って電話があったよ。たしかにジャイアンツの後輩になったんだね。
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コメント

  1. 育成落としはプロテクト逃れの抜け道だ、だから育成選手もプロテクト対象にすべきだという意見はもっともでこれには賛成ではありますが僕はこれに関連して更に育成選手の流動化を高める改革案も考えてみました。
    それは現在支配下→育成と契約変更する場合間に自由契約を経る必要がありますが、ここをウェーバー公示をして低勝率球団から順に支配下での獲得オファーを出された選手はFA人的補償のように拒否不可で移籍できるようにするというものです。
    一応現在も自由契約なので他球団にとっても獲得は自由ですが記事にも書かれているように自由な獲得は事実上されていないのが実情。
    それでいてトライアウト参加選手(育成ですら残れなかった選手多数)のほうが獲得されるというおかしな逆転現象まで。
    プロテクト逃れ対策も勿論重要ですがFA選手を獲得しない球団にとってはほとんど関係ない話、一方「支配下→育成」選手は毎オフ12球団に関わることでここに着目した育成選手の流動化を高める改革がなされることを望みます。