社会人野球のJABA日立市長杯では、東芝がエイジェックに2−0で勝利を収めて決勝トーナメント進出を決めた。先発マウンドを託された入社3年目の右腕・浅野駿吾投手(24=東北福祉大)が9回を一人で投げ抜き、安打こそ許しながらも要所を締める投球で、公式戦初完投・初完封勝利を達成した。
真っ向勝負で掴んだ初完封、5回2死満塁の危機も直球でねじ伏せる
浅野駿吾投手は初回、先頭打者にいきなり二塁打を浴びる苦しい立ち上がりとなったが、動じることはなかった。「相手が真っすぐを狙っていても、真っすぐで押し込む練習をしてきました(スポーツニッポン)」と語る通り、140キロ台中盤の直球で打者の懐を攻め続け、決定打を許さない。
2点を先制した直後の5回に2死満塁のピンチを迎えるが、3番打者に対し逃げることなく自慢の直球を投げ込み、右邪飛に打ち取った。直球の威力が冴えたことで、終盤は変化球も光った。8回1死三塁では外角低めのスライダーで空振り三振、最後は高めの直球でニゴロに仕留め、120球を超える熱投を締めくくった。浅野駿吾投手は「バッター一人、一人に投げることだけを意識して、その積み重ねで完封することができた。公式戦では初めての完封なので、率直にうれしいです(スポーツニッポン)。」と、充実した表情で振り返った。
ENEOS戦の悔しさを力に。腹圧トレと「ストロー呼吸法」で遂げた進化
快投の裏には、1カ月前の深い反省があった。3月中旬のJABA神奈川県春季企業大会・ENEOS戦。先発した浅野投手は6回途中3失点で降板し、チームを勝利に導けなかった。そこからの期間、彼は自らを見つめ直し、徹底した基礎練習に没頭した。なかでも注力したのが「腹圧」の強化だ。
「腹圧が抜けると上体が反ってしまう。下に沈み込めるイメージでやってきました(スポーツニッポン)。」従来のメニューに3種類の新メニューを加え、体幹の安定を追求。さらに、登板直前には専用のストローを用いた独自の呼吸法でコンディションを整えるなど、科学的なアプローチも取り入れた。この「沈み込む感覚」が、終盤になっても球威が落ちない安定したフォームを生み出し、社会人の強打者を力でねじ伏せるスタミナの源泉となった。
大河原正人監督も驚嘆。「想像以上にしっかり投げてくれた」
指揮を執る大河原正人監督は、浅野投手の成長について、「先発投手陣の軸になってくれるような期待を込めて送り出しましたが、想像以上にしっかり投げてくれました。終盤はコーチと相談しながら、最後まで任せることに決めました。浅野も含めたバッテリー、守備がよく守ってくれた結果の完封です(スポーツニッポン)。」と話す。
この1勝は浅野投手個人だけでなく、チーム全体の投手運用の幅を大きく広げるものとなった。予選リーグ3連勝。決勝トーナメント進出という最低限のノルマを、エース候補の完封という最高の形で達成した。
北海道清里町から届くエール。家族に誓う「プロ」への飛躍
浅野投手は北海道清里町の出身。遠軽高校から東北福祉大、そして東芝に入社した。今大会はライブ配信が行われており、故郷に暮らす家族もその雄姿を見守っていた。「野球を頑張っている姿を見せてあげたい(スポーツニッポン)」と常々口にする右腕にとって、この完封劇は最高の親孝行となっただろう。
社会人3年目の浅野投手はドラフト会議に向けても勝負の年となる。最速140キロ後半の直球と、ここ一番で三振が取れるスライダー、フォーク。9回を完封できるスタミナも評価ポイントとなり、注目度もますことになるだろう。今大会、そして都市対抗に向けた戦いで存在感を見せつけたい。
【浅野 駿吾】 プロフィール
- 氏名: 浅野駿吾(あさの・しゅんご)
- 所属: 東芝(入社3年目)
- 出身: 北海道(清里中-遠軽高-東北福祉大)
- ポジション: 投手
- 投打: 右投右打
- 身長・体重: 178cm、82kg(推定)
- 主な特徴や実績: 最速140キロ台中盤の直球とスライダー、フォークが武器。2026年JABA日立市長杯にて公式戦初完投・初完封を達成。腹圧トレーニングによるフォーム安定に成功。高いスタミナとマウンド捌きが魅力。2026年ドラフト候補。






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