2012年のドラフト会議で指名された83人の選手、その中で新人王を獲得したのは、東北楽天の則本昂大投手と東京ヤクルトの小川泰弘投手で、共にドラフト2位で指名された投手だった。
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セリーグの新人王となった小川泰弘投手はリーグ最多勝となる16勝を挙げ、16勝4敗と勝率もトップ、防御率も2.93でリーグ5位とリーグを代表する投手となった。新人王レースでは巨人のドラフト1位・菅野智之投手、阪神の高校生ルーキー・藤浪晋太郎投手とも競り合ったが、最後は成績で突き放した。
選手名 | チーム | ドラフト | 成績 | 投票数 |
小川泰弘 | 東京ヤクルト | 2012年ドラフト2位 | 16勝4敗、防御率2.93、勝率.800 | 252 |
菅野智之 | 巨人 | 2012年ドラフト1位 | 13勝6敗、防御率3.12、奪三振155 | 13 |
藤浪晋太郎 | 阪神 | 2012年ドラフト1位 | 10勝6敗、防御率2.75、奪三振126 | 8 |
また、パリーグ新人王となった則本昂大投手は15勝8敗を記録し、開幕投手、クライマックスシリーズ、日本シリーズでフル回転に活躍し、ポスト田中将大と呼ばれるまでに開花した。プロ入り1年目で日本一の立役者となった。
選手名 | チーム | ドラフト | 成績 | 投票数 |
則本昂大 | 東北楽天 | 2012年ドラフト2位 | 15勝8敗、防御率3.34、奪三振134 | 223 |
佐藤達也 | オリックス | 2011年ドラフト3位 | 2勝4敗40ホールド、防御率1.73 | 4 |
大谷翔平 | 北海道日本ハム | 2012年ドラフト1位 | 3勝0敗、防御率4.23、打率.238 | 4 |
西野勇士 | 千葉ロッテ | 2008年育成ドラフト5位 | 9勝6敗、防御率3.80 | 1 |
千賀滉大 | 福岡ソフトバンク | 2010年育成ドラフト4位 | 1勝4敗17ホールド、1セーブ、防御率2.40 | 1 |
ハイレベルな新人王争い
セリーグは2012年のドラフト1位、2位のルーキーが評価通りかそれ以上の成績を残し、ルーキー同士のハイレベルな新人王争いとなった。巨人の菅野智之投手も13勝を挙げ、CSでは完封を記録し、日本シリーズでも田中将大投手に黒星をつけたピッチングは印象深かった。また阪神の藤浪晋太郎投手も高校生ルーキーで10勝を記録し、例年ならば新人王は間違いなかった。
パリーグはルーキーでも千葉ロッテ・松永昂大選手などが活躍を見せたが、則本昂大投手が頭一つ抜き出ていた。また西野投手や千賀投手など、育成枠出身の投手との新人王争いとなった事も非常に興味深い。
小川は、新人王争いのライバル巨人・菅野に239票差を付けた。リーグトップの16勝(4敗)、防御率は2・93。開幕前は菅野や阪神・藤浪に比べ、注目度は高くなかったが「体の大きなすごい選手がいる中で取れたことはうれしい」と171センチの右腕は喜びをかみしめた。
有言実行だった。入団が決まってから、家族の前で新人王を取ると宣言。5人兄弟で決して裕福な家庭ではなかったというが、「野球を続けられているのは家族や両親の支えがあってこそ。母はいつ電話しても『油断するな』と言ってくれた」。勝ち星を重ねても、おごることなく、その言葉を胸に投げ抜いてきた。
パ・リーグの新人では55年ぶりとなる開幕投手に始まり、日本一を決めた日本シリーズ第7戦にもリリーフ登板。激動の1年を「濃い長い1年だったなと思います。1年間、『勝つ』という思いを持って走り切れたのはよかった」と振り返った。15勝8敗、防御率3・34という成績には「来年は負けの倍は勝ちたい。防御率も2点台を目指したい」と改善していく。
モットーは“有言実行”。「キャンプの声出しで新人王を宣言してから、ようやくこの日が来た。できる間は長く、2ケタ勝利というのを続けていきたい。来季も2ケタ勝利、まずはそこから」と目標を語った。過去の新人王が何人も屈した2年目のジンクス。田中でもできなかった連続2ケタ勝利をクリアし、偉大なエースの後継者となる。
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