今年から導入された低反発バットにより、センバツではサク超え本塁打が2本しか出ず、夏の大会が注目されていたが、打撃陣にとっては厳しい大会となった。
7本塁打
今大会の本塁打数は7本に終わった。昨年の23本から激減し、1974年の金属バット導入以来で最小となり初の1ケタ本に終わった。
これに伴い、総得点数も455点から308点と3割以上減少し、1試合1チームの平均得点も昨年の4.7点から3.2点へと減った。平均点数が3.5点を割るのは、甲子園のラッキーゾーンが撤廃された1992年の3.3点以来となる。
そしてそれは投手成績のアップにつながった。完封試合は17試合あり、昨年の7試合から大幅に増え、1点差の試合も19試合と昨年の9試合から10試合も増えた。
これによって投手力の良いチームが有利となったかというと、そうではなく、有力な投手を擁した健大高崎や報徳学園、大阪桐蔭などが序盤で敗退し、大社、石橋や新潟産大付などが勝利をした。石橋の福田監督は「飛ばす才能では強豪私立の子に負けていても、このバットで低く強い打球を練習で徹底できれば、公立にとって有利になりうる」と話した。
それでも最終的には優勝した京都国際、準優勝の関東第一、に神村学園と青森山田といった強豪校が勝ち残った。神村学園の正林輝大選手や高橋徹平選手はいいあたりを飛ばすもヒットにはならずに打撃の成績で苦しんだが、強打だけでなく、守備を中心にしっかりと守れるチームで、足を使った攻撃ができる質の高いプレーをするチームが勝ち上がった印象を受ける。
特に勝利を左右したのが内野手の送球で、内野手の前の緩いゴロを全力で捕球し一塁に送球する際に、送球がそれてセーフになったり、悪送球でランナーが先に進むというプレーが目立った。内野手、特にショートとサードは、好プレーを見せるよりも、ちゃんとしたプレーで正確な送球をすることが求められるが、それが勝敗を左右した試合もあった。
それでも夏の各地区大会では序盤からホームランも飛び出しており、相手投手の質によってホームランが飛び出した。特に球速や球威に対しては当てられるバッターも多く、甲子園でもスイング力や強い打球を打つ選手は少なくなかったと思う。
逆に変化球やコントロールによって強打者が抑えられた。来年には攻撃陣も今夏以上にバットにしっかりと対応し、徐々にホームランも増えていくのではないかと思うが、質の高い投球に対応するレベルになるかはまだわからない。昨年以前のように打撃で圧倒して勝つというよりは、守備や走塁で質の高いプレーをしたチームが勝ち上がってくるのではないかと思う。
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