敦賀気比vs奈良大付の試合はプロ注目投手同士の対戦となった。点差が開く試合が多い中で3-0としまった試合となったが、昨夏ベスト4のエース、敦賀気比・平沼翔太投手が奈良大付打線を1安打に抑え、力の差を見せた。
最速142km/h
平沼翔太投手は昨年よりもよりコンパクトになった腕の振りから、130km/h前半から中盤のストレートと小さく鋭く曲がるスライダーを外角に丁寧に投げた。5回2アウトまでパーフェクト投球を続けると、6回にヒットを打たれたものの9回を投げて1安打に抑えて完封した。
9回には最速となる142km/hを記録してファーストゴロに抑え、球数は100球、10奪三振を奪いながら無四球と抜群のコントロールを見せた。「きょうは130キロ台しか出ていなかったですが、キレを重視していた。」と話し、また「9回だけ、力を入れたら140キロを超えました」と話した平沼投手、勝利と共にプロへのアピールも忘れる事は無かった。
また、打撃でも4番を打つと、5回にはライトに2ベースヒット、7回にヒットも放ち3打数2安打1打点を記録、投打にプロが注目する平沼投手らしい活躍を見せた。
プロのスカウトは投打に評価
平沼投手は投手としてプロ入りしたいと公言し、打者としての話よりも投手としての話をしたがるという。この日視察したプロ野球スカウトのうち、巨人の山下哲治スカウト部長は「投打とも対象になってくる。夏に向けてもっとスピードが出てくれば。打撃はリストが強く大きいのが打てる。」と評価すると、阪神・熊野輝光スカウトも「緩急をつけ、特に変化球のコントロールが良かった。打撃も素晴らしいし非凡。」と投打共に評価した。
また横浜DeNAの吉田スカウト部長も「野手で行くか投手で行くか、現段階では判断していない。ダイナミックなフォームでいいスライダーを投げる。打撃に関してはスイングがいい」と話し、さらに「夏に向けて球速が上がってくれば。去年はあれだけ投げていたから。」と期待を示した。
投打に結果を出した平沼選手、投手としてはアピールはしたもののスカウトももう少し球速が欲しいと思っただろう。またフォームも昨年よりもややこじんまりした感じもある。ただしコントロールは非常に良くなり、外角ギリギリから小さく外れていくスライダーのコントロールは完璧だった。
しかし印象的だったのは打撃で、5回はライト坂口投手の速球を振り抜きライトフェンス直撃の当たり、7回も代わった左腕投手から痛烈に一二塁間を抜けて行った。まさの火の出るような当たりだった。
個人的には野手として魅力を感じたが、昨年の日本文理・飯塚悟史選手も投打に評価され、投手としては平沼投手のようにテイクバックを小さくしコントロールが良くなり、ドラフト会議では7位と順位は低かったものの、プロでは投手としてイースタンリーグで既に登板している。
平沼投手も飯塚投手と同じように、球速を抑えて淡々と抑え続け、念願の投手としてプロ入りという事になれば良い。
▼巨人・山下哲治スカウト部長 投打とも(ドラフトの)対象になってくる。夏に向けてもっとスピードが出てくれば。打撃はリストが強く、大きいのが打てる。
▼阪神・熊野輝光スカウト 緩急をつけ、特に変化球のコントロールが良かった。打撃も素晴らしいし、非凡。
コメント